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第25話【商品の選択とシミリの意見】

「ーーーでこれが腹痛に効く“聖籠源(せいろんげん)”でこっちは頭痛に効く“脳震湯(のうしんとう)”。

 外傷にはこれ“驚九(おどろないん)”だ。

 化粧品は髪用の石鹸や肌を白く見せる粉などシミリにも試して欲しいものが幾つかあるんだ」


 次々と薬の説明をする僕にシミリは口をあんぐり開けて呆然と聞いていた。

 そして僕の説明が一息ついた時に再起動したシミリはおずおずと僕に意見を言い始めた。


「オルト君の今までの行動から今説明された薬が本物なのだろうとは思うのだけれど、はいそうですねと鵜呑みにして病気の人に売り付けるのは正直言って私には無理です。

 自分の目で本当に効果があると確認出来ていない商品を売る事は商人として最低限の譲れない所なんです」


 真剣に僕に商人として譲れない想いをぶつけてくるシミリに僕は当然の事だと同意して次の話をきりだした。


「シミリの言っている事は当然の事だ。

 いくら僕が薬師に特化したステータスにしているとはいえ、いきなり作った薬が〇〇に効きますから買って下さいとは誰も信じないだろうから実際に効く事を証明しないといけないよな」


「オルト君。それだけではありませんよ。

 そもそも私は特定の病に効く薬なんて聞いた事もありません。

 薬は大きく分けて二種類あってひとつが塗るタイプの「傷薬」もうひとつが飲むタイプの「疾病薬」でどちらも基本的に薬草から作られています。

 効き目は使う薬草によりピンからキリまでありますが最高品質の薬でも劇的に良くなるものではありません。

 しかも良い薬になるとそれこそ平民には手の出る値段ではありません。

 貴族相手に商売するには強いコネか相当の信用が無ければ駆け出しの商人が相手にされる事はありません」


「そんなにこの国の薬学レベルは低いのか・・・。

 それならばあまり無茶な物は売りさばく事は出来ないな。

 シミリが居てくれて助かったよ。

 僕だけだったらまた大騒ぎになってすぐに警備員に連れて行かれるところだったよ」


「わかってくれて嬉しいわ。

 だからオルト君には申し訳ないけれど販売用の薬は一般向けにもっと簡易的なものを作って欲しいのと、ギルドに疾病で困っているお金持ちや貴族を紹介してもらって個別に調薬すれば信用もお金も上向くんじゃないかな?」


「なるほど。指名依頼ってやつだな。

 まあそれもある程度名前が売れないと指名してまで依頼を出そうなんて考えないよな。

 まずは平民層にコツコツと広めてみるかな」


 僕はシミリの意見を取り入れて簡易な薬を作る事にした。


「とりあえずこれでいいかな?」


 僕は新たに作り出した薬をシミリに渡して内容を見てもらった。


「シミリに言われた通り薬は2種類で塗るタイプの傷薬“メンタム”と飲むタイプの疾病薬“万丸(まんがん)”だ。

 どちらも効果は抑えてるから大したことないがとりあえずこのレベルの薬で試してみよう」


「そうですね。

 ところでひとつ聞いておきたいのだけれども。

 この薬の作り方ってどうしてるの?

 都合よく薬草とかを持っていたとかその辺で採取したとかじゃないわよね?」


「基本的には僕のスキルで作っているのだけれどベースの薬草は鑑定スキルで確認してその辺で採取したものだよ。

 それをスキルで変質させてから魔法の“ヒール”を埋め込んでるからそれなりに回復するはずだよ」


「そっ、そうなんだ。

 凄く画期的な作り方なんですね。

 とても誰にも真似出来そうにないですけど・・・」


 シミリは半分諦めて顔を引きつらせながら僕の作った薬を背負い鞄に入れていった。


「あと、化粧・・は次の時にして早く休むとしようか」


 他の商品についても説明しようと思った僕だったがシミリの呆れた顔が少々怖かったのでまたにすることにして休む事にした。


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