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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第7章 永遠に紡がれる物語 Together Forever EP4Farewell Beloved people<さらば愛しき人々よ>Part9

目を疑った・・・


目の前に起こった事が信じられずにいた・・・


作者注・)ミハル・・・絶望・・・だが?!

ミハエルの処分を下し終えた大魔王サタンが二人の前に現れた。


魔砲を放ち防御兵器を駆逐しながら進む女神の前へと。



「「無駄な事をしおって!まだ歯向かうと言うのかバリフィス。

  いいや、人間の味方をする者、リーンよ!」」


モニターの中で大魔王が怒りの声を投げつける。


「「それほどまでにMIHARUを我に渡さぬ気ならば。

  今ここでお前の処分を下してやるまでだ!」」


レーザー砲ではリーンの防御障壁を破れないと踏んだ。

機銃弾では致命傷を与えられ無い事は解っていた。


「「お前を壊す事が出来るのは誰あろう私なのだ。

  お前の中にあるチップを破壊すれば魔砲を放てなく出来るのだぞ!」」


大魔王の手で創られたリーン。

初めから捨て駒として生み出された本当の王女リーンに似せた入れ物。

唯の記憶装置にしか過ぎない筈の造形物。

それが自我を与えた事に因り、反旗を翻してきたのにも眼を瞑って来た。

大魔王にとっては痛し痒しな存在も、今は無用の長物でしかない。


「「MIHARUはそこに居る。

  蒼き珠の中にあるフォルダを手にすれば良いだけの事。

  お前の役目は当に終わったのだ、リーンよ!」」


防御障壁で身を盾にしてミハルを護る娘に、大魔王が刃を向ける。

チップ破壊の電波という、死の刃を。


「「消えるが良い、リーン!

  停止するが良い、バリフィスたる女神よ!」」


物理攻撃とは違う怪電波がリーンに放たれた。




護り切れると思っていた。

せめてミハルの身だけは。

やっと再び逢えた愛しい娘なのだから・・・この子だけは護り抜かねば気が済まなかった。


「それが私の罪滅ぼし。

 ミハルを愛する私の真心・・・」


魔法障壁が突然消えた。

手にしていたデバイス錫杖が急に重くなった。


そして、魔力が奪われた・・・


防御力を喪失したリーンにレーザー砲が撃ち込まれる。

腹部に焦げ跡が残る・・・


後ろに居るミハルがレーザー砲座を破壊したのは、リーンの身体に焦げ跡が着いた後だった。


「ミ・・・ハ・・・ル・・・」


屑折れる身体を持ち堪えられず、階段に倒れ込む。


「い、嫌ぁっ?!嫌あぁぁぁっ?!リーンっ、リーーーン!」


駆け寄ったミハルが抱きかかえる。

眼に涙を湛え、首を振りながら・・・信じられない夢から目覚めようとするように。


「馬鹿・・・まだ闘いは終わっちゃいないのよミハル・・・」


抱きかかえられたリーンが微笑みを浮かべて怒った。


「そんなの・・・こんなの・・・嘘。

 こんな悪い夢なんて信じないからっ!」


魔法障壁で身を護りながら、ミハルはリーンを抱きしめる。


「ミハル・・・私・・・もう・・・魔力を使えない。

 ミハルの盾にもなれない・・・足手纏いな身体にされちゃった」


挿絵(By みてみん)



微笑むリーンの身体が急に重く感じられた。

呟く女神が死期が迫った事を告げた。


「そんな事ないっ!そんな訳が無いよリーン!

 あなたはどんな時だって私の女神。私の御主人様なんだよ?!」


握り締めたリーンの身体に焦げた穴が観える。


「いっ、今直ぐっ、治すから!しっかりっ!」


傷跡は深い。

レーザーに焼き消された内臓を修復するには・・・女神の力でも叶えられそうにない。

それでも・・・そうだとしても。


「こんな傷っ!こんな・・・こんな・・・」


必死に治癒魔法を放つミハルの手を取ったリーンが。


「ミハル・・・ありがとう・・・もういいの」


呟かれた声が血の気をひかせる。


「な・・・何を言うのよリーン?!

