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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep2伝説の魔女と皇女Act12馬鹿騒ぎ。だって笑顔が見たかったんですっ!

挿絵(By みてみん)



ミハル達3人が食事を取り直す為部屋に入ろうとすると、なにやら中が騒がしい。

ユーリを先頭にドアを開けると、そこは・・・


(作者・注)今回はほんわかムードでいきましょうか!

扉を開けた瞬間。

そこは・・・異世界だった?!


「うわっ!何だこれはっ!」


ユーリ大尉が呆れた様に大声を出す。


「はあ・・・すみません姉様。私の指導が悪くて・・・」


「いや、これは中尉の指導の問題では・・・」


ユーリがあんぐりと口を開けて呆然としている。

リーンは額に手を置いて呆れ顔になる。

ミハルが頭にデカイ汗を載せて顔を青ざめる。


食堂は既に破壊されていた。

酒の臭いが充満する部屋は食べ物が散乱し酒の瓶が転がり、

辺り一面クリームでベトベトと付いて真っ白になっている。


「ど、どうしたの?これは一体どー言う事なのよっ?」


リーンが大声を上げて皆に訊く。


((ビュンッ))


音を立てて何か白い物がリーンに向って飛んで来ると。


((ベチョッ))


避け損ねたリーンの頭に白いクリームが付いた。


「あ・・・」


ミハルはリーンがフルフルと震えだしたのに気付いて後退る。


ー  あ。リーンが・・・リーンが爆発する?!


ミハルは真っ青になってドン引きする。


((トントン))


後退あとずさったミハルの肩を誰かがコツく。


「誰?今リーンが、中尉が怒ってるから・・・」


そう言いながら振り返ったミハルの顔に・・・


((ベショッ))


「・・・」


ミハルの顔がクリームで真っ白になる。


「えへへー。しぇんぱーいも、真っ白らぁー」


酔っ払ったミリアが手にクリームパイを持って笑う。


「・・・」


挿絵(By みてみん)


((プチン))


ミハルの頭の中で何かが切れた音がした。


「ほぇ?」


黙ったままミリアが持つパイをふんだくると。


((ベチョッ))


「どう!ミリアっ!」


ミリアの顔面にパイを塗りたくる。


「むはーっ!必殺の一撃を喰らいましたぁ!」


ミリアがパイで真っ白になった顔でひっくり返った。


「おおっ!同士討ちだっ!」


マクドナード曹長が手を叩いて喜んだ。


「ほぇ?どう言う事?」


まだクリームでベトベトの顔のままミハルが振り返るとそこには。


「うりゃぁ!」


((ベチョッ))


マクドナードが投げつけたパイがまたもやミハルを直撃した。


「・・・マクドナード曹長?」


ミハルが怒り声で、どう言うことか訳を訊こうとした横から。


「こら、ミハル。お前は二度撃破されたんだから、隠れてろ!」


キャミーが髪をクリームでベトベトにされながら手招きしてミハルを呼ぶ。


「はあ?何で?」


「これは訓練だ!搭乗員対整備班の闘いなのだ!」


ラミルも体中をベトベトにされて、パイを片手に持ってミハルを味方に入れ様と声を掛ける。


「はあ。これのどこが訓練なんですか?」


呆れ顔でミハルは室内を見回す。


食堂の中は白いクリームが所構わず飛び交い、目も充てられない惨状だった。


「くっくっくっ。うふふふっ!」


突然ミハルの後ろでリーンの不気味な含み笑いがする。


ー  ひっ!リーンが切れたっ!!


頭にクリームを付けたままのリーンが怒り顔のまま、

薄気味悪い笑い声を出してブルブル体を震わせているのを見たミハルが叫ぶ。


「ひええっ、全員避難してっ!中尉が爆発するっ!」


ドン引きしたミハルが皆に逃げる様に言った時、更に事態を悪化させる悲劇が?!


((ベチョッ))


「あ・・・」


ミハルの目の前でリーンの顔にパイをぶつけて笑うユーリ大尉が居た。


姉妹同士が眼を合わせる。

方やにこやかに、もう片方は引き攣った笑みを浮かべて。



ー  ・・・終った。これはもう駄目だ・・・Orz


ミハルはリーンの爆発を止めるすべを失って目を点にした。


「はーはっはっはっ。どうだリーン!まいったか!」


子供のような顔になってユーリが笑う。


「・・・」


リーンは目だけをクリームから出して、マクドナードを指でクイクイと呼ぶ。


「ははは。こんなこともあろうかと・・・」


冷や汗を垂らしたマクドナードがパイを渡す。


((ベチョッ))


勝ち誇って笑うユーリの顔にパイが炸裂した。


「どおっ!姉様っ、お返しよぉっ!」


2人はクリームで真っ白になった顔のまま立ち尽くす。


「ふっ!いいだろう。クリームパイの闘い、受けて立とうっ!」


ユーリが顔に付いたクリームを拭って指を立てる。


「姉様がその気なら、私も受けて立ちますっ!」


リーンがマクドナードに手を伸ばして次のパイを受け取る。


ー  あ。これはもう駄目だ。いく所までいくな、こりゃ・・・


ミハルがデカイ汗を頭にのっけて呆然と2人のパイ投げをみていた。


挿絵(By みてみん)


((ひゅるるるっ・・・・))




・・・戦い済んで日が暮れてぇー・・・


夜の帳が落ちて、騒がしかった古城にも静けさが戻っていた。


ブツブツ言いながらも食堂をかたずける整備兵達に曹長が笑う。


「良かったじゃないか、ミハルが転属させられなくて」


マクドナードが傍らでモップを動かすルイスに言った。


「そりゃそうですけど、何でパイ投げなんて始めたんですか?」


ブツつくルイスにマクドナードが笑いながら。


「いや、パイ投げは思い付きだ。

 もし、ミハルや中尉が落ち込んで戻って来た時には、

 笑って貰おうと思ってやったんだが必要なかったみたいだな。」


他人事みたいに笑うマクドナード。


「おかげで整備班全員で掃除ですよ。この埋め合わせは高く付きますぜ、曹長!」


あまり怒っていない口調でルイスが文句を言った。


「解っているさ。

 あの2人の姉妹の笑顔を見れたんだから、安いもんだ。

 金で済む事ならな!」


マクドナードは班員全員を見回してそう言った。



ユーリを始め搭乗員達は揃って身体に付いたクリームを洗い流す為、風呂に入り直した。

ユーリの寂しそうな横顔が気になるミハルはそっとその訳を訊く。


次回 孤独な姉

君は姉弟が居ますか?大切だと想える人が・・・

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