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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第7章 永遠に紡がれる物語 Together Forever EP2The heart that hauled in手繰り寄せる心の行方 Part4 

作戦が練られている時、空から現れるのは黒雲。

その中に姿を隠す者は?


チアキは望んで空へと向かう?

艦隊上空に黒雲が近付いて来た。


戦艦<フェアリア>の電波探信儀に映る金属体が意味している処は。




電探レーダーに反応あり!飛行機械が1機近づいてきます!」


捜索電探に捉えられた機体。

黒雲に隠されているが、明らかに敵機の反応が現れていた。


「唯の一機・・・それが意味するのは・・・」


戦術室で報告を訊いたシマダ艦長が呟く。


「ええ、現れたんでしょうね・・・ミハルが」


闇に染まった女神として確認されたミハルが再び現れたと踏んでマジカが答える。


「まだ、作戦自体も説明しておらんのに。

 早過ぎたなやって来るのが・・・」


シマダ艦長が言葉少な気に頷く。

戦術室に重苦しい空気が流れる・・・


「それでもミハル分隊長が現れたんでしょう?闇にに染められたままで。

 それならチャンスだと思わなくっちゃ!」


説明もされていないというのに、勇み足のチアキが重苦しい空気を破った。


「待てよチアキ。

 そう簡単に事が運ぶとは思えんぞ?」


闇に貶められた魂を救った経験のあるリンがチアキの勇み足を停めたが。


「簡単でしょう?ミハル分隊長を救えば良いのですから!

 私の剣で闇を切り裂いてみせますから!」


もう立ち向かって勝ち、ミハルを救う事だけを考えているチアキ。


「待ちなさいチアキ。

 リンの言った通りよ。そんな単純な事で救える筈が無いじゃないの!」


副長でもあるマジカ中佐が間に入るが。


「ふむ・・・しかし今は迎撃する事が先決だ。

 現れた敵がミハルだとは限らないからな・・・魔砲師隊を向かわせねばならん」


シマダ艦長は何かを考えつつ、メインコンピューターに話しかける。


「ミユキ、どう思う?ミハルだろうか?」


現れた敵が神の力を持つ者だとしても、ミハルだとは限らない。

もし、ミハルならば即座に作戦に映らねばならないが・・・


「「判らないわ、今の時点では。確かに強力な魔力を有しているようだけど」」


魔鋼機械からの返答も、確定要素は見受けられないようだった。


「やはりか・・・ならばここは敵が何者なのかを確認しなければなるまい」


シマダ艦長は集まった皆に向かった命じる。


「一時<ハウルの空>作戦を延期する。

 もしも敵の正体がミハルならば追い返す事だけに集中せよ。

 間違っても捕らえようとはしないように・・・以上だ」


迎撃の為だけに発進せよと命じた。

まだ本格的な救出作戦を行わない様にとの命令。


「艦長、もしもミハル分隊長だったとして・・・

 闘う事になったらどうすれば良いのでしょうか?」


チアキは、万が一空戦に縺れ込んだ時の事を訊く。


「それは各員の状況判断に任せる。

 差し迫った危険がない限り、闘わずに済む方法を考えるように」


シマダ艦長の代わりにマジカが命じる。

それは勝手知ったマジカだからチアキに釘を刺したようなものだった。


「判りました!それでは迎撃に上がります!」


釘を刺されたというのにチアキは直ぐ様迎撃戦に上がると応える。

戦術室から飛び出さんとしたチアキに呼び止める声が。


「落ち着けよチアキ少尉。

 もしもミハル姉だったら独りで当たるのは危ないぞ?!」


呼び止められたチアキが振り向くと、マモルが難しい顔で観ていた。


「解っていますよマモル少尉。

 私だってそれなりに考えてますから!」


何をどう考えているというのか?

はぐらかされたマモルも言葉を失ってしまう。


「まぁ、観ててください。

 ミハル分隊長直伝の方法で・・・やってみますから!」


挿絵(By みてみん)



ミハルと闘うのにミハル直伝?

言葉に詰まったマモルを置いて、チアキは駆け出して行く。

闇に染められた女神が待つ空へと駆け上がる為に・・・飛行甲板へと。




黒雲の中にある転移装置内蔵機体。

空間転移が行われる・・・神の神殿から。


装置に転移させられた娘が・・・


<マモルにどうやって知らせたらいいんだろう?>


茶毛を靡かせ、紅い瞳を開いた。


<どうやって私だって知らせればいいのかな?>


闇の魔法衣を着ている自分の姿を観ながら。


<きっと・・・解ってくれるよね、マモルなら・・・>


すこし・・・ほんの少し・・・微笑みを浮かべられた・・・


数時間前の出来事を思い出しながら。





___________





神の神殿へと連れ戻された・・・それは数時間前の事。


大魔王の企みで女神バリフィスを貶める為に。

自らの手でバリフィス・・・つまりリーンを壊す。

耐えがたい行為を与える事に因り、ミハルの心まで貶めようと企てられたのであった。


<お願いです・・・それだけは。

 それだけは許してください、私はどんな目に遭わされても良いから。

 リーンは、リーンにだけは酷い目に遭わさないで!>


身体の自由を奪われてしまっているミハルには停める事など出来ない。

操られるという事がこれ程までの苦痛を与えられるとは思いもしなかった。


<約束を破るなんて・・・酷いっ!

