魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep2伝説の魔女と皇女Act8闇を斬れ!前編
東方の魔女ミコトに導かれ、大悪魔ルキフェルとの闘いの幕が切って落とされる。
「はぁいっ!リイン!困ってるっ?」
にこやかに笑い掛けるミコトが槍を左手に持って地上に降り立った。
「うん、ミコト!
私の願いは果たされていない。争いの無い平和な国には成っていないもの!」
リインの言葉にミコトはニカっと笑うと。
「リインは欲張りだなあ。願いは一つだけっだって言ったじゃない」
泣き出しそうなリインを見て親指を立てる。
「でも、アフターサービスってのもありだからねぇ」
快託してウインクを投げ掛けた。
リインには優しげだったミコトが、周りを囲む私兵達を睨む。
「私の友達を苛めたのはあなた達?ちょっとオイタが過ぎたようね」
私兵達の中心に居るルキフェルを発見すると。
「おや。これはこれは。
どうも邪な気が居ると思えば、悪鬼じゃない。
その男に憑り付いているのは!」
左手の槍をルキフェルに突き出して睨み付けた。
「き、貴様っ!何者だっ!」
ルキフェルは小柄な少女を睨み返して叫ぶ。
「私か?私は帝を守護したもう神官巫女ミコト。
そう言うお前はどんな悪鬼だ?」
リインの見ている前でミコトの槍が青白く光り出す。
「貴様等に名乗る必要なぞ無いわ!」
ルキフェルはミコトを馬鹿にした様に見下した。
「あっそ。じゃあ勝手に調べさせて貰うから」
ミコトの槍から青く輝く護符が描かれ。
「さあ!名乗ってもらうよ悪鬼!」
ルキフェル目掛けて放たれた。
((バシュッ))
ルキフェルの前で護符が青く燃え上がり、護符の文字が変わる。
そこに記されたのは・・・
「ほほう。大悪魔ルキフェル。
・・・そっか、あなた自身が闇に堕ちたんだね。
それなら仕方ないね。
・・・ふっ、滅ぼしてあげる!」
文字を見てミコトの瞳がすっと細くなる。
ルキフェルとミコトを囲んでいた私兵達が驚き逃げ散った。
「所詮、金で吊った者共か。
まあいい、王とリインを殺してしまえば私がこの国の君主だ。
我が新しき王となるのだ!」
ルキフェルはその本性を現した。
邪な瞳は赤黒く澱み切り、その髪は逆立つ。
「成程ね。
欲に目を眩ませて、堕ちたのか。人を捨ててまで・・・」
ミコトは槍を左手に持ち替えて身構えた。
「貴様が東の果ての国から来た魔女か。我の邪魔をする気か?」
ルキフェルの姿が次第に闇の魔物へと化していく。
「だとしたら何なの。別に邪魔をする気じゃないけどさ。
リインを困らせる者は許さないだけだから」
槍をルキフェルに突き付けてミコトは宝珠に力を込める。
その時ルキフェルの前に落ちている神器の剣に気付いた。
「あーあ、リイン。神具を壊しちゃったの?」
ミコトが後ろに居るリインに振り返りもせずに訊いた。
「ごめんなさい。
奪われてしまって・・・ルキフェル公爵に・・・」
リインが壊された事をミコトに謝る。
「そっか。
この悪魔がね・・・壊したんだね?」
ミコトの眼がまたすっと細くなる。
槍を転がる剣に向けると、青白い光が剣を包み込んで空中へ浮かび上がらせた。
「リイン、受け取って!」
青い光に包まれた折れた柄の方をリインに飛ばした。
「え?うん・・・」
飛んで来た剣の柄を握り掴んだリインに向って。
「それじゃあリイン。
あなたの力を使って御覧。神から授けられた聖なる力を!」
ミコトはリインに振り返ってニカっと笑った。
「えっ?でも・・・剣が・・・」
リインは折れた剣を見て戸惑う。
「大丈夫。神の剣は折れては居ない。
壊れちゃいないから、私を信じてリイン!」
ミコトはリインに笑い掛けながら力の解放を求める。
「うん、解った。信じる!」
リインが胸のネックレスと剣を握り締めて祈った。
「神の剣よ、もう一度力を。私に闇を払い除ける力を与えて!」
青く輝くネックレスが神具の剣に光を与える。
リインの身体から青いオーラが噴き上がり、手にした剣が再生を始めた。
「! 剣が・・・元通りに?」
右手の剣は輝きを取り戻し、元の剣の形に再生した。
「ほらね。リインの力が失われた訳じゃないからさ。
神がリインを見捨てた訳じゃない証拠だから」
ミコトはリインの剣を見て頷いた。
「ミコト、ありがとう!」
リインは青き輝きの中、ミコトに礼を言った。
「お礼は後でたっぷり貰うから。食事十人前位ね!」
食欲魔人・・・いや、食欲魔女ミコトが笑う。
「貴様等、我をほったらかしにして、何をやっているのだ?」
ルキフェルが2人の魔法使いに愚痴った。
「ふふふっ。大悪魔ルキフェル。
それじゃあ滅んで貰おうかしら。リインの手でね!」
ミコトはリインにルキフェルを倒させようとする。
リインはミコトの横に並び立ち。
「ルキフェル叔父様。
どうして悪魔なんかになってしまったのです。
どうして王になろうとしたのです?!」
リインが闇へ堕ちた理由を訊く。
「くっくっくっ、それを訊いてどうすると言うのだ王女よ?」
ルキフェルは2人に対しても、まだ高飛車に応える。
「答えによってはあなたを救う事が出来るかもしれないから」
リインはその優しさ故に、救世の道を探ろうとして訊いた。
「リインよ、私が闇へと堕ちた理由は只一つ。
先の戦争で私の愛する者達が殺されたからだ。
私の領地にロッソアの軍が攻め込み領民を、そして妻を殺したのだ。
私は復讐を誓った。
憎しみ、恨み。それが私を生まれ変わらせた。
譬えこの身を悪魔に落そうと必ず仇を討とうと・・・な」
ルキフェルの瞳が赤黒く澱み、
悪鬼の姿に堕ちたその身体が大きく膨れ上がり魔物の姿へと変えてしまった。
「我が望むのはフェアリアの王となり、ロッソアを討つ事。
我妻の仇を討ち果たすまで呪いは消えぬ。
何人たりとも、邪魔はさせぬぞ!」
すでに闇の住人となり果てたルキフェル。
「あなただけじゃない、大切な人を失ったのは。
あなただけじゃない、悲しい想いをしているのは!」
リインが首を振ってルキフェルを否定する。
「誰も望んじゃいない、他人を傷つける事を。
憎しみや恨みで闘う事を。
あなたは間違っている!」
リインが剣をルキフェルに突き付けて叫んだ。
「ほざけ!
