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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第6章 終わる世界 EP10 End Of The World<終わる世界に>Part8

ミハルは自らの行為を悔い涙する・・・

「「ふん・・・愚か者めが・・・

  私が何も知らぬと思っているのかミハエルよ?」」


影がモニターの中で嘲る。


「「お前が何をしておったのか観て居らんと思ったのか。

  だが、何を企てても同じ事。

  MIHARUは・・・この娘は最早私の意のままに動く人形マリオネットになったのだ。

  自ら私に服従の証を求めたのだ・・・」」


大魔王サタンがミハルの胸に描かれた紋章を観る。

赤黒く描かれた闇の証。

それが刻まれてある間は身体の自由は効かない、ミハルの想い通りには。

いや、大魔王の意のままに動くだけの操り人形となったのだ。


大魔王は紋章から首に着けられた戒めを観る。

首輪と同じ戒めが両手両足に架せられてある。


「「ふふふっ、それを思い出したか?

  闇の世界に入っていた時にも・・・架せられていたであろう?

  堕神ルシファーによって外せられたが、今度は違うぞ?

  今度は誰もお前を助けてはくれないのだからな」」


大魔王はミハルが一度捕らえられていた事を知っているようだった。

あの時は魔王ルシファーが居た。

闇の中で辱めを受けそうになっていた時の事を知っていた。


<なぜ?大魔王はあの時・・・私が闇の中でルシちゃんに助けて貰った事も知っているの?>


動けない身体の中で、束縛されない心が考える。


「「不思議か?

  堕神ルシファーを悪魔に貶めたのが私だと解ったらどうする?

  お前を闇の世界に貶め、<無>としようとした事も。

  お前が人間共に利用されようとしていた事も・・・

  全て、私が仕向けた事だと知ったのなら・・・どうする?」」


耳から聞こえてくる悪魔の呟き。

ミハルの闘いは、全てこの大魔王が仕組んだ事だと言われた。

ミハルを覚醒する為だけに友達は死んで逝ったというのか。


<馬鹿な事言わないでよ!私から秘密を奪う為だけに?

 私を貶めて取り出す為だけに?今迄の事は全て仕組まれていたというの?>


睨みつけてやりたかった。

叫んでやりたかった・・・だが。


<この身体を自由に出来るのはリーンだけよ!

 私が心を許した人だけなんだから!あなたなんかに自由にさせないんだから!>


動かぬ身体に力を加えてみたのだが、もう指先さえも自由にならなかった。


<悔しい・・・悔しいよリーン。ごめんなさい・・・みんな>


想うのは助けてくれ続けた仲間の事。

自分が捕まってしまったから・・・どんな目に遭っているのか解らない人達を想った。


<ごめん、ホーさんミノリ艦長。リーンに早く逢いたかったばかりに・・・

 自分勝手過ぎたんだ私が・・・こんな事になるなんて。

 女神になって力が強くなったからって、思い上がり過ぎたんだ>


後悔しても後の祭り・・・

それでも後悔せずにはおられない。


身体の自由を奪われてしまったミハルの眼に涙が溢れてくる。


<そうか・・・眼は、耳は使えるんだ。

 目で見る事と音を聞く事は出来る・・・あっ?!>


その時やっと気が付いた。

この大魔王が自分に何をしようとしているかを。


<まさか・・・私を使って。

 大切な人達を襲わせる気では?私に絶望を与える気なんだ?!>


もし、顔が自由を効けたなら。

きっと蒼白になっていたであろう。

自分の身体を使われて、仲間達と闘う・・・そして。


<い・・・嫌っ、それだけは絶対に嫌!

 もし、ホーさんやミノリ艦長を攻撃する事になるのなら。

 ましてやマモルと闘わされちゃったら・・・そして。

 その結果・・・殺す・・・なんて・・・嘘よ!悪夢だわ!!>


身体を穢されるよりも遥かに恐ろしく感じる。

人から女神となった事で闇の住人に穢されても直ぐに回復できる。

だが、大切な人に手を下せば・・・戦う事になれば。


<ああ・・・そんな。

 そんなの絶対嫌・・・絶対に駄目なんだから。

 もしそんな事になるのなら死んだ方がまし・・・>


動かない身体の中で、最も恐れている真実に気が付く。


<あっ、あああっ?!私なんて事をしちゃったんだろう!

 大魔王に屈服するなんて!リーンがあれ程停めてくれたのに?!

 自分が身代わりになるって言った時に泣いて停めてくれたのに?!

