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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep2伝説の魔女と皇女Act9闇を斬れ! 後編

挿絵(By みてみん)


リインの力にルキフェルは命乞いをする。

心優しいリインはルキフェルに手を差し出して救いを与える。


だが・・・

悪鬼はリインの前に跪く。


「まっ、待ってくれリイン。

 私だ、叔父のルキフェルだ。

 戻ったんだ、斬らないでくれ!」


悪鬼の姿のままルキフェルは命乞いをする。


「ルキフェル・・・叔父様?」


リインはそれでも剣を構え続けていると。


「そうだ、フェアリア王の弟。

 ルキフェルに戻ったんだよリイン。

 助けて・・殺さないでおくれ」


赤黒い瞳のままで、ルキフェルが命乞いをする。


「本当に叔父様なの?悪魔じゃないの?」


振り翳した剣を降ろしてリインが訊く。


「そう、ルキフェルだよリイン。お前の叔父のルキフェルだよ」


ルキフェルが震える手でリインを求める。


「叔父様・・・戻られたのですね、人に・・・」


リインがルキフェルの差し出しす手を取る。


「ああ、戻ったさ。

 悪鬼に、大悪魔ルキフェルに・・・な!」


リインの手を握ったルキフェルから邪なオーラが噴き出して、リインの身体を包み込む。


「あうっ!」


リインが苦悶の声をあげる。


「ふはははっ、馬鹿めっ。

 こんな子供騙しに引っ掛かりおって。お前の力を喰らってやるわ!」


ルキフェルはリインの身体を絡め取って苦しめる。


「うああっ、イヤッ、嫌ぁっ!」


苦悶の表情を浮かべるリインにルキフェルは勝ち誇る。


「はーはっはっはっ、苦しめもがけ。お前ごと喰らってやるぞ。その力をなっ!」


ルキフェルはリインを、その聖なる力ごと喰らおうと闇の力を解放する。


黒いオーラがリインを包み込み、青く輝く剣とネックレスをも包み込んだ。


((トン トン))


勝ち誇るルキフェルの背中を突っつく者が・・・


「あのさ。私を忘れてるでしょ」


ミコトがジト目でルキフェルを見て言った。


「あ?」


ルキフェルが振り向くとミコトが槍を右手に持って立っている。


「私は堂々と闘えって言ったんだよ。

 姑息な手段を使って騙すなんて・・・やっぱ悪魔、いや悪者だよね、あなたって!」


ミコトの眼がすっと細くなる。


「リイン聞こえてる?あなたは優しい。

 でも、優しさだけでは勝てない。

 強くならないといけないんだよ?」


ミコトは闇に囚われているリインに教える。


「強さと優しさを持てればきっとあなたの望みは叶えられる。

 強くなって、強く生きて。

 そして優しさを失わないで!」


ミコトの言葉がリインに届く。


ー  強くなって・・・優しさと共に・・・私はなりたい。

   強く、そして優しく皆を愛せる者に。

   それが私の望み、願い・・・


リインの瞳が青く輝く。


「今あなたは知った。

 真の望みを、神の願いを。その想いを決して忘れないでね」


ミコトが槍を天に向ける。


「さあ!覚醒しなさい、リイン姫!

 約束の時だよ!私と交わした契約を果たす時だよ!」


ミコトが自らの力を解放する。


槍の先から天に向かって碧き光が放たれた。

放たれた光が天からミコトに戻り、ミコトを光が包む。


ミコトの姿が戦巫女へと変わる。


長く黒い髪、黒く澄んだ瞳。

来ていた巫女の服が錦の直垂へと変わり、大人のミコトが槍を構えて立っていた。


「なっ!なんだとっ?貴様は一体!?」


ルキフェルが驚きの叫びをあげる。


「私は帝を守りし皇家守護神官巫女。またの名を戦巫女ミコト。只今推参!」


黒く澄んだ瞳でルキフェルを睨み付けると。


「我が主、帝の命により西に現れし悪鬼を討てとの勅命により、

 汝大悪魔ルキフェル討伐に罷り来り。

 いざ、討ち果たさん!」


長く伸びた槍を軽々と振り回してルキフェルに踊りかかった。


「何を小癪なっ!」


ルキフェルは闇のオーラをミコトに噴き出す。


((ザシュッ))


