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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第7章 永遠に紡がれる物語 Together Forever EP2The heart that hauled in手繰り寄せる心の行方 Part3  

集う仲間達!


やってきたのは新たなる希望となれるのか?

巨艦の後部・・・

巨大戦艦の後部にある飛行機械格納庫。


格納庫甲板に降り立った複座ヘリは回転翼ローターを停めていた。



「リンさん、チアキ。よくここまで辿り着けましたね!」


先に着艦していたマモル少尉が声を掛けた。

魔鋼ヘリから降り立つ二人の魔砲少女に笑い掛ける。


「マモル准尉・・・じゃなかった。少尉、ご無沙汰しておりました!」


きちんと敬礼するチアキに対して、


「よぅっ弟!元気にしてるみたいじゃないの!」


赤毛のリンはオスマン以来の挨拶を軽く交わすのだった。


「リンさん・・・中尉になられていたんですね!」


オスマン航空士官を務めているのか、ユウキ・リンの階級章には二つ星が着いている。


「まぁね、マジカが士官待遇にしてくれたんだ。

 一時は敵側だったのにさ・・・肩身が狭くならないように計らってくれたんだよ」


階級章をいじくり、苦笑いを浮かべて尉官になっている訳を話す。


「そうだったんですね。

 チアキも近衛士官として勤めていたんだろ?ラミルさんも元気かい?」


オスマン皇国に駐在していた二人の事と、

派遣分隊長を務めているラミル中尉がどうしているのかを訊いた。


「ええ、ラミル分隊長は主力艦隊と行動を共にされておられます!」


昔馴染みの戦車兵友達の事を懐かしく聞いていたマモルに。


「ところで。

 私をこちらへ呼ばれた訳をご存じありませんか?

 突然呼び出されたもので・・・理由も何も知らないのです」


チアキがフェアリア艦隊へと単独呼びつけられた訳を訊ねる。


「うん?チアキが呼び出された?

 う~んっ、僕にも判らないなぁ・・・」


小首を傾げる世界で唯一の男子魔砲師が答えると。


「チアキ、取り敢えず着任を申告しに行かないと。

 私も一緒に艦橋まで着いて行ってやるからさ」


横から意味ありげなリンが口を挟んで来た。


「そうですね、その時訊いたらいいんじゃないかな、チアキ」


促すリンに同意したマモルが先に立って。


「それじゃあ早速。着いて来てください二人共」


艦橋へと続く甲板を歩み出した。








「ほう、そうか。戦闘ヘリだったか」


艦長席に座るミノリ2佐が修復作業中の艦内に眼を凝らしながら訊いた。


「そや!あれは日の本海軍でテスト機だった奴やと思うんや。

 それが唯の一機だけで現れた・・・ウチ等の艦隊に」


それが何を意味しているのか。

ホマレはマモルが連れて行った機体に乗る者が、何をするというのかを知りたかった。


「ふむ・・・イナリは何故か懐かしい力を感じたと言っていたが。

 あの搭乗員は日の本の人間かも知れんな」


ふむ・・・と、顎に手を添えたミノリが考える。


「それに私達日の本海軍にではなく、フェアリア海軍に着艦した意味も気になる」


有志連合軍艦隊とは謂えど、搭乗員がフェアリア艦隊旗艦に降り立つ事を選んだ意味は?


