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第55話【シミリの勇み足と思わぬ誤算】

 宿屋に戻ったふたりは今回の事件についてお互いが土下座状態で平謝りを続けていた。


「今回は本当にごめんなさい。

 私の迂闊な行動でオルト君に凄く迷惑をかけてしまいました」


「いや、事の発端は僕が調薬を曖昧に造った所にあるんだ。

 どう見ても胸が強調される体型になったシミリををひとりで街に行かせた僕の失策だ。

 本当に済まない事をしてしまった」


「いいえ。私が軽率だったんです。

 オルト君は悪くありません」


「いや。魅力的なシミリをひとりで行かせた僕が迂闊すぎたんだ」


 ーーーその後、ふたりの謝り合いは半刻ほど続いたが最後はどちらからともなく笑いだして終了した。


「で、結局どうするんだ?(ソレ)?」


「うん。残念だけど(コレ)のせいでトラブルに巻き込まれたし、今まで無かったから思わなかったけど、重たいし、揺れると痛いし、結局、可愛い服も買いに行けなかったし・・・。

 もう、いいかなと思うから止めておきます」


「そうか、良かった。

 シミリは今までの方が断然可愛いかったと思うから安心したよ」


 僕の言葉にシミリは顔を赤くしながら話をそらした。


「じゃあこのまま一晩たてば元に戻るのよね?

 ちょっと惜しかったけどいい経験をさせて貰ったわ。

 でも、この薬は一般販売は止めた方がいいわね。

 私みたいに犯罪に巻き込まれる娘が増えたら嫌だからね」


「そうだな。

 僕も自分の造った薬で犯罪に巻き込まれる娘が増えたら嫌な気持ちになるからシミリの言うとおりにするよ」


 お互いの意見に納得した僕達は疲れのせいか直ぐに眠りについた。


 ーーー翌朝。シミリは起きて自分の胸がまた小さくなっているのを確認して小さなため息をついた。


(やっぱりちょっと惜しかったかな?)


 そう思いながらいつもの胸あてを着けようとして金れ具が留まらないことを不思議に思い、確かめてみると・・・。


(これ、どうみても前より大きくなってるわよね?反動?それとも・・・)


 シミリは期待半分にとなりのオルトに仕切り越しに聞いてみた。


「オルト君。昨日の薬の効果って一晩寝てもまだ残ってる可能性ってあるのかな?」


「それは無いと思うけど、どうした?何か不都合でもあったか?

 まさか!?大きくなった反動で小さい胸が全く無くなってしまったか!?

 だとしたら僕の責任だ!すぐに何とかするから待ってくれ」


 それを聞いたシミリは思わず仕切りを開けてオルトに叫んでいた。


「だれが無乳ですって!?これを見なさい!しっかり有るでしょう!?」


 シミリはカッとなった勢いで上半身に何も着けないままオルトの前で胸を張ってしまった。


「ぶっ!!?」


 いきなりの事にオルトは何も反応出来ずに固まってしまい顔を背ける事さえ出来なかった。


「シミリ!分かった!分かったから前を隠してくれ!」


 硬直からようやく再起動したオルトは手を前で振ってシミリに合図した。


「えっ!?きゃー!!見ないでー!!オルト君のエッチ!!」


 パチーン!


「自分で見せておきながらこの仕打ち、酷くないか?」


 ぶつぶつ言う僕を尻目に赤い手形を僕の左頬にしっかりと刻んだシミリは「ごめんなさい!」と謝りながら仕切りを閉めて服を着直していた。


 ーーーその後、ふたりで朝食をとってから僕はシミリと一緒に例の服屋に向かっていた。

 どうやら薬の反動が良い方向に向いたらしく、サイズアップしたとの事で服と下着の一式を買う事になったからだ。


「ふふふふふ」


 シミリの機嫌は最高に良かった。

 確かに昨日の状態ほどではないが、今のシミリの体型からすれば十分なサイズだと言えるものだったからである。


「ふふふふふ」


 機嫌の最高なシミリに連れられてミール女性洋服専門店の前に着いた。

 さすがに一緒に入るのは躊躇われた僕は向かいの茶屋にて待つ事を伝えてシミリを行かせた。

 紅茶を飲みながらシミリの探知は怠らなかったので特に問題はなかった。


「オルト君お待たせ!やっぱり専門店は品揃えが違うわね。

 この辺りでは殆んど手に入らない服や下着が沢山あったわ。

 それで試着してみて凄く気に入った服があったからそのまま会計して着てきちゃった。

 どうかな?」


 シミリは新しく買った服が気に入ったらしく僕の前でいろんなポーズをとりながら披露してくれた。


「うん、よく似合ってるよ。

 いい服が見つかったみたいで良かったね」


「えへへ。あそこの店長さんセンスが良くていろいろと可愛いコーディネートを教えてくれたの。

 でも、あの店長さん変なことも言ってたわね。

 なんか『惜しいわね、素材は良いのにサイズが足りないわ』とか。

 なんなんだろうね?」


「店長はもちろん女性だよな?

 色んな娘達の服を見立てるのが好きなだけじゃないのか?」


 僕はシミリの話を深くは考えずに意見を言った。その後、一緒にお茶をしながらこれからの事を話し合った。


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