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2 異世界の始まりはドラゴンを拾うところから

目が覚めた私は、遺跡のような場所に横になっていた。全く知らない、少なくとも日本には無い。(私の海外経験が浅いだけかもしれないけど。)

「もしかして…異世界!?」

それが本当だとしたら……最高じゃん!神様ありがとう!!私ここで幸せになるっ!

「あぁ…遂に来れたんだね…感動…。待てよ、ここは遺跡……という事は宝箱があるかも!!」

私は飛び起きると、右も左も分からないが凄い勢いで歩き出した。

異世界ならお宝なんてそこら辺に落ちてるだろうし、アイテム集め的な?もう絶対生活に困らないよねぇ……。

私は希望を膨らませながら辺りをぐるぐると歩いていると、細い道が現れた。

「ここがこの部屋の出口かな?」

そこを進むと、行き止まりになっており、真ん中に宝箱がちょこんと置いてあった。

「おっ♪ラッキー、早速いただ」

……けなかった。

『グァ、グギギギ…ガアアアアアアア!!!』

「ああああああああ!」

宝箱からは鋭い牙がしゃきんと生え、ガチガチと刃を鳴らして私の方へ近づいてきた。

「いやあああ!……って、落ち着こう落ち着こう。相手は宝箱、このくらい離れておけば近づけないでしょ!」

何を怖がってたんだか。宝箱に足や手が生えない限り安心だよね!はっはっはっ。

ボキッ

「ん?」

バキッバキッ

「んんんん????」

『グルルラアアア!!!!』

「ぎゃああああああああああああ!!」

生えたッ!生えたよッ!!手と足があああああ!!

「もう!逃げようにもどこに逃げたらいいか分からないよ!……とりあえず逃げなければ…!」

私は一目散に回れ右をして、逃げ始めた。

「ジグザグに逃げれば…!出口が見つかるはず!」

そうしてジグザグに走ろうとした瞬間…

『グァ!?グァァァ………』

宝箱の呻き声が聞こえた。恐る恐るそちらの方を向くと…

「しっ…死んでるっ!?」

宝箱は壁に真っ直ぐ突っ込んで自滅していった…なんと儚いモンスターだ…手と足を生やしたから知能は消え去ったのだろうか…

宝箱はシュワアアアという音をたてながら、消滅していった。そこには、貨幣らしきものが2枚落ちていた…。

「あんだけ怖い思いして……2枚……。これっぽっちかぁ…いらないよな…」

私は落ちていた貨幣をしっかり拾い、出口を探すことにした。?取らないとは言ってませんよ?


「はぁ…はぁ…やっと見つけた…」

壁だらけの部屋を手で探りながら歩いて1時間くらい。遂に私は遺跡の出口を見つけた。

「うっ…眩しい……」

外はかなり明るく、目が慣れるまで時間がかかったが、段々その全貌が見えてきた。

「う、うわぁ…」

外には、息を呑むような景色が広がっていた。

心地よい風に揺れる草原に、澄み切った晴れ渡る青空が視界に飛び込んできた。こんな景色、人生で何度も見れるものじゃないよね…。

「神様……ちゃんと仕事してるじゃん…」

私は神様へのありがたみをしみじみと感じながら、異世界での第一歩を踏み出……

「あれっ」

せなかった。

「ええええええええ!!!?」

そこにあるはずの草原は全く無く、下を見るとそこに草原があった。

「なんで!!!ここにあったじゃんかーーー!!!」

私は死ぬのか…せっかく異世界に来たっていうのに…何でこうなるのよ…

「ああ…短い人生だったけど……楽しかっ」

『キュルルルル!!』

「ぶはっ」

私が遺言を遺そうとしたが、それはいい意味で叶わなかった。

「ええっ…なに??」

私が乗っていたのは、白いドラゴンで、すっごい体毛がもっふもふだった。この体毛にかなり私の体がフィットし、安定感はどの乗り物よりも抜群だった。

「良かった…生きてた……本当にありがとね…」

『キュルラァ!』

頭を試しに撫でてみると、ドラゴンは嬉しそうに首を上げる。……あれ…可愛いな…。

草原に今度こそ足がついた私は、ドラゴンを改めて眺める。

「すっごい綺麗……」

その全身は真っ白な毛で覆われており、鱗は虹色に輝いていた。想像してたごっついドラゴンみたいな顔じゃなくて、スラッとした顔立ちをしていた。

「とにかく、ほんっとうにありがとね!!君がいたおかげで助かった!」

『キュルルルル!』

………可愛いって…。

いやいや、ここで別れないと次に進めないよね。例えば学校の帰り道に猫を見つけたとき離れられなくなるみたいな。

「じゃあ……私行くね。」

『キュルルルル………』

ドラゴンは私に頭を擦り寄せてきた。

懐いた……と言っても良いんでしょうか…。

「えっと…一緒に…行く?」

『キュル!!』

ああああ……もう幸せ過ぎる…

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