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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第6章 終わる世界 Ep4 神託の御子 Part6

近付く戦期!

近付く艦隊!!


戦いの時が迫る・・・迎撃態制を執る<薩摩>

ミハルは思わぬ命令を受けていた・・・・

空と海を圧して、艦隊が征く。


マストに青い旗を翻して・・・有志連合軍の旗をはためかせて。




「司令長官!来ましたぞ<神軍>の艦隊が。

 我々の想った通りに、第7艦隊に向けて!」


報告欄を片手に持った参謀長が部屋に飛び込んで来た。


「それで?」


司令長官は机に向かったまま背中で訊く。


「はっ!<<敵艦隊ミユ、地点ジェットランド沖240マイル>>です。

 奴等は我々の作戦に引っ掛かりました。

 敵の本拠は空になったようです!」


参謀長は自信たっぷりに報じたのだが。


「君、確かかね?

 敵が全部隊を派遣部隊に送り込んだと確認できるのかね?」


司令長官は背中を向けたまま訊ね返す。


「はっ?

 い、いえ。それはまだ・・・」


参謀長は答えに窮したのか、言葉を濁して答える。


「いいかね、この作戦に失敗すれば最早人類に希望は残されていないのだよ。

 情報を確実なものにしてから報告を入れたまえ」


背中を向けたままの司令長官に、参謀長は敬礼を贈り部屋から退出した。


ドアが閉じられると、司令長官は机の上にペンを置く。


「お前は生きて還って欲しかった。

 全責任は私が執れば良かったというのに・・・

 もう、この書簡がお前に届く筈もないというのに」


司令長官がもう一度書き上げた書面に眼を通した後、帽子を取って立ち上がった。



書面には吶々と書かれた文面がある。

その最後に充てられた送り先に記された名は…源田げんだ みのり






母艦上空に展開するのは魔砲師隊23名。


上空直掩隊に回されたホマレ3尉率いる第1中隊9名は、

3人づつの小隊に別れ母艦上空を旋回する。


第4小隊を率いる大高2尉の3名は先行して索敵配備とされていた。


改造空母<翔鷹>からの魔砲師隊12名はホマレの中隊に続いて上空に控えていた。


それら航空士たちの中にミハル1尉の姿は見えない。



「今日の指揮はウチが執る。

 全魔砲師は日頃の腕を発揮し敵に当たれ。

 間違っても死に急ぐんやないで、いいな!」


ホマレは1番騎として命じる。


「小隊長、今日はミハル1尉が指揮官ではないのですね?」


2番騎を務める仁科にしな2曹が訊ねると。


「なんや?ウチじゃ役不足ってか?

 ミハルは主砲を受け持ったんやから・・・

 魔砲師の力を存分に発揮できるようにな!」


振り返るホマレは<薩摩>の左舷主砲塔を観て教えた。




「ミハル1尉、マイクとヘッドフォンのテストです。感度は?」


レナ砲術長の声が流れ出る、ヘッドフォンの感度は良好の様だ。


「感よろし・・・でもね、私も空戦に加わらなくていいのですか?」


砲手席に座っても、まだ気になっているのか訊ね返すミハルに。


「お前は本来の任務に就けば良い。

 砲手の魔砲師であるミハルを使わんてはないからな。

 それに今日の相手は大型艦ばかりなんだ、力ある砲手がどうしても必要なのだ」


砲術長の魔力だけでは対抗できないと判断したミノリの命令で、

ミハルは主砲砲手とされていた。


電探レーダーに写る敵影から判断したミノリは、艦隊決戦を覚悟していた。

これが自分達に与えられた任務だと認識を新たにして。


「良いかミハル。

 敵艦隊との砲撃戦に突入するまで、本艦の攻撃力を維持できるか。

 全てお前の腕にかかっているんだぞ。

 航空攻撃でダメージを喰らえば、艦隊との砲撃戦の前に手も足も出せなくなる。

 そうならないように務めるんだ、いいな!」


「えっ・・・出来るだけ善処します・・・」


艦長命にも自信なさげに応えるミハル。

主砲塔に一人座らされたミハルの肩に、龍の子がチョコンと載った。


「大丈夫さミハルなら。

 ミノリさんの言った通り、砲手が専門なんだろ?

