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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep3エレニア平原Act2思わぬ闘いになるかも・・・

挿絵(By みてみん)

エレニアに続く平原の入り口にて前哨戦を闘った小隊。

そこに敵の脅威を伝える無電が飛び込む。

一旦、砲撃を中断した戦車隊の中で・・・



「車長!敵に動きがあったみたいです。師団司令部より命令です!」


キャミーが電文をメモした紙をキューポラの下から差し出してリーンに渡す。

メモに目を通したリーンが顔色を変える。


「そっか。ミハルの言った通りになった・・・みたいね」


暗い表情になったリーンを見てミハルが心配する。


「中尉、何かあったんですね?」


側面ハッチから出てキューポラで俯くリーンに訊ねると。


「やられたみたい。

 師団主力が敵の新型車両と闘って大きな被害を受けた・・・」


ショックを受けたリーンが力なくうな垂れる。


「師団主力が・・・ですか?

 主力には多数の4号が加わっていたと思うのですが?」


マチハより大口径の75ミリ砲を装備した4号を主力戦車に持つ師団主力が、

多くの損害を受けた事にミハルも信じられなかった。


「まさか敵の魔鋼騎が集中配備されていたとか?」


装填手側面ハッチから上半身を出したミリアも話に加わる。


「いいえ。

 敵の新型M4型の長砲身タイプにやられた様よ。此方のH型が奮戦したみたいだけど」


リーンがメモを握りつぶして悔しがった。


「そうですか。あの、M4型が・・・」


ミハルがポツリと呟く。


「M4ですか。

 こちらのF型の砲では当たり方によっては弾かれてしまいますね。

 特に正面装甲に当たった時は・・・」


ミリアが言うまでもなく、

傾斜したM4の装甲板へ角度が付いた状態でこちらの弾が当たっても撃ち抜く事は難しかった。


「これで折角新型車両を集めたこの作戦も難しくなったって事ね。

 作戦計画自体を練り直して貰わない事には。

 ムンバルの時と同じ様に被害ばかり出て、エレニアに辿り着けなくなってしまうわ」


リーンが考え込む様な顔で2人を見た。


「そう・・・ですね。

 あの時みたいに味方が戦力不足に陥ってしまう事にもなりかねません」


ミリアが頷いて苦戦した作戦を思い出す。


「方面軍には伝わっているのでしょうか。この実態が・・・」


ミハルが危惧する。


「そうね。ミハルの言った通り、方面軍にも確実に知って貰わないといけないわよね」


顎に手を添えて考えたリーンが。


「よし、決めた。姉様に頼んでみよう。

 この作戦計画の練り直しを。

 正面からぶつかるのではなく・・・

 敵の弱点を突く様な作戦を考え直して貰いましょう!」


ぱっと瞳に光を宿したリーンが傍にいるミハルに言った。


「無駄な被害を出さない為にも、私達で出来る事は何でもしようね、ミハル!」


力強く声を掛けられてにっこりと微笑むミハルも。


「はい、中尉が思うのなら、私も全力で務めますから!」


頷いて親指を立てて笑った。




_______________




皇都にある、戦時大本営で・・・



「リーンが私宛に?」


ユーリ大尉がバレン中尉に聞き返す。


「そうです。無電で・・・暗号電で送られて来ました」


バレン中尉が通信欄を手渡す。


「どうやらまたヘスラー達の手が伸びているみたいです、姫」


通信欄に目を通しながらユーリが中尉に目を向ける。


「バレン中尉。ここでは姫と呼ぶな。

 それから参謀長の事も呼び捨てにするんじゃない。

 どこでアラが出るか解らんのだからな」


バレン中尉に用心する様に注意する。


「はっ、申し訳有りません。慎みます」


謝るバレン中尉にフッと、ため息を吐いて微笑み掛けて。


「バレン。君と、君の父上には感謝している。本当に・・・だ」


微笑むユーリの顔を見てバレン中尉が恐縮する。


「ユーリ大尉、めっそうも有りません。

 私も父も皇父様の為に尽くすのが務めです。

 当然の事をしているのですから・・・」


すっと椅子から立ち上がってユーリが机に通信欄を置いて何かを思い立ったように。


「バレン。私はこれから司令部へ行く。

 エレニア攻略作戦の計画変更を具申しにな。

 この愚かな作戦自体を変更させねばならん。お前も付いて来てくれ!」


「は!御供致します」


バレン中尉が頷いてユーリの後を追う。



ユーリの机の上にある通信欄にしるされてあるのは・・・


「「ユーリ姉様。

  エレニアの闘いは、このままでは必ず失敗してしまいます。

  どうか作戦の再考を。出来れば中止を。

  それが出来ないとあれば増援を送って下さい。

  無益な戦いは国の為になりません、宜しく御裁可を」」


戦場の現実を伝える切実な願いが込められていた。





_____________





「ねえ、リーン。何を考えているの?」


野営地で一人で皇都の方角に向って思い詰めた様に立つリーンに声を掛ける。


「うん、ちょっとね、胸騒ぎがするの。ミハルは感じない?」


逆に訊ねられてリーンの傍に寄る。


「そう・・だね。

 私もさっきからそう思っていたんだよ。リーンも感じてたんだね?」


ミハルの声が震えているのに気付いて振り向くと。


「宝珠が教えるの。・・・危ないって」


右手の宝珠を見ていたミハルが顔を上げる。


「ミハル?」


瞳を碧き光に染めたミハルに声を掛ける。


「リーンの聖玉は、何か教えていない?」


魔砲の力を放つ瞳でリーンを見ているミハルが訊く。


「うん・・・ミハルと同じだよ。

 私のネックレスも教えてくれているみたい。ほら・・・」


碧き光を放つ胸のネックレスを取り出してミハルに見せる。

紋章が浮き出た宝玉は、何かを知らせようとしているのかの様に瞬いている。


「何かが起きたのか、それとも起きようとしているのか。

 ・・・判らないけど・・・」


リーンはネックレスをしまうと、ミハルに告げた。


「ユーリ姉様の身に何か悪い事が起きてなければいいけど。

  皇父様の身に何かが起きていなければいいんだけど・・・」


自分の事より姉と父の身を案じているリーンの心に触れて。


「リーン、今は自分の事を心配して。

 明日の朝には攻撃が始まるんだから。

 命令が変更されなければ私達は闘わなければならないのだから・・・」


ミハルがリーンの身体を心配する。


「ねぇ、ミハル。

 明日の戦闘、今迄以上に辛い戦いになるかもしれない。大丈夫かな?」


弱音を吐くリーンを力づけようと努めて明るく声を大きく張り上げる。


「大丈夫。私が居るから、絶対護るから。リーンと、みんなを!」


リーンの手を取ってミハルが笑い掛ける。


「そう・・だね。私の食欲魔女が付いてるんだもんね!」


リーンもミハルに冗談を言って微笑んだ。


「・・・もう、リーン。私は食欲魔女じゃありませんからね!」


頬をプウッと膨らませたミハルが言い返す。


その瞳は黒く綺麗に澄み渡っていた。


リーンが微かな希望を持っていた作戦の変更が最悪の形で降り懸ってきた。

作戦に抗う術を持たない兵士達。

だが、そんな作戦でも命令は厳粛な軍規として実行される。

ミハルはリーンと仲間達と共にその過酷な命令に従い闘う事を決意する。

次回 抗う想い、闘う想い

君は死の命令に抗い、闘う決意が持てますか?

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