闇のオーラを打ち砕いてミコトはリインを包んでいるオーラをも切り開く。


「さあ!今こそその神器を使う時。

 あなた様の目覚めた真の力を解き放つ時!」


ミコトはリインに手を指し伸ばして求めた。

覚醒の時を。


「ミコト、私は気付いたの、解ったの。

 誰の為でもなく、自分の為に強くなる。

 自分が強くなれればそれが皆の為になる事を。

 私は強くなる優しさと共に。

 それが望み、それが本当の願いだという事に!」


リインの願いが光となって噴き上がる。


「おめでとうリイン姫。あなた様は神に祝福されました。

 さあ!闇を斬り、光をこの国へ齎すのです」


ミコトがリインの手を取り闇のオーラから連れ出す。


「ええ、ミコト。私はもう挫けない。

 強く優しく皆を愛する者になる。

 この国から悲しみを無くすまで闘う戦姫となる!」


リインは微笑むミコトを見て誓った。


「ならば私も共に闘いましょう。大悪魔ルキフェルを倒す為に!」


ミコトが槍を構えてリインに誓った。

リインは頷くと剣に力を込めて祈る。


「神様、どうか私に力を。

 愛する国を愛する人々を護り抜く力を私に授けて下さい!」


リインの願いに神の力が応えた。

剣が大きく長く伸び、新たな神の剣が現れる。


そして全身が青き炎に包まれる。


「まいりましょう戦姫リイン。私と共に!」


ミコトが槍を振り翳しルキフェルに突っ込む。


「ええ、ミコト。闇を消し去る為に!」


剣を振り翳して共に突き進むリイン。


「ぐごおおぉっ!」


ルキフェルは口から赤黒いオーラを噴き出し2人に攻撃を開始した。


((バシイィッ))


だが、

闇のオーラを切裂き2人の魔法少女がルキフェルの頭上に舞い上がる。


「うわああああぁっ!」


リインが雄叫びと共に剣を振り下ろす。

ミコトが槍を突き刺す。


戦姫と戦巫女の同時攻撃を受けて、闇は切り裂かれた。


大悪魔ルキフェルは断末魔の叫びと共に滅びゆく。


「ぐがあっ!我は滅びぬ。人の世に闇がある限り、何度でも現れてやるぞ!」


呪の言葉を吐いて、黒い霧となり消え去って行く。

そんなルキフェルの言葉に聖なる者が言い放つ。


「ならば我等も何度でも打ち砕くまで。そなたの野望を闇の化身を!」


ミコトが悪魔の呪いに向って言い返す。




リインとミコトの前には何も残されていなかった。

闇は消え去ったのだ。


リインはミコトを見て力強く頷いた。


「良く成し遂げられました戦姫リイン。

 私の務めも漸く終わりを告げたようです」


ミコトはリインの前で方膝を付いて畏まる。


「ミコト。あなたは私を導く為に?」


リインが剣を持つ右手でミコトを指して訊く。


「いかにも。あなた様が神に選ばれし時よりずっとこの時が来るのを待ち望んでおりました。

 これで私との誓約は果たされたのです」


ミコトは頭を下げて平伏した。


「お辛い事も苦しい事も皆、知っております。

 ですがあなた様自身がお気付きになられるまでは手出し出来なかったのです。

  ・・・お許し下さい」


ミコトは何故か瞳を潤ませて謝った。


「そう、私自身の為に・・・

 民にも苦しい想いをさせ、悲しい想いもさせてしまった。

 こんな私を許してくれるかしら?」


リインはミコトに向って訊く。


「これからの生き様で許されましょう。

 あなた様が願った優しさと強さを求めて生きていくのであれば」


リインはミコトの言葉に頷く。


「そう。私は皆と共に生きる。愛する人々と共に生きる。

 強く、そして優しく。

 それが望み、それが本当の願いなのだから」


リインの手にした剣先に光の文字が現れる。


((ポウッ))


文字がすうっと薄くなり、光と共に消え去った。


「誓約の書が消えました。

 リイン姫と私の誓約が今、果されたようです。

 私はこれより帝の元へ還らねばなりません。

 神官巫女ミコトより先に帰るとしましょう・・・」


錦の直垂を着た大人のミコトが顔を上げるとその瞳には大粒の涙が光っていた。


「ミコト?」


リインがその涙の訳を訊こうとしたのだが。


「さようなら、リイン姫。また後世でお逢いしましょう」


涙と共に戦巫女姿のミコトが霞む様に消えて行った。


「ミ、ミコト!待って!まだお礼を言っていない!」


リインが手を伸ばして引き止めようとしたが、錦の直垂姿のミコトは消えて。


そこには・・・

闇を討ち果たし戦巫女ミコトは消え去った。

リインの前に残ったのは・・・


次回 そして伝説となる・・・

君は永遠の誓いをたてられますか?悠久の誓いを・・・

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