魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act24決戦!重戦車の闘い
敵より先に火花が切られた。
((ズッドオオーンッ))
隣の88ミリ砲が火を噴いた。
「バスクッチ車、砲撃開始!」
ラミルが左側で起きた轟音の答えを報告する。
「ミハル、私達も撃ちましょう。
砲撃始め、目標敵重戦車、距離4000、中央を進む車両。
速力不明につき直接照準。撃ち方始めっ!」
リーンの命令で射撃準備をするミハルに、
「ミハル先輩、魔鋼弾装填完了!」
ミリアがベンチレーターの作動を確認して報告する。
「うん、よし!目標敵重戦車、遠距離射撃開始!」
初めて覗く新型照準器を最大望遠にすると、今迄以上に遠くが見える。
ー 凄い。まるで4000メートルが1000メートル位に感じる。
これなら狙える。後は狙った所に弾が当たるかだけだ!
十字線に敵KG-2の正面下部を入れてから。
「中尉、射撃準備よしっ!」
喉頭マイクロフォンを押し、レシーバーからの命令を待つ。
「よしっ!撃てっ!!」
リーンの命令を受けてトリガーを引き絞る。
((ズグオオォーンッ))
今迄に無い重い音を残して、初弾を放った。
低伸する弾道を目で追い、その速さに驚く。
そしてその先にあった物に・・・
((ガッ!))
正面下部に穴が開く。
ー 凄い。この距離で狙った所に命中した。
何の癖もないし、新型重戦車の装甲を簡単に打ち抜いた!
「敵重戦車停止、乗員脱出!撃破!」
リーンが観測報告を入れる。
「センパイっ!やはり88ミリ(アハトアハト)は凄いですね。一発で敵重戦車を倒しましたよ!」
目を輝かせてミリアが喜ぶ。
「今はこっちが先手を打てたからね。
敵の砲も太いから命中弾を喰らったらどうなるか解らないわ」
ミハルが喜ぶミリアに注意してから、リーンに忠告を入れる。
「こちらも動いた方がいいのでは、中尉?」
リーンにも敵の砲火に注意する様に言った。
「それもそうね。ラミル少し右へ後退して」
ラミルが命令通り車体を後退させ始めた時、
「敵重戦車、発砲!」
リーンの叫びがヘッドフォンから聞こえた。
赤く輝く弾が照準器の中で、ミハルの目に飛び込んで来るように近付き・・・
((ドッ))
今迄居た所に砂煙を上げ着弾した。
ー まるで重砲みたいな弾だ。
あんな弾を喰らえば、いくら装甲が厚くてもタダでは済みそうもない!
リーンもミハルも敵重戦車の砲弾の威力に恐れを抱く。
「キャミー!バスクッチ隊にも警戒させて。敵の重戦車の砲弾を喰らわない様にって!」
前方から近づいて来る敵重戦車隊を監視しながら命じる。
「ミハル!奴等を近付けないで。あの数のまま近付かれたら大変だわ」
キューポラから数を数える。
今解っているだけでも目の前に居るKG-2は12両。
内一両は停止し斯座している。
ー 11対4。こちらの2両は75ミリ砲の普通の陸戦騎。
私達とバスクッチの2両だけが頼みの綱って訳ね・・・
リーンが不利を承知で戦う決意を固める。
「味方4号隊、重戦車を避けて側面に廻りますっ!」
キャミーの声に左右を確認して、
「まだ早いっ、敵のM4が待ち構えているのにっ!
連絡してキャミー、私達が重戦車と闘っている内は前に出ない様にって。そう伝えてっ!」
リーンがマイクロフォンを押えてキャミーに頼む。
「はいっ!了解です」
直ちに無電を打つキャミーに続けて言った。
「それと、突撃するならパンツァーカイルで!分散せずに固まって突っ込んでってね!」
親指を立ててキャミーが了解の合図を送った。
味方中戦車が進路を変更して行くのを確認して連絡が間に合った事が解る。
ー よし、敵のM4は味方に吊られた。
私達の敵は重戦車だけ。何としてもあの敵を退かせないと!
11両の敵に的を絞り、リーンは行動を起す。
「ミハル、目標敵重戦車。他には目もくれないで。奴等を退却させるわよ!」
こちらに砲を向け照準を絞ってきているであろうKG-2に向けて遠距離射撃を命じる。
「了解っ!目標敵重戦車。射撃用意よろしっ!」
照準器にKG-2の前面装甲板を捉えて攻撃用意を整えて、復唱したミハルがトリガーに指を掛けた。
「よしっ!攻撃再開。
ラミル停車、ミハル、距離3500。
こちらに進んで来る敵重戦車、直接照準、射撃始めっ、撃てっ!」
命令を下されたラミルとミハルが行動を起す。
「停止。車体方位、目標に対して右舷1時!」
「射撃再開。目標右端の敵、距離3500、魔鋼弾。撃ちますっ!」
ミハルの眼は十字線上で車体を斜めに見せている敵重戦車の側面後部に合わせる。
「撃っ!」
声と同時に指を引く。
((グワッガアアーンッ))
長砲身88ミリ砲が火を噴く。
その弾道を確かめて必中を確信すると。
「ミリア!次弾装填っ、急いでっ!」
ミリアに魔鋼弾を込めさせる。
「はいっ!次弾魔鋼弾装填よしっ!」
左手で砲尾に弾を叩き込んでミリアが叫ぶ。
「命中、火災発生!撃破確認」
キャミーの報告を受けてリーンがマイクロフォンに叫ぶ。
「ラミルっ、10メートル後退、同じ場所に留まらないで!」
リーンの命令でやや斜めに後退するラミルに注意を促す。
「目標に対して正面を向けないで。奴等の砲に抜かれないように!」
漸く敵も有効射程距離に入ったのか、停車して照準を絞り始めた。
ー あの弾を弾けさせる事が出来るか解らない。
出来る事なら命中弾を浴びない方が良いに決まっている!
「次弾射撃目標、右側2番手車両。撃てぇっ!」
ラミルが停車させたタイミングで命令する。
「照準よし、撃てぇっ!」
ミハルが3両目の撃破を目指す。
((グオオオーンッ))
発射音が車内を揺さぶる。
赤い光の尾を曳いて弾が敵に向う。
再び車体前部に命中し、その戦車から薄い煙が噴出した。
が、乗員は脱出せず砲がこちらを捉えているのが照準器の中で解った。
「ラミルさん!後退っ!急いでっ!!」
ミハルが絶叫し、斜線を外させようとしたが・・・
((ズッドオーンッ))
敵の射撃の方が早かった。
ミハルの眼に紅い弾が飛び来るのが観えて・・・
「いけないっ!命中するっ!」
叫んだ声が轟音にかき消される・・・
((ガッガガーン バリッバリバリッ))
物凄い轟音と衝撃が車体を襲う・・・
KG-2の砲弾の直撃を受けてしまったリーン達。
その衝撃で砲塔バスケット内の3人は無事では済まなかった・・・
次回 死闘の平原
君は敵の砲撃の前に生き残れるのか?!





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