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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第6章 終わる世界 Ep3 眼下