「何か、重要な作戦でも知らせに来たか・・・フェアリア海軍だけに」


考え付くのは、搭乗員が何か特別な意味を持ってやって来た事だけだった。


「そんなら、今に指令が送られてくるやろな。

 ウチ等がその作戦とやらに必要なら。違うんやったらなんも言ってこうへんやろ?」


今はフェアリア海軍艦隊からの指示を待つしかないとホマレは腕を拱いた。


モニターに映される巨大戦艦。

艦内にはフェアリア皇国が誇る魔法少女達が集っているとはミノリ達には知らされてはいなかった。







航海艦橋へと昇るエレベーターのドアが開く。


「ここが艦橋です、どうぞ!」


マモルが先に降りてくれと前を開ける。


「こ・・・こいつは?!」


開かれたドアの先にあるのは。


「これが戦艦の艦橋なのか?まるで未来画像でも観ているようだが?!」


リンがあっけに取られて周りを見回す。


「うわぁ~っ?!宇宙船みたいですぅー」


各部に付けられたモニター。

各員の専門職が指定された座席が並ぶ。

その座席に取り付けられたゲージが薄い蛍光塗料でも着いているかのように光を放っている。


「本当に・・・人間が造ったのか?」


型破りで知られたリンでさえ、驚きを隠せなかった。


「本当ですよねリン中尉。まるで神様が造ったみたい・・・」


あっけに取られるチアキが艦橋内を見回して息を呑む。


「さぁ、もっと中へお入りください。リン中尉、チアキ少尉」


エレベーターのドアが閉じ、マモルが背後から促す。


「ようこそ!リン、チマキ!」


2人が見廻している艦橋内から呼びかけられた。

前方の席から立ち上がった金髪の士官が振り返る。


「えっ?!ええええええぇーっ?!」


リンが素っ頓狂な叫びをあげ、振り返った顔に指を差す。


「よく来てくれたわリン、チアキ!」


立ち上がった白いユニフォームの佐官が二人に微笑む。


挿絵(By みてみん)