 浅はかだった・・・私って、本当に救いようのない大馬鹿だ>


心が蒼白になる。

いっそこのまま死んでしまいたくなる。

だが、もう身体は自由を喪い動く事も出来ない。

自分の思う通りに身体を動かせない、それは・・・最悪を考えてしまう。


<嫌ぁーっ!誰かっ!誰か私を停めて。

 誰か・・・誰か・・・リーン・・・ルシちゃん・・・マモル・・・>


心が絶望に助けを呼ぶ。

大切な人の名を呼び続ける・・・心の中で。


「「ふふふっ!これからお前は悪魔。

  人類を滅ぼす者となれ・・・ミハルよ!」」


大魔王が人の子の名を呼んだ。

全て解っているとでもいう様に。


「「さぁ、お前を悪魔にしてやろう。

  私の手で・・・私の使徒となるが良い。

  世界の終わりを告げ・・・<無>へと導くが良い!」」


心を壊し始めたミハルへと、大魔王が命じた。

本当の悪魔とでも、表すのが過言ではない魔王たる者の声で。


<あああっ?!嫌だ嫌よ!誰かっ誰か・・・私を殺してぇっ!>


抗う術を無くした心が赦しを乞う。

自我が残された身体の中で。


その時・・・あの一言が甦る。

あの誓約が思い出される・・・ミハエルに与えて貰った微かな希望を。


<ミハエルさんが紋章に干渉してくれた筈・・・それだけが望みの綱。

 もし、私が堕ちても・・・それだけが希望。

 それで私が闘う事になっても・・・なったとしても。

 お願い・・・攻撃を掛けて来ないで・・・>


仲間達が自分に攻撃を掛けない事を祈るだけだった。


大魔王に因って身体に魔法衣が着させられていく。


身体に貼り付く紫色のアンダーウエア。

僅かにトップを隠しているだけのブラジャー。

殆ど履いていないに等しい程しか隠していないショーツ。

上も下も・・・体のラインがクッキリと分かり、紫色の水着にも観える。


挿絵(By みてみん)


魔法衣とは名ばかりの拘束具にも観えてしまう・・・

首輪と両手両足の戒めが下着を一層艶めかしく映した。


<ああ・・・こんなの嫌だ。

 こんなに心を汚されちゃうなんて・・・こんな酷い姿にされてしまうなんて>


眼に映る魔法衣姿に悲しみ、汚されていく自分に涙する。


「「良いぞ!素晴らしい闇の姿だ。

  もうお前は悪魔になったのと同然だ。

  もう<理を司る女神>ではない・・・女神ではな。

  お前は人を裁く<理を司る悪魔>ミハルになったのだ!」」


身体に纏わり着いていた闇の霧が掻き消え、暗黒の魔法衣に包まれる。


「うふふっ・・・あはははっ!」


口から出るのはミハルだった者の声。

艶めかしく・・・みずからを嘲笑う。


<嫌っ嫌っ嫌ぁっ!こんなの私じゃない!>


心は否定する・・・


「良いわ、素敵よ。この服、体にぴったり・・・厭らしい程に」


ぎりぎりまで露出した肌。

紅く澱んだ瞳を艶めかしく輝かせ、大魔王に答える。

その姿はミハルではなくなっていた。

その顔はもう女神の貌ではなくなった。


<ああ・・・こんな姿をみんなに晒すの?>


挿絵(By みてみん)


瞳の中で心が嘆く。


「「善かろうミハル。

  そなたを知る者共に死を与えてくるのだ。

  悪魔ミハルとなった事を人間共に知らしめるのだ!」」


大魔王は嘲笑う。

最早抗う事の愚かさを身を以って味わえと。

心までも貶め、秘密の在処を聞き出そうと試みるのだった。


「「あの空に居る者共に悪魔の力を示すのだ!行くが良い!!」」


大魔王サタンが命じる。

悪魔に身を堕とした、女神だった娘へと。


「はい、ユピテル様。

 私の手で皆殺しにして参りましょう・・・」


深々と頭を下げた悪魔ミハルの姿が闇に消える。

汚された魔法衣を纏い、闇のマントを翻らせて。


「「そうだ!そして堕ちるが良い!

  魂も身体も・・・全て私のモノとなるのだ!

  月の住人にも絶望を与えてやるのだ!

  誤った行為を二度と繰り返させない為にもな!」」


大魔王サタンは嘲笑う。

間も無く訪れる・・・世界の終わりに・・・


堕ちた体を嘆くミハル。


この先に待つ暗い運命に心を痛めるのであった・・・


次回 終わる世界 EP10 End Of The World<終わる世界に>Part9

   第6章最終話

君は黒雲を纏いし者と対峙する・・・悲しき運命の姉弟は・・・

人類消滅まで ・・・ アト 21日!!

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