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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第6章 終わる世界 Ep4 神託の御子 Part11

神は人たる者に何を求めたのか?


フェアリアのある、この世界。

神と悪魔、そして人類はなぜ闘い合わねばならないのか?


人は神たる者の粛清に甘んじなければならないというのか?

世界は混沌の中に堕ちて行くのか?

今は遠き昔の事だ。


私は彼の地に居た・・・


神がこの世界を創る前にあった、人の世の片隅に。


創世されるずっと昔の話・・・神話の世界に・・・





人は自らの行為によって滅びた。

戦争という自らも滅んでしまう愚行に因って。


神は人類を見放したというのか。

神は人に何を求めていたのか・・・


滅びた筈の人類の中に、生き残ってしまった者達がいた。

滅んだ人類を呪い、戦争の罪過を呪い続ける者達が生き残った。


生き残ってしまった者達は、二通りの考えを持つようになる。


一つは、人類に与えられた試練を乗り越えようと考える穏健派。

アダムとイブのように世界をもう一度やり直そうと考える者。


もう一つの考えは、間違った選択をした人類そのものの変換を目論む強硬派。

仮初の世界を創造し、何度でも人を試す・・・創造主たる神へとなろうとした。


人類を造り直すために自らを神と名乗り、世界を設定した。

どうすれば人は争い殺し合わなくて済むのか・・・

後者の考え方は当初、理想を叶えられると思われていた。


そう・・・初めは。

自らを一段高い場所に置いて、人類の行動を監視するようになった時。


その考え方に支障がある事に気付かされた。


何度試みようが、人は争いを繰り返した。

最初は数人程度の争いで済んでいたものが、徐々に単位を増やし続けて行く。

やがてある土地に<王>と呼ばれる者が君臨するようになると、

次第に争いは激しさを増し、再び彼の地に<戦争>が現れた。


まるでパンドラの箱を開けてしまったかのように・・・


監視者達はその都度絶望に見舞われる事になった。


<<何度繰り返しても人類はやがて滅びの日を迎えてしまう>>


<<何度新たに創造しても人は同じ罪過を繰り返す>>


創造主たる者達は人類に絶望し始めた。


創造主達と意見の違っていた者達は、やがて人類を自ら導こうと思い立つ。

神の力を身に纏わせ・・・


人類を繰り返させられる愚行から護ろうと考えて。



ここに二つの勢力が誕生する事になった。


創造主たる神として世界に君臨する者。


創造主達の愚行から人を護らんとする者。


彼等は何度となくぶつかり、己が思いとは裏腹に人類を巻き込み戦争を行った。

その結果、人類に味方した者達は数で勝る創造主達に敗れ去る事になる。



世界は創造主達<神>の手で創り返られることになった。


新たな人類を自らの想いで造り、理想の世界を創ろうとして。


想い上がった考え方で・・・



そう。

それがこの世界の真実。


神たる者は人類に味方した者達を滅ぼす事は叶わなかった。

神を名乗る者達には同族を滅ぼす事は出来ない。

何故なら、自らの考え方に背く事になるから。

人類同士殺し合う事は、今自分達が行っている理想と真逆だから・・・

自らの存在意義を失う事になるから。


神を名乗る者達は、人に味方した者達を封じる事にした。

神たる者と同じ能力を持つ者を形を換え、世界の中へ塵尻に封じたのだ。


力ある者達は封じられたとはいえ未だ、目覚めの時を待っている。

人類の未来を想い。

人類が生き残れる未来を願い。


果たされぬ願いを宿したまま・・・




私は願う・・・約束を果たしたいと。


遠い昔に交わした約束が、私を目覚めさせると信じている。


2人で交わした約束が人の世に<希望>を齎すと信じて・・・




_________________




独り・・・彷徨っている。


ー  ここには僕の求める人はいない・・・


とある町はずれに僕は佇んでいた。


ー  どこに行けば逢えるのだろう?


記憶に居る懐かしい人の面影を頼りに旅立ってから、もう何年が過ぎただろう。


ー  もう・・・逢えないのかもしれない・・・


旅の辛さが気分も萎えさせてくる。

自分が何故これほどまでに想うのか。

探し出せるかも判らない旅路が、心を閉ざさせる。


ー  この旅路の果てにあるのは、一体何だというのだろう?


とぼとぼと歩き出して丘の上へと向かいながら、またいつものように考えてしまう。


見晴らしの良い丘へと上り詰めて、眼下に見える街を眺める。


ー  この町にも・・・居なかった。

   じゃあ、次の土地には居るのだろうか?

   宛てもなく旅を続けるのが僕に与えられた宿命うんめいなのか?


初秋の風が心地よい。

襟元から流れ込む渇いた風が肌を癒してくれた。


ー  きっと・・・逢える。

   そう考えて旅立った。

   そう願って求め続けた・・・あの人に逢える事を。


   ・・・蘇った記憶を信じて。

   僕が神だった時の記憶に目覚めたから。

   彼女は僕と同じ想いで待ち続けてくれている筈だから・・・


丘の上から見下ろした街から空へと顔を上げて、

僕は遠い過去に想いを巡らせた。



挿絵(By みてみん)










彼方の空は、まだ蒼く澄み渡っていた。


自分達の周りの様に薄汚れてはいない。




海は荒れ、空には黒煙が舞っている。


生きる者達が絶望に立ち向かっていた。

生き残る為に抗うのだった。



空には黒い雲が、海には波飛沫を立てる獰猛が。

まるでこの世の終わりを告げるかのように集まって来ていた。


神々は人に何を求めるのか。

人は神に希望を願うというのか?


人たる者は神に抗ってまで生きる事を望む。


そう・・・昔々から今日まで。


人は生きる為に闘い、死から逃れんとする。

それが人たる者のことわり

それこそが人類が求める真実。



神の御子たる者達の闘いは、果てしなく続くのだろうか?


女神を宿した者は自らの運命を切り開こうと闘う。

優しき心の持ち主、魔砲使いの娘は前を向く。


大切な人との約束を守る為。

大切な人達を護る為に・・・





神軍の艦隊との海戦が激しさを増す中、

ミハルは魔砲を放つ・・・世界を取り戻す為。


人の手に取り戻し、大切な人達と共に・・・生き続ける為に・・・・



<神軍>の艦隊と雌雄を決っせんと砲火を交える<薩摩>。


ミハルは女神としてではなく<人>として闘いに挑む。

大切な人を護り、大切な想いを抱いて・・・


人類消滅まで残された時間は・・・残り少ない。


次回 終わる世界 Ep5 ジェットランド沖海戦 Part1

君は人類の存亡を賭けた闘いに身を置く・・・大切な人を護る為に!

君は生き残る事が出来るだろうか・・・

人類消滅まで ・・・アト 79 日 !

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