「マジか?マジカか?!」


リンがやっとその笑顔の人の名を呼んだ。


「マジカ大使閣下じゃないですか?!」


チアキが一瞬にして姿勢を正した。

金髪を肩下まで垂らした娘が微笑みながら応える。


「そう、今はこの艦の副長を兼任しているの。ここもフェアリアだから・・・ね?」


艦橋内部を刺したマジカが紹介する。


「はぁ?ここがフェアリアだって?どういう意味なんだい?」


リンが周りを見渡していると。


「この艦に名付けられている名は<フェアリア>なのです。リン中尉!」


茶髪を両肩で括り分けた少女が立ちあがって説明する。


「ようこそオスマンの英雄チアキ少尉。

 あなたの武勲はマモルから・・・

 もとい・・・シマダ少尉から伺っておりますよ、ごほんっ」


ルマ少尉が咳払いしながら自己紹介する。


「初めまして、チアキ・マーブル少尉。

 私はミハル大尉の幼馴染で、マモルの幼馴染でもあるルマ。

 以後お見知りおきを・・・願います!」


マモルの・・・と言った時に、ふんっ・・・と、力を込めるルマに、

チアキはふっ・・・と、息を吐く。


「なるほど・・・あなたがマモル少尉の・・・唯の幼馴染なんですね!」


オスマンで、マモルに手紙を寄越していた少女が居ると聞いていたが・・・


「幼馴染だけなら・・・勝負になりますね!」


ちらりとくだんの少尉を観て笑った。


「かちんっ!!」


銀髪のチアキと茶髪のルマの視線が絡み合う。


「何を言ってるのさ?それより父さ・・・いや、艦長はどこですか?」


睨みあう二人をほったらかしにして。

マモル少尉は中佐に訊く。


「ああ、島田艦長なら先に戦術室に降りられている。

 全員が揃ったら来てくれと頼まれているんだ・・・」


ちらりと睨みあうルマとチアキを観て教え、


「リンも同席を。

 これからの作戦にアドバイスを賜りたいと仰られていたからな」


曰く有り気な目を旧友に向けて頼んだ。


「うん?私も?」


その眼付に気が付いたリンが訊き返す。

頷いたマジカの表情が硬くなり、こう言ったのだった。


「ああ、一度は闇から救った娘がまたもや堕ちた。

 救う為に何が必要なのか・・・どうすれば良いのかを問いたいそうだ」


マジカの言葉に睨みあっていた二人も振り返った・・・






床に大型モニターが埋め込まれた室内。

ここは<フェアリア>の中央戦術室・・・


「これから悪魔と化したミハルを取り戻す為、<<ハウルの空>>作戦を執り行う。

 諸官の忌憚なき意見を聞かせて頂きたい」


初めに艦長である島田しまだまこと少将が作戦名を告げた。


「先ずは観て貰いたい。

 マモルによると、ミハルは確かに人類に対し敵意を抱いている。

 艦隊に向けて魔砲を放とうとしていた事からもそれが解る・・・」


モニターには上空で両手を翳し魔砲の光を表している黒き魔法衣姿のミハルが映っている。


「だが、しかし。

 ミハルは単に操られているだけだとマモルは言うのだ。

 直接対峙したマモルが言うのだからほぼ間違いは無いと思える。

 ・・・そこで・・・だ」


マコトが指示棒を伸ばしモニターを指す。


「ミハルには悪いが捕らえようと思う。

 悪魔ミハルを捕まえる事で、敵<神軍>が焦りを覚え取り戻す為に打って出て来るだろう。

 その隙を突き一挙に敵本土迄攻め込む」


マコトはモニターに映し出された地図を示して捕らえたミハルを囮とする作戦を伝える。


「そこで問題は・・・ミハルをどうやって捕らえるかだ。

 なまじ女神化したミハルを我々が捕らえられるかが問題なのだが・・・」


そこで話を区切った艦長に、


「難しい・・・と、言いますか。

 無理ではないでしょうか?

 操られているという事は敵にもこちらの意図が知れるという事ですので。

 捕縛されたと解れば、最悪操る者によってこちらの意図を逆手に取られるような事にも?」


マジカ副長が手に持った資料を基に、考えられる最悪のシナリオを言う。


「ミハルが敵にとって重要な事はこれまでの経緯からもはっきりしています。

 敵がすんなりと渡す筈もありません・・・最悪の場合には・・・」


資料から眼を話したマジカ中佐が周りに居る者達へ言った。


「ミハルを使ってこちらの意図を探りつつ、艦隊諸共・・・自爆するかもしれません」


集った仲間達は、マジカの意見に耳を傾けて黙り込む。


「ですが。

 捕らえずとも良い方法があるかもしれません・・・」


沈黙を破ったのは当のマジカ。

最悪の展開に至るまでに何か方法があると言うのか。


「マモル君が伝えた事が本当の事ならば・・・

 ミハルを捕らえずとも良いと思われます。なぜなら・・・」


マジカはリンを見据えて、


「悪魔と化した者でも、闇に貶められた者でも。

 光を与えれば蘇る事も可能だと思われ、また前例もあるのですから」


リンが暗にミハルを闇から救った件を話した。


「このリン中尉は、ミハル大尉を闇より解き放った前例を持っており、

 聖なる巫女として闘ってきた経験を持っています。そうだったでしょリン」


フェアリアとロッソアが戦端を開いている最中、ミハルは闇に堕ちてしまった事がある。

その時に救ったのが、このリンであるとマジカが教えた。


「うむ。そうだったなぁ・・・懐かしい」


感慨に耽るリンが頷き、でも・・・と、マジカに断りをいれると。


「でもなぁ、今の私には巫女の力は残ってはいないんだよなぁ困った事に」


苦笑いを浮かべて制した。

そのリンにもう一度念を入れるようにマジカが訊く。


「巫女の力はオスマンで消滅していた事は知っているわ。

 でも、どうすれば闇から助け出す事が出来るかは知っているでしょ?」


記憶が残っているのならば、その方法を教えるように促して来る。


「ああ、神の弓矢で・・・だけど。

 今はその神が相手なんだぞ?どうやって光の矢を使えられるんだ?

 神がおいそれとは譲ってはくれんだろう?」


神の矢を与えられはしないだろうと断って来たが、

マジカは首を振ってチアキを見詰める。


「えっ?!私ですか?私には弓矢なんて扱った事ないですよ?