その様な綺麗事だけではこの世は成り立っておらんのだ。
我と同じ闇の心を持つ者が満ち溢れて居るのだ、この人の世には!」
ルキフェルの口から赤黒い炎が溢れ出す。
「私は認めない。人はみんな幸せになる事が出来る。
幸せになる為に一生懸命に生きている。
きっと戦に倒れた人達の魂も願っている筈。
大切な人が幸せになる事を!」
リインは剣を悪鬼の姿に堕ちたルキフェルに突き付けて叫ぶ。
「ふっ、戯けめ。
ならばその剣で我を倒してみよ。斃せるものならばな!」
ルキフェルがいよいよ悪魔本来の姿と化して、リインの前に立ち塞がった。
「さて、いよいよ決戦の時みたいだね。
大悪魔ルキフェルと聖王女リインの闘い。聖か邪か。
どちらが勝つのか結果は解り切っているけど・・・ね」
ミコトが他人事みたいに2人を見て言う。
「リイン、ルキフェルは悪魔に堕ちたんだから、情けは無用だよ。
倒して、滅ぼしちゃえ!」
ミコトはリインから離れて手出ししようとしない。
「貴様は見ているだけか?」
ルキフェルがミコトを睨んで聞き咎める。
「これはリインが越えねばならない試練。
強くならなければこの国を護る事等は出来ない。
民を幸せにする事なんて望めない。
そう・・・リインは強くならねばならないのだから」
ミコトはリインを見てそう教えた。
「ミコト・・・そうだね、そうだよね。
解った、これは私が越えねばならない壁なんだね!」
リインは頷いて右手の剣を握り締めた。
「うわっはっはっはっ王女リインよ。
ならば掛かって来るがよい。
悪魔の力に勝てると思うのであればな!」
余裕を見せて笑うルキフェルに、横から茶々が入る。
「笑っていられるのは今だけだよ、大悪魔さん。
リインの力は神より授けられし物。
嘗めると痛い目に合うわよ!」
ミコトは大悪魔を鼻で笑うと。
「さあ!始めっ!」
ミコトが両名に戦闘開始を告げる。
「ルキフェル!闇へ還れっ!」
リインの剣が輝きを増し振り翳される。
「ふははっ、お前こそ消し飛ぶがいい!」
リインとルキフェルは同時に術を放つ。
「烈風斬っ!」
「暗黒邪波!」
2人の中間で術がぶつかり合う。
((グオオオォッ))
猛烈な術が鬩ぎ合い、空間が揺らぐ。
「ほほう、やるではないか王女よ!」
ルキフェルが赤黒い瞳を細めてリインを睨む。
「まだまだ!次はこれで・・・どう!?」
リインの剣が一閃して斬波が飛ぶ。
「龍牙破!」
青く輝く斬波が龍となってルキフェルに牙を剥く。
「ぬおおっ!」
ルキフェルの身体を龍が貫いた。
「ぐおおっ、なんて術だ。HPが半分持っていかれたぞ!」
ルキフェルは風穴が開いた身体を回復させながら苦しむ。
「なかなかやるではないか。ではこちらから・・・」
ルキフェルがまごまごしている内に、リインが宙を飛んで斬りかかって来た。
「獣王斬!」
気合で剣を振り下ろすリイン。
((ザシュッ))
肩から斬り裂かれた大悪魔ルキフェルが絶叫する。
「ぎゃああっ!」
リインが攻撃の手を緩めず斬りかかる。
「聖破斬!」
今度は胴を横に斬られてルキフェルは屑折れる。
「がはっ!」
屑折れたルキフェルに剣を突き付けたリインが、
「ルキフェル、覚悟っ!」
トドメを討とうと、剣を構える。
聖王女リインは大悪魔ルキフェルを追い詰める。
しかし闇の住人はまだ倒れてはいなかった。
闘え!聖王女。負けるなリイン。後には食欲魔女ミコトが付いてる?ぞ。
次回 闇を斬れ!後編
君は本当の望みを知る。未来へ歩む希望の願いを・・・





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