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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第6章 終わる世界 Ep6 殲滅か希望か Part7

挿絵(By みてみん)


殲滅の女神ミハリューとミハルを護って戦うリヴァイアサンモードのリィ君!


闘いは神の領域と化す・・・

巨大な水柱が建った。

海獣の巨体が海に墜ちて・・・



見下ろす殲滅の女神がリヴァイアサンにデバイスを向ける。


「邪魔する気なのね・・・お前は!」


つい今しがた迄女神の魔法衣を着た娘がいたのだが、

海上へと降りたリヴァイアサンのたてがみに護られているのが見える。


「ならば・・・お前も消滅するが良い!」


ミハリューの光弾が海獣に向けて放たれる。

空中から海面に向けて。


紅き光弾が一直線にリヴァイアサン目掛けて墜ちて行く。


「やめなよ!ミハルを傷つけようとするのは!」」


リィ君の声がリヴァイアサンから流れ出る。

大きく開かれたリヴァイアサンの顎から。

紅き光弾に向けて開かれた口から破壊波動が迸る。


紅き弾と超音波破壊波動がぶつかり合う。


((グワアアァッ))


猛烈な衝撃波と爆焔が両者の中間で巻き起こる。


破壊波動を放った巨体をうねらせるリヴァイアサン。

紅き光弾を打ち下ろした女神。


両者の中間で巻き起こった爆焔が晴れると上空の女神が口元を歪めて言った。


「ふーん、使徒風情にしては少々魔砲が放てるっていうのね。

 お前が大口を叩けるのもその身体のおかげってこと・・・

 でもね・・・使徒が神に勝てるなんて思っているのなら大間違いよ!」


デバイス剣をリヴァイアサンに向けたミハリューが嘲笑う。


「お前が護るというのなら、共々に消え去るが良い!」


挿絵(By みてみん)


空の上から海上に向けて女神の魔砲が放たれる。

数個の紅き弾がデバイスから現れ、海獣に向けて放たれる。


「女神だからって弱い者苛めしちゃ駄目なんだよ!」


海獣からリィ君の言葉が放たれると共に、超音波破壊波動が迎え撃つ。


再び空中に爆焔が吹き上がり衝撃波が辺りを震わせる。


リヴァイアサンの鬣に包まれた女神の魔法衣を着たミハルは、

未だ半眼のまま身動きをみせなかった・・・まるで気絶しているかのように。






________________





殲滅の女神ミハリューが放った光弾が身体を襲った時・・・


「「あなたには秘密が隠されている・・・あなたはそれに気付かねばならない」」


遠くから誰かが呼びかけて来た。


「誰・・・?」


呼びかけた声に訊く。


「「あなたは箱の中から出なければいけない。

   与えられた運命さだめに気付かなければいけないの」」


遠くから聞こえてきた気がしたが、声はもっと身近から聞こえた様な気がした。


「誰?誰なの?」


眼を見開いて話しかけて来る者を探す。


「その前に・・・ここは一体?」


ぼんやりとした灯りの中に自分が居る事だけは解った。

だが、さっきまで居た空では無い事だけははっきりと分かる。


「あなたが私を呼んだの?ここはどこ?あなたは誰?」


闘いのさなかだった筈が、何もない薄暗い空間に居る事の不自然さが緊張を招く。


「話があるのなら姿をみせて。

 それに今私は仲間を護る為に闘っていたの。

 直ぐに戻らなきゃいけないの!じゃあないと女神に因って消滅させられちゃうの!」


どこに居るのか解らない話しかけて来た者に呼びかける。

だが、相手は姿を見せはしない。

薄暗い空間の中で、ミハル自身の姿さえもが影のようにぼんやりと見えているだけだった。


「「あなたは生き続けて来れた・・・人間の世界で。

   大切な事の為に・・・生き続けて来た・・・」」


再び声が聞こえる。

どこかで聞いた事のあるような声で話しかけてくる。


「姿を見せないというのなら私は戻るからっ、殲滅の女神を停めなくっちゃいけないの!」


話しかけて来る者に言われた意味よりも、今は一刻も早く戻って戦わないといけない・・・

そう考えたミハルが薄暗い空間から抜け出す事を考える。


「「あなたに宿る女神は何と名乗ったの?