 私に与えられているのは聖剣だけですから・・・」


見詰められたチアキが手を振って断るが、見詰めたマジカが告げる。


「その剣で悪魔と闘った事は?

 私の前で確か闇の僕達と闘ったんじゃなくて?」


オスマンでの経験が甦る。

確かにチアキは選ばれし者として闇と闘った経験がある。

その時は・・・


「で、でもっ!あの時は。

 あの時はミハル分隊長が来てくださったから・・・勝てたような物なんです!

 私独りの力では到底・・・・」


闇の戦いで苦戦した経験。

危ない処をミハルが現れて助けてくれたことを思い出す。


「そうかしらね?

 あの後、どこかの誰かさんはとっても強い力を持つようになれたんじゃないかしら?

 シャルレット王妃や、ラル王女・・・今のオスマン女王陛下から力を授けられて」


マジカの言葉にチアキは俯く。

その通りだったから・・・力を授かり強くなれた筈だから。


「チアキ、あなたは希望の光を覚えているかしら?

 あなたに授けられたのは強さだけでは無かった筈ではないかしら。

 オスマンでミハルや仲間から与えられたのは魔砲力だけじゃない。

 あなたの中に眠っていた希望の光が目覚めたんじゃなくて?」


チアキはマジカの顔を見詰める。

フェアリア皇国オスマン大使であったマジカの顔を。


「なにもかも・・・知られているんですね?

 リンさんからオスマンの秘宝を渡されたのも、

 シャルやラル様が私に光を授けてくださった事も・・・」


チアキは胸元を押さえて魔法石を表す。

蒼いひし形の魔法石がチアキの胸元に現れる。

魔力を秘めた石が緑の輝きを放つ・・・


「これ・・・オスマンの秘宝なんです。

 古来から受け継がれて来たとされる魔法の石・・・

 闇を撃ち祓い、遍く光を与えてくれる・・・神の宿りし石とされています」


魔法石を胸の中へ仕舞い込んだチアキが教えた。


「私・・・シャルやラル様に何を期待されているのか。

 私が何を為すべきなのか・・・漸く解ったような気がするんです。

 皆さんがどうして私を此処へと呼ばれたのか、解った気がするんです」


顔をあげたチアキがマモルを観ると。


「ミハル大尉は仰られていました。

 私は私のすべき事に全力でぶつかれと。

 友を護り、信じた道を歩むんだって・・・そう教えて頂いたのです」


蒼き髪、碧い目となったチアキが誓う。


「それが今なんだと。

 私が闘うのは仲間の為、友を護る為・・・

 喪われようとする魂を救うのが剣聖たる私の務めだと。

 そう感じています、だから・・・

 私がリンさんやマジカさんの替わりを務めて救ってみたいです、ミハル隊長を!」


新たな希望が。

あらたなる光がそこに居た。


マモルは未熟者だった魔砲師のチアキが、これ程までに強くなれた事に感動を覚えていた。

そして、自分にでもどうしようもなかった姉の救出に光が観えたように感じ始めていた。


「よし・・・それではチアキ少尉。

 この作戦は君に賭けてみよう。

 作戦名<ハウルの空>・・・チアキ・マーブル少尉に委ねる」


艦長がチアキの技に期待を込めて断じた・・・時。



((  ブブゥーウッ ))


艦内に警報が流れる。


「「艦橋より報告!電探に新たな機影を確認、唯の一機ですが反応が強い!女神ですっ!」」


現れた女神・・・


作戦を立てていた皆が予想しているよりも・・・早過ぎた・・・



集う仲間達!

チアキはミハル救出作戦に必要なのか?

それが意味しているのは?


作戦が練られ様としていた時・・・現れるのは?


次回 EP2The heart that hauled in手繰り寄せる心の行方 Part4

君は現れた女神と闘えるのか?でも、何故だかおかしい?何かが変わってる?

人類に残された時間は少ない  残り12日!  

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