 どうすればリーンを救ってくれるの?何が欲しいというの?>


苦悶の声を心の中で叫ぶミハル。

だが、大魔王サタンは一言だけ教えるのだった。


「「お前の中にあるアンインストールフォルダを開くには何が必要なのだ?

  お前が本当の覚醒を果たすには何が必要なのだ?

  女神の力に目覚めたというのに、MIHARUはまだ目覚めぬのはなぜだ?」」


モニターから返されたのは自分にも分からないもう一人のミハルの話。


<知らないの、本当に知らないんだってば!

 私の中にもう一人のMIHARUが居るなんて知らないんだから!>


大魔王が求めているのはリーンの記憶だとばかり思い込んでいた。

だから太陽神のエンブレムに隠し、リィ君に護って貰っている。

だが、大魔王はそれよりもMIHARUとかいうもう一人の自分を求めて来た。


<それなら私を壊して取り出したらどうなの!

 リーンを穢す位ならいくらでも壊させてあげる、私はどうなってもいいから>


リーンを護りたい一心で、リーンを我が手で穢したくない一心で。

ミハルは身体を差し出そうとまでしていた。


「「駄目だ。

  破壊して取り出せるものなら初めから壊している。

  無理やり取り出そうと試みればフォルダに掛けられたトラップが作動するやもしれん。

  まかり間違えば我が身を滅ぼすような事にもなりかねんのでな」」


大魔王が溢した一言。

それが意味する事をミハルは心に刻みつけた。


<そうか・・・大魔王が怯える程の事が隠されているんだ。

 私の中に隠された秘密がどうしても必要なんだ・・・大魔王には>


でも・・・と、思った。


<今の私には抗う事も出来ない。

 このままだとリーンを穢そうとするに決まっている。

 大切な人を穢し、絶望と苦しみを与え・・・私を<無>にしようとしているんだ>


追い詰められた感覚。

このままだと間違いなく心までが貶められて、何も感じなくなってしまい・・・


<私・・・リーンを護りたかった。

 リーンだけは残って欲しい・・・例え私というモノが存在しなくなったとしても>


大魔王の前で、身体の自由を奪われた今。

リーンを護る為にはどうすれば良いのか。

自分に出来る事とは?


<解かった・・・あなたの求めるように、<無>になる。

 だからリーンに酷い事をさせないで。リーンだけには手を出さないで出させないで・・・>


絶望に染められた心が降参してしまう。

自分が全てを背負うと・・・自分独りがどうなろうとも。

しかし・・・


「「駄目だと言ったではないか。

  そなたが目覚めない限り<無>などになられても意味がない。

  <無>はそなたが覚醒した後になって貰えば良い事だ。

  アンインストールフォルダを無事に手にした後で・・・な」」


更なる絶望が与えられる。

悪魔の言葉がミハルを貶める。


<嫌・・・そんなの酷すぎる。

 どうしてそんな酷い事を言うの?私はどうなっても良いと言ったのに・・・

 目覚めるなんてどうすれば良いのかも分からないの・・・本当に>


押しつぶされていく心。

闇に染められ絶望の淵に立たされ続ける。


「「そうだミハルよ。

  絶望に澱み、心を差し出せ。心を闇に染められ<ブラックアウト>へとなれ。

  そうすればお前の中に秘められた光が見つけられる。

  お前の全てが闇に染まれば、MIHARUだけが輝点となってみつけられるだろう」」


それが大魔王の狙い。

ミハルを貶め、ミハルを闇に染め抜けば・・・


<私の中に秘められた秘密を見つけられる・・・

 だったら、今直ぐ闇に染めればいいじゃない!リーンに手を出さなくても!>


必死に抗った・・・最期の抵抗を。

大魔王は嘲笑う・・・ミハルの心を。


「「そなたは未だに解ろうとしておらんようだ。

  抗う事がどういう結末を呼ぶという事に・・・愚かなり」」


大魔王の言葉が終わる時・・・悪魔の夜宴サバトの幕開けとなる。


「「バリフィスを此処へ」」


モニターが呼びつける・・・宴の供物を。


身動きできないミハルの前に影が現れた。

大魔王の前で、立場を変えて再び凄惨な夜宴が始まろうとしていた。


心がもう潰え去ったかに思えた。

自らの手で愛する人を貶めようとは・・・耐えきれない苦痛でしかなかった。

出来るならば眼を閉じ、耳を塞いで・・・心まで閉ざしておきたかった。

だが・・・操られる身体をどうする事も出来ない。

眼も耳も・・・そして口も。

自らの意志に反して動かされ続けている。


<助けて・・・助けて・・・誰か・・・>


心は閉ざしても、声が意識に入って来る。

体を乗っ取られ操られているというのに。


「あらまあ・・・まだだったの?」


<えっ?!どうして?!>


耳に入った声に思わず心の眼を開いた。


声が、ミハルを差し招いていた・・・

  

集う者達が救出作戦を練っている時。

闇の女神が現れたのだった・・・が?!


何か違う何故だか雰囲気までもが違うようだった・・・


その理由が語られる・・・次回ケモミミ?!


次回 EP2The heart that hauled in手繰り寄せる心の行方 Part5

君はあの日交わされた魔法を覚えているだろうか?その一言を何度求めただろうか?

人類に残された時間は少ない あと11日!!

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