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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第6章 終わる世界 Ep5 ジェットランド沖海戦 Part8

リヴァイアサンの影から現れた少年の顔に、ミハルは動揺する。


ここで逢ってはいけないその顔に・・・

記憶にある笑顔。


目の前に居る少年の顔は、ここで逢っては絶対にいけない筈だった。



「どう・・・して?」



手を伸ばしてリヴァイアサンと重なる人に訊く。


「何故君が・・・どうしてマモルの顔をしているの?」



そう。

ここに居てはいけない少年の顔へと手を指し伸ばす。


「でも、君の顔はずっと昔のまま。

 まだ少年の顔のまま・・・どういう事なの?」


ミハルの記憶に居るフェアリアで、

両親と共に暮らせていた頃の少年マモルの顔が笑いかけている。


挿絵(By みてみん)



「君のその顔は幸せだった頃の顔のまま。

 戦争でめちゃくちゃにされる前の笑顔のまま・・・

 私が魔砲使いになる前・・・何も知らなかった頃に観ていた笑顔のまま・・・」


リヴァイアサンに宿る少年に訊ねてしまう。


「うん?ミハルはこの顔に記憶があるの?

 不思議だね、この顔は遠い過去の姿を現しているんだって、

 海神さんが言っていたんだけど・・・知ってるのミハルは?」


リィ君が逆に問いかけてくる。


「知ってるも何も・・・その顔は私の弟の顔なのよ?」


でも。

顔は同じでも、髪の色は違う。

ミハルの弟は本来のミハルと同じく、黒髪だった・・・


ー  本当にマモルなの?


そっと手を伸ばして顔に触れようとしたが、魂は拒絶したのか手がすり抜けてしまった。


「駄目だよミハル。僕はリヴァイアサンに宿る者なんだから。

 触れる事は出来ないし、この声だってリヴァイアサンから発しているんだよ。

 自分の名前が判らない限り僕には模る事が出来ないから・・・」


龍の子にそう言われて気が付く。


「じゃあ・・・リィ君はマモルじゃないんだね?

 私の弟とは違うと言うんだね?」


確かめるようにミハルは目の前の少年を見詰める。


「その名前ではないよ。

 もし<マモル>だったとしたら、もう術は破られている筈だもの」


ほっ・・・


ミハルは心からため息を吐いた。


「そ、そっかぁ・・・マモルじゃないんだね。

 良かったぁ・・・あっ、いや、そのこれは・・・ごめんなさい」


少年に小首を傾げられてミハルが謝った。


「でも・・・ホント。そっくりなんだよねぇ・・・

 他人の空似ってこの事なのかなぁ?マジマジ・・・」


少年をじっくり見詰めるミハル。


「あのね?

 そんな事している場合なの?

 今は僕の事は後回しにして、どうすれば機械から抜け出せるかの方が優先でしょ?」


少年に釘を刺されて、はっと我に返る。


「そ、そう!

 君の顔に懐かしさが溢れちゃって・・・

 確かに今は脱出する方が優先ね!」


魔鋼機械からの脱出方法を考える事に専念しようとした。


「でも、魔力が足りないんでしょ?」


「う・・・うん。そうなの・・・」


あっさり、少年に問われて肯定する。


「それに・・・あの敵が残ってるからね?」


「えっ?!」


少年が指し示すモニターに映っているのは。


「最期の一隻が・・・倒せなかったの?!」


破壊波動を停めた最後の一隻だけが辛うじて空間に留まっていた。


「しまった!それじゃあここから出れない。

 あの敵を倒せない事には・・・もう一度魔砲を撃たなきゃ!」


6隻中5隻までは破壊波動をリバースさせる事で破壊出来たのだが。


「最期の一隻がもう一度破壊波動を撃ってきたら・・・

 イナリ様も太刀打ちできない事になる。

 私達の力が攻撃一本やりだから、防御障壁が張れないっ!」


ミハルは焦りを覚える。


折角ここまで頑張ったのに、最後に残った敵にやられてしまうなんて。


「リィ君!もう一度発射しよう!」


「だぁーめ!もう魔力切れなんだから!」


・・・・


さっきまで抜け出る事も出来ない程魔力不足を嘆いていた事さえ忘れていたのか。

ミハルの呼びかけは即座に断られる。


「あ・・・あああっ!そーんなぁ!」


頭を抱える損な娘。


「どーしようっ!どーすれば良いの?!」


機械の中でまたもやミハルがパニックに陥る。

リィ君だった少年の姿が元のリヴァイアサンへと戻る。


「ミハル、こういう時こそ落ち着かないと。

 騒いでたって何も解決にならないよ?」


何故か、達観したようにリィ君がミハルに諭す。


「そんな呑気な事が!

 あの一隻を倒さないとこっちがやられちゃうんだよ?」


焦るミハルが何とか知恵を絞り出そうと考えていたが。


「デサイアさんに頼めばいいのに・・・最初っから・・・」


・・・・・・・


・・・・


・・


「あ・・・あははははぁっ?!そういえば憑代だったもんね私・・・」


確実に忘れていたようだ・・・


「でしょ?

 僕がリヴァイアサンに宿っているように、デサイアさんもここに来れる筈だから。

 呼んでみたら?直ぐに現れると思うよ?」


今迄のシリアスは何だったんだろうと、ミハルは固まっているのだが。


「そ、そうね。

 じゃあ・・・そういう事で。

 デサイアさん、ちょっと来て欲しいんだけど?」


「うん?呼んだか?」


一瞬で現れた・・・女神が。


・・・・


・・・


・・


「ね?言ったでしょミハル」


龍の背中にミハルとデサイアが載っていた。


2人に向かってリヴァイアサンが話す。


「ミハルと僕をこの機械から出して欲しいんだよ。

 闇の力を使って・・・ミハルに教わって・・・ね?」


リヴァイアサンの瞳が少しだけ細まった・・・

 

ミハルの前に現れたデサイアは促す。


ミハルの中にある闇の力を教えるように迫るのだが・・・


次回 終わる世界 Ep5 ジェットランド沖海戦 Part9

君はあの辛く苦しい闇の中を思い出す。二度と堕ちない為に・・・

人類消滅まで ・・・アト 71 日

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