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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第6章 終わる世界 EP10 End Of The World<終わる世界に>Part7

身体を蝕まれたミハルへ最大魔砲を放つミハエル。


闇の紋章を消し去れるのか?!

デバイス剣から延びた紅い光。

胸に刻まれた闇の紋章に突き立った・・・


「くそぉっ!打ち消せないっ!」


殲滅の女神ミハエルの力を以ってしても。

闇の紋章は消えない処か、疵一つつける事も出来なかった。


「ちきしょうっ!どうして打ち消せないんだ!

 私の全力でも消せないのか!こんな闇が!!」


紅き光の剣に全力を注いだが、大魔王サタンが施した紋章はびくともしなかった。


挿絵(By みてみん)


「早くしなければ・・・気付かれてしまう。

 この部屋に備え付けられた監視装置にバレてしまう・・・

 ごめんねミハル・・・やっぱりさっき言った通り。

 せめてミハルが心まで穢されないようにするしか・・・ないの」


デバイスから力を抜いたミハエルが最期の手段に訴える。


「ミハル・・・契約して。

 私と・・・このミハエルと。

 あなたは自分に攻撃して来る者だけに戦える。

 専守防衛だけに力を放てられる・・・自己防衛神となる・・・いいわね?」


ミハルの肩を以って誓約を求めた。


<うん、ミハエルさん早くっ!もう時間がないよ!

 大魔王が戻って来る前に術を掛けて!>


ミハルの答えに返事すら還すのも惜しみ・・・


「ミハルっ!受け取りなさい!闇の紋章にえがき加えるわよ!」


デバイス剣から魔法の文字が現れ出る。

紅き魔法マギカ文字スペルが闇の紋章に吸い込まれて行った。


それは身体を操る呪法に対し干渉する。

実働に影響を及ぼすが、操る事には支障が生じてはいない。

紋章は書き換えられた部分を認証してしまった。


闇の紋章の中に、殆ど判らない位の小さな光の粒が加わった。


「・・・なんとか。

 これで最悪は免れられる・・・ミハルをこれ以上貶めなくて済む・・・」


額の汗を拭って、ミハエルがため息を吐いた・・・



その時、闇が増した気がした。

ゆっくりとミハエルが振り向く。

そこに現れた者に感づいて、そこに映った者の眼を感じて。


「「何をしておったのだミハリューよ。

  その娘は最早、闇堕ちしたのだ・・・責めは必要ないぞ?」」


モニターから聞こえた大魔王サタンの声に、ミハエルはバレないようため息を吐く。


「ユピテル、この娘を闇に貶めたと言ったな。

 闇に貶めて何をさせようというの?

 貶めたというのならケラウノスを撃てるようになったの?」


デバイス剣を仕舞ったミハエルがワザとらしく話しかける。


「「なぜ、そのような事を訊くのだ?

  お前は人間共を叩けばいいのではないのか?」」


ミハエルは知った・・・この大魔王が焦っていると。

いつも泰然と答えていたのに、今は明らかに誤魔化した。


「そうね・・・でも、ケラウノスを放てるのなら。

 わざわざ人間の相手なんてしなくても良い筈よね?

 間も無く発射するのなら、尚の事・・・でしょ?」


カマを懸けてみた。

大魔王と名乗るコンピューターが、どう答えるかを。


「「今直ぐには発射せぬ。

  そなたは人間共がこの地に辿り着くのを遅らせて居れば良いのだ」」


大魔王の焦りが伝わって来る。

捕らえたMIHARUから自分を書き換えるフォルダを取り出せなかった証にも思えた。


「あら?もう間も無くタイムリミットよ?

 時が来れば放つのじゃなくて?発射キィーはバリフィスから取り出せたんじゃないの?」


畳みかけるミハエル。

答え次第では今後の作戦の執りようが替わると考えて。


「「バリフィスの記憶か・・・それも間も無く我が手の元に明かされるであろう」」


<やっぱり!これでもうしばらくの間は大丈夫そうね。

 リーンとミハルを救い出す時間が残された!>


大魔王の焦りの意味と、自分に残された僅かな時間が解った。

ミハエルは喜びを顔に出さないよう気を付けながら、そっと倒れたままのミハルに頷く。


「「ミハリューよ、そなたは此処で何をしておったのだ?

  確かに魔力を放っていたようだが・・・デザイアを救おうとしておったのか?」」


勘ぐられてはいけないと、咄嗟に口から出たのは。


「馬鹿じゃないの?私はこれまでの恨みを晴らしに来ていたのよ?

 ユピテルに邪魔されなかったら・・・斬っていたかもね?」


デバイスから放たれていた魔力を感づかれた。

疑われてはこれからの事にも支障が出ると思い、口から出まかせを答える。


「ユピテルがここに来たのなら。

 私は退散する事にするわ・・・仕事もある事だしね・・・」


ミハルをこのまま置き去りにするのは気が引けるが、

これから始める救出作戦の為にも心を鬼にして立ち退く決意を固めた。


「「うむ・・・そうするが良い。

  この娘はこれより闇の女神として人類を滅ぼす手伝いをさせる・・・

  私の手により貶められ、人を滅ぼす悪魔と化すであろう」」


大魔王サタンの言葉に、ミハエルの手が固く握りしめられる。


「そう・・・良かったわね」


振り返らず答えた声は微かに震えていた・・・怒りで。


「「ミハリューよ、観て行かんか?デザイアが闇の女神と化す姿を。

  私に因って穢れた姿となる<理の女神>デザイアの痴態を・・・な」」


震えているのは手だけではなくなる。

震えているのは身体全体・・・そして闘争心。


<覚えておけ!必ずミハルを助け出してお前を滅ぼしてやる!>


怒りに震えるミハエルは、踵を返して立ち去る。

大魔王サタンに振り向きもせず、ミハルに別れも告げず。


・・・唯、後ろからの視線を感じて。


邪なる者の視線と、闇に貶められていく悲しき瞳を感じて。

ミハルに掛けた魔法。

ミハルに賭けた希望。


最悪は免れると想うのか?

最後の時は免れると考えるのか?

一時凌ぎは生兵法だぞ?!


ミハルは心で抗うのです・・・が。

その姿に涙するのです・・・ミハルは。


次回 終わる世界 EP10 End Of The World<終わる世界に>Part8

君は自らの行為に涙する・・・後悔という名の罪の意識に

人類消滅まで ・・・ アト 22 日

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