 こんな傷なんて・・・こんな怪我なんて・・・こんなっこんなっ!」


堪えられない涙が頬を伝う。


撃ちかけられていた攻撃が停まった。

まるで塩を退く様に・・・


「ミハル・・・攻撃が止んだわ。

 今の内よ・・・早く行きなさい・・・私の事はいいから」


聞きたくない。

言って欲しくは無かった・・・その言葉を。

始まりの戦場でも、今リーンが言った言葉と同じ悲痛な声を聴いたから。


「嫌っ!嫌だよリーン!リーンを置いてなんか行ける筈が無い。

 世界が終わったって、リーンの傍から離れないよ!」


泣き叫ぶ声が階段に響く。


「ミハル・・・嬉しい。

 その言葉だけで充分なの、それを聞けただけで幸せなの・・・」


リーンの顔にミハルの涙が降りかかる・・・いくつも。


挿絵(By みてみん)


「嫌っ嫌だよリーン!あなただけは護るって約束したのに!

 あなたと希望の未来へ歩もうと願っているのに・・・何故なの?!」


泣きじゃくるミハルの頬に、リーンの手が添えられる。


「泣くんじゃない、ミハル。

 あなたには本当に感謝しているの、こんな私を慕ってくれて。

 約束を果たしてくれて・・・それで十分なの。

 今あなたと再び逢えた事が、何よりも幸せなのだから」


微笑むリーンの顔が涙で霞む。

耳に届いた声が心に剣を突き立てる。


「幸せだなんて言わないでリーン。

 これからもっと幸せになろうよ?生きて・・・生き続けて。

 だからっ、置いていけなんて言わないでよ!」


頬に充てられていた手を握り返す。

しっかりと・・・離さない様に。


「うん、ミハル。

 あなたに幸せになって欲しいから。

 私と共に・・・ね。

 私の身体が滅んだとしても、あなたが生きている限り。

 あなたさえ生き続けてくれれば私も生きていられるの。

 記憶の中に・・・ミハルの中で永遠に」


死を迎える者が一様いちように願うのは・・・


「愛する人が生きてくれることを祈る。

 どんなに辛くても、どんなに悲しくても。

 あなたが生き続けられる事を・・・」


握られた手に、力が籠り・・・


「だから・・・ミハル。

 往って・・・あなたの事を誰よりも愛した私の願いの為に。

 私達の希望ひかりを消さない為にも・・・」


微笑むリーンのまなこから、一滴ひとしずくの涙が零れ落ちていく。


「や・・・く・・・そ・・・く・・・よ」


静かに・・・静かに・・・ひそやかに・・・


挿絵(By みてみん)


瞼が・・・閉じられていった。


「う・・・ん。

 約束したよ・・・リーン」


握られていた手から・・・力を感じられなくなった。


「いつまでも・・・どこまでも・・・

 永久とわに・・・一緒だよ・・・私が行くまで待っててね」


静けさが辺りを支配していた。

まるで女神を葬送する為とでも云うかのように。


だが。





「まだ!まだです!!

 まだっ間に合いますっ!」


呼びかけられた叫びに気が付いた。


階段を駆け下りて来た少女に。


「ミハル分隊長!女神ミハル!

 希望は諦めるものではありませんっ!

 願いは果たさなければいけなかったんじゃありませんか?!」


白い魔法衣姿。蒼き髪、マリンブルーの瞳。


「私がリーン皇女殿下をお救いします!

 ミハルの希望あいを繋ぎ止めてみせます!」


その少女は言った。

光あふれる希望の言霊を。


「チ・・・ア・・・キ?」


駆け下りて来た魔砲師チアキが輝くレリーフを差し出し、


「この中に!この中で!光と共に生きて頂きます!」


リーンに向かって叫んだ!


駆けつけたのは。

呼びかけたのは・・・


現れたのは・・・新たなる希望ひかり


次回 EP4Farewell Beloved people<さらば愛しき人々よ>Part10

君は絶望の淵から甦る・・・新たなる希望に願を託して・・・


人類消滅まで遂にカウントダウンに入ってしまった!アト8時間!!


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