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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第7章 永遠に紡がれる物語 Together Forever EP5 Soreceress transcends time and space<魔法使いは時空を越えて>Part4

翔龍となっているマモル。


ミハルは最期の願いをリーンに求める・・・


母との約束を果す為・・・

爆焔が広がる中、龍に跨る女神が錫杖を振りかざした。


「往けぇマモルぅっ!」


戦艦<フェアリア>の爆沈に因って拡げられた罅割れ目掛け、龍になったマモルが突っ込む。


悪魔の兵器を停める為・・・人類に希望を齎す為に。


赤紫色の魔法石は飛び込んで来る龍に向けて防御する。

罅割れの両サイドから無数の魔力砲火を浴びせて絡め獲ろうとするが、

女神の錫杖が打ち破る。

翔龍の口から吐き出される火の玉が魔力砲火を吹き消す。


「ミハル姉!前方だけに集中攻撃を掛けよう!」


龍の口からマモルの声が迸る。


「オッケー!突っ込んでマモル!」


ミハルとマモルの連続攻撃が行く手を阻む魔力砲火を撃破って行った。


「「おのれぇっ!小賢しい真似を!」」


大魔王サタンの怒りが増大する。

このままではMIHARUを捕らえる処ではない。

手を拱いていては自らの存在が危ぶまれる。


大魔王は最期の手段に訴える決断を下した。

それは・・・


「「最早・・・躊躇はならん。

  MIHARUを求めるのは次の千年周期でも構わぬ。

  今は人類諸共あの娘を消滅させる他はない。

  <ケラウノス>を発動させて、ミハル諸共消滅させてやるわ!」」


人類殲滅兵器の発動を図った。



魔力攻撃を掻い潜り、罅割れの先端目掛けて突き進んでいたマモルの上で。


<リーン・・・手伝って・・・お願い>


胸の紋章に頼んだ。

これから起こす行動を・・・たった一つの想いを胸に秘めて。


<ミハル・・・その時が来たのね>


リーンは初めからミハルが願っていた事を知っていた。

ミハルの願い・・・それは・・・マモルを翔龍とした時から知っていた。


<うん。マモルだけは助けようと思っていたから>


マモルが紋章と同化したのを知った時、ミハルはこの時を待っていた。

紋章から出現させて後、紋章の力が及ばなくなる時・・・


<ミハルは私の居る紋章が失われると思っているのね。

 あなた自身が喪われてしまう事にもなると・・・>


リーンの言葉にうなずいたミハルが。


<ごめんリーン。MIHARUさんとMAMORU君を<ケラウノス>に届ける時。

 私の肉体は消し飛ばされると思うんだ・・・いいえ。

 辿り着くのがやっとだろうと思う・・・だって大魔王は悪魔の機械を使うと思う。

 <ケラウノス>を使われたら世界に拡散されるのを私が防ごうと思ってるんだ>


ミハルは敵が最後のあがきにどうしようとするのかを考えていた。

今迄の闘いで培ってきた経験で、闇に染められた者が最期にどうするかを考えた結果。


<だから・・・マモルを巻き込まない様に。

 私とリーンだけで護り抜こうと思ったの。

 リーンがもう肉体へと戻る事が出来ないのなら・・・私も一緒にきたいから」


ミハルは<行く>>とは言わなかった。<往き>たいと願った。

答えるミハルは紋章に向けて微笑んだ。

全ては覚悟の上だと・・・


<ミハル・・・あなたっては。

 あなたって娘はどこまで損な子なのよ・・・まったくぅ>


敢えて・・・リーンはふざけて応える。

心の中ではどれほど嬉しいのかを隠すように。


<あははっ、御主人様の御供をするのがペットの務めですから。

 だってまだリーンの魔法は消されていないんでしょ?!>


ミハルもおどけた。

そうする事が自然な気がして・・・


2人が話している間もマモルは突き進んでいた。