 だったらミハルの自慢の魔砲を見せてやれば良いんじゃない?」


リィ君がお気楽そうに耳元で話すが、当のミハルは気が気ではなかった。


「それはそうだけど。

 私が気になっているのはホーさん達の事なの。

 誰も傷つかなければ善いんだけど・・・」


自分が居ない事で仲間達の身に、悪い事が起きなければ・・・

そう思っているようだった。


挿絵(By みてみん)



「ミハルは自信家だねぇ。

 でもさ、ホマホマたんも任せろって言ってたから。

 それに、こいつでやっつけたら良いんじゃないの?」


リィ君が前にある大きな砲尾を鼻先で示す。

主砲連装2基2門の28センチ砲で、助ければ良いのだと。


「そうだけど、やっぱり心配なの。

 ホーさんは無茶をしたがるから・・・それにね・・・」


ミハルが心の中で気付いている事を口に出した。


「敵の艦隊が狙っているのは私・・・私を消し去るのが目的なんだ。

 前に遭った神の娘が私の事をバグって呼んで、睨んでいたもの。

 何か呪うような蔑むような顔で観ていたんだもの・・・」


うな垂れたミハルを観て、龍の子が驚く。


「ミハルはみんなを巻き込んじゃったって思ってるの?

 みんなを危険な目に遭わせてしまったと、責任を感じているの?」


人の心を持つ龍の子が訊きながらミハルの顔を覗き込む。


「責任とかじゃないけど。

 もし、みんなの身に何かあったらと思うと・・・じっとしていられないの。

 傍に居られないのが辛いんだ」


ミハルはリィ君に答えると、モニターに映る空をじっと見つめた。






「敵艦前方に展開中。

 鶴翼の構えで包囲する気です!

 今の距離、母艦から30マイル。

 上空に護衛機多数の攻撃隊が発進しました」


ジュンの報告が艦橋に報じられた。


「よし、戦闘!

 各配置に戦闘を指令せよ」


艦長のミノリ2佐が、遂に戦闘開始を命じる。


((タンタンタタカターン))


戦闘開始のラッパが勇ましく鳴り響く。


「各配備において最善を尽くせ!戦闘っ、対空射撃用意!」


砲術長の命令で、対空火器が一斉に鎌首を擡げる。


「主砲3式弾、電探射撃用意!

 一斉射撃、斉射準備をなせ!」


ミハルの居る主砲にも射撃準備命令が飛んで来た。


「はっはい!射撃用意!」


突然の命令にミハルは少なからず動揺する。


右手の魔法石に力を籠め、デバイスランスを魔鋼機械に掲げる。


「「デバイス確認・・・操作準備・・・完了」」


モニターに射撃能力値が投影される。


「えっと・・・3式弾、3式弾・・・」


弾種選択の処でマゴマゴしてしまうと。


「主砲っ、どうした早くしないか!」


レナ3尉の叱責がヘッドフォンから響く。


「そんな事言われたって。

 主砲の操作に慣れていないんだから・・・」


必死に操作させながら愚痴を溢すと、即座に言い返された。


「グチグチ文句を言わないで!

 慣れてないなら今慣れなさい!」


階級抜きに3尉に再び叱責を喰らう。


「ふぇえ~んっ、わっかりましたぁ!」


ミハルの姿は艦橋のモニターで逐次監視されている。


文句を言いながらも徐々に手際よさを上げて行くのが手に取る様に解る。

レナもミハルが並みの砲手でないこと位、それだけで十分理解出来た。


「主砲電探射撃準備よし!」


ミノリに対して砲手は宜しいという意味を込めて報告した。


「うむ、発砲を命じるまで待機させよ。

 先ずは航空戦からだ!敵機が掻い潜って来た時に発砲する」


ミハルにも聞こえる様に回線をONにしたまま、ミノリが命じる。



艦橋のモニターに敵機の大編隊が映り始める。


いよいよ闘いの幕が切って落とされるのだった。


艦隊と、単艦との決戦が・・・


敵艦隊からの攻撃隊が迫る。


上空に展開する魔砲師隊。

その眼下の海上では・・・


次回 終わる世界 Ep4 神託しんたく御子みこ Part7

君は自らの運命に従おうと言うのか?水漬く屍となりし運命に・・・

人類消滅まで ・・・アト 84 日

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