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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第1章魔鋼騎士Ep3訓練!あの戦車を撃て!Act2

リーン少尉の姉、ユーリ大尉がバスクッチ曹長の転属を命じた。

リーンは心ならずもその命令を受け入れてしまった。

「バスクッチ曹長!妹の事、頼むぞ!」


トラックの助手席から大きな声で皆の見送る中、ユーリ大尉は敬礼を返して言った。

バスクッチ曹長は敬礼しながら大尉に応える。


「はっ!姉姫様。いえ、ユーリ大尉!」


引き締まった顔で返答した。

その瞳は決別のそれに似ていた。


ユーリ大尉は鞄から参謀肩章を取り出して付けながら、曹長の横に立つ一等兵を見た。


ー  そう、似ている・・・美雪さんに。あの娘が美春ミハルね・・・


ユーリ大尉の視線に気付いたミハルが姿勢を正す。


その姿にユーリが微笑み掛けると、ミハルは赤くなって緊張した。


ー  しっかり頼むわね。幸運の女神さん!


ユーリ大尉は微笑を絶やさず運転席のラミルに出発を命じた。


「出して下さい。駅まで宜しく、願います!」




トラックは砂埃を上げ古城を後にした。


「先輩、参謀と知り合いなんですか。ずっと観ておられましたけど?」


ミリアがミハルに訊いてきたのだが。


「私に高級士官の知り合いが居るわけ無いでしょ。

 でも、何でずっと見詰められたのかな?」


「さあ?先輩に判らない事が、私に解るわけ有りません!」


あっさりと、ミリアに言われてしょげるミハル。



「おい、全員集まれっ!」


小隊長が総員呼集を掛ける。

慌てて整列すると、リーン少尉が壇上に上がり訓示を始めた。


「皆に達する。先程参謀が来られて、重大な事項を申し述べられた」


少尉の言葉に、ミハルはどきりとする。


ー  遂に来たんだ。

   戦闘に参加する時が。

   まだ早い。早過ぎるよ。まだ訓練しなきゃいけないのに・・・


ミハルの思いは、少尉の言葉でさらに悪い方になってしまった。


「次期作戦で本隊は、出動を命じられるだろう。

 それまでの期間は、あと3日。

 3日後には作戦命令が届く。

 作戦命令次第では即刻出撃を命じられるかもしれないから、身辺の整理をしておくように。

 ・・・それから・・・」


リーン少尉の瞳がバスクッチ曹長を見詰めて、何か言おうとしている。

口篭もる少尉が意を決して口を開いた。


「それから・・・バスクッチ曹長は3日後、第1戦車師団へ転属となる。

 皆は曹長に心残りとならない様に教えを請う様に。

 ・・・以上だ・・・解散!」


節目がちなリーン少尉が話し終わった。


ミハルが曹長を見ると、何かを決した様な顔をしている。


「うっ、ううっ!」


突然キャミーが泣き出して、走り出してしまった。


「キャ、キャミーさん!」


ミハルはキャミーを追って走り出す。


ー  そうだった。 

   キャミーは曹長の事が好きだったんだ。

   堪らないよね、好きな人と別れさせられるのって。

   私にも解る。痛い程解るから・・・


ミハルはキャミーを追いかけながら、


「待って!キャミーさん!」


呼び掛けるミハルに、立ち止まるキャミー。

その瞳は涙で潤んでいる。


「ミハル、どうしよう。涙が止まらないよ。どうしたらいいんだろ?」


そう言ってミハルに抱き付いて泣き出した。


「キャミー・・・さん」


ミハルもどう答えて良いか解らず、ただキャミーを抱締めるだけだった。


ー  ごめんなさい、キャミーさん。 

   私、どう慰めてあげれば善いか判らないんだ・・・


ミハルは心の中でキャミーに謝る事しか出来なかった。


あと3日、3日後には全てが変わる。

そんな時を迎えて、各員は思い思いの心情を抱えて想いに耽る。


戦場は常に非情であった。


冬が訪れる前の今、陽が暮れるのも早く感じる刻。

2人の少女はただ抱き合ってお互いの想いを慰め続けるしか出来ないのが悲しかった。


キャミーの悲しみをミハルは痛い程解っている。

2人の少女はお互いを励まし合う事で、心を封じ込めた。

そして、ミハルとミリアに重大な転機が訪れる。

次回Act3

君は生き残る事が出来るか

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