  あなたになぜ宿ったのか訳を知らなければいけない・・・」」


ミハルがピクンと動きを停める。


ー  この声・・・やっぱりどこかで聞いたことがある・・・


それに・・・と、ミハルは胸を押さえる。


ー  リーンから託されたネックレスが熱い。

   リーンから授けられた力が渦巻いているような感じがする・・・


胸に下げているネックレスを押さえて感じていた。

声はここから流れ出ているのだと。


「まさか・・・リーン?リーンの声なの?!」


思わずネックレスを魔法衣から取り出して割れてしまっていた魔法石を観た。


「「あなたは気付かなければいけない。

  あなたはそこから出て来なければいけない・・・パンドーラの箱から」」


ミハルの思った通り、声は割れた魔法石から聞こえていた。


「リ・・・リーン?!

 リーンなんだねっ?私だよっ、ミハルだよっ!」


叫んで愛しい人の名を呼んだのだが。


「「あなたは気付かねばならない・・・目覚めねばならない。

   あなたの中に宿る者に教えねばならない・・・ある事を」」


声はリーンの声にしては感情がない。

だが、聞けば聞くほどリーンの声だと思い込んでしまいそうになる。


「ああっ、リーン!逢いたいよリーン!抱きしめたいよリーンを!」


ネックレスを抱きしめたミハルが叫ぶ。


「どこに居るの?今どうしているの?今直ぐ逢いたいっ逢いに行きたいよ!」


リーンを恋焦がれた声がネックレスに投げられる。

しかし、割れた魔法石は抑揚のない声で話すだけだった。


「「あなたは気付かねばならない。本当のあなたに・・・

   私の記憶を託した訳を知るのならば・・・目覚めなければいけない。

    女神バリフィスの声が届くのならば・・・」」


リーンの訊きなれていた声とは違う事が、初めて解った。


「リーン・・・あなたは・・・女神バリフィスだと名乗るの?

 だとしたら・・・あなたは私に宿った女神の・・・敵?!」


ネックレスを抱いていたミハルの眼から光が擦れて行った・・・


「私に宿るのは神を殲滅する女神だよ?

 人の味方をしてくれているデサイアさんなんだよ?

 もしリーンが女神になっているのなら・・・滅ぼさなきゃいけないんだよ?

 しかもあのミハリューの仲間・・・になんてなってるの?」


闘いの前にミハリューがバリフィスの名を語っていた事を思い出して、

ネックレスに宿るリーンの声に訊ねてしまう。

答えなんて返っては来ない事を知りながら。


「バリフィスなんて名で呼びたくないよ。女神になんてなっちゃ駄目だよ。

 どうせ女神になるのなら私だけの女神様になって・・・お願い」


眼から自然と涙が湧いて来る。


「リーン・・・私が傍にさえ居たのなら・・・オスマンなんかに行かなければ。

 私が・・・私さえリーンの傍に居れたのなら・・・・」


後悔と口惜しさが心を焦がす。


「リーンがもし女神となって人を滅ぼすというのなら・・・

 私はどうすればいいの?

 デサイアさんがリーンを滅ぼすと言ったらどうすればいいの?

 もし・・・リーンが私を敵に廻して闘いを挑んで来たのなら・・・」


それから先は声にならなかった。

人を滅ぼそうとする神々の仲間となっているのなら。

自分に宿った女神はリーンを滅ぼそうとするだろう。

その時、自分はデサイアを停めれるだろうか・・・その時リーンはどうするだろうか?


考えた先に見つけた答えは・・・


「そんな事が出来る訳ないよリーン。

 闘う事なんて出来っこない・・・

 リーンに手を掛けるなんて・・・考えるだけでも死にたくなるから」


ポツリと涙がネックレスを濡らす。


「「あなたは気付かねばならない。己の運命さだめを・・・

  目覚めなければいけない・・・大切なモノに・・・それが救世主たる者の務め」」


ミハルの涙に濡れたネックレスが何かを伝えようとしていた。


「「あなたは独りで立ち向かわねばならない。

  宿りし者に頼らずに・・・

   宿りし力を己が物に換えて救わねばならないのよ、私のミハル」」


眼を見開きネックレスを見詰めた。


「あああああああああ!」


心からの絶叫。

心からの歓喜。


最期に呼ばれた自分の名。

それは愛しい本当のリーンの声だった。


ネックレスを押し抱いたミハルが叫び続ける。

心からの<希望>を、胸に抱いて・・・


キターッ!リーン降臨?!


いいえ、声だけでした・・・ミハル残念!


さて、ミハルに呼びかけたリーンが求めるのは何か?

ミハルは気付けるでしょうか?

気付くんだろーナ・・・


次回 終わる世界 Ep6 殲滅か希望か Part8

君は光と闇を抱く者、そう・・・それは?!

 人類消滅まで ・・・ アト 56 日

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