後少しで最奥部に辿り着けると思って、姉と最期の瞬間まで居られると思って。


<リーン・・・お願い!>


ミハルが声を掛けた。

リーンが最大魔力をミハルと併せる。


「シャインバースト・ブレイカー!」


錫杖から最大魔砲が放たれる赤紫色の魔法石に人がやっと通れるくらいの穴が開けられた。


「これで・・・よし!」


穴の先に観えるのは・・・大魔王サタン本体。

巨大な機械に囲まれた中心に観えるのは、<ケラウノス>を司るメインコンピューター。


「やったねミハル姉、これで叩き込めるんだね!」


マモルが歓喜の叫びをあげる、龍の口から。


「ええ、そうよ・・・マモル」


マモルに向けて応えたミハルの声には、覇気が感じられなかった。

弟に続けて話す姉の声に籠められたのは。


「マモル・・・ありがとうね。ここまで来れたのはあなたのおかげだから。

 ここから先は私とリーンだけで行くの。

 二人で一緒に旅立とうと思ったの・・・マモルにはここから帰って欲しい。

 帰って・・・お父さんやお母さんの元へと・・・帰ってあげてね・・・必ず」


言葉少なに諭したミハルが錫杖を片手に翔龍から跳び発つ。


「あっ?!何を言うんだよ姉さん!こんな体で帰ってどうするんだよ!

 姉さんを助けるのが僕の務めなんだ!姉さん一人を往かせる訳にはいかないんだ!」


跳び発ち、穿った穴まで飛んだミハルが振り返り。


「マモル、解っているでしょ?

 契約したとしても片方が居なくなれば解除される事を。

 この紋章が無くなれば、マモルは元の身体に戻れるの。

 元のマモルへ戻れるんだから・・・お父さんやお母さんにも逢えるんだよ。

 だから・・・私の代わりに二人を大切にしてあげて、大切な人達と共に生き抜くんだよ!」


軽く手を挙げて最期の言葉を残した。


「待って!待ってったらミハル姉!僕はミハルが好きなんだ!

 ミハルが行くのなら僕も一緒に!」


翔龍マモルは穴まで飛び込もうとする・・・が。


「さよならは言わないでおくね・・・マモル」


ミハルの錫杖から・・・


「リーン・・・借りるね」


審判の女神だったリーンの防御魔法が翔龍目掛けて放たれた。


挿絵(By みてみん)


マモルの眼に映ったのは微笑みの中に別れの辛さを滲ませたミハルの顔だった。

光の魔法が龍の身体を押し下げ、魔法石の中から吹き飛ばした。

悲しみと切なさが込み上げる。


「どうして・・・どうしてなのさ・・・ミハル」


吹き飛ばされていく龍の中で、マモルは涙を溢れさせた。




「ごめんねマモル・・・私の可愛いマモル


目の前から光が消え去った時、翔龍の姿はもう観えはしなかった。


「リーン・・・やっと。

 やっと二人っきりになれたね・・・」


胸の紋章に声を掛ける。


「これからはいつも一緒だよ・・・今からはずっと二人っきりだよ」


奥に覗く<ケラウノス>に視線を向けて、最期の務めを果たそうと言った。

その結果が、自らの終末となったとしても・・・


「魂は喪われない・・・リーンの魂だけは護ってみせるよ!」


足下に金色の羽根が現れる。


「だから!一緒に!闘ってリーン!」


悪魔の兵器に向かって跳び発った。




その時。


回路を遮断した大魔王が機能を回復し終えた。



「「消え去るのだ!ミハルよ!」」


<ケラウノス>・・・人類殲滅の闇が放たれる!

遂に・・・大魔王サタンは発動させる。

人類消滅の闇を・・・


闘え!魔砲少女ミハル

最期まで・・・


次回 EP5 Soreceress transcends time and space

        <魔法使いは時空を越えて>Part5

君は・・・人の世界を救えるか?!ラストバトル決着!

    これが最期。これで決着の時・・・本編ラスト!

ケラウノス・・・発動!その時ミハルは決断した!


「魔鋼騎戦記フェアリア」最終回!残るのは人類か悪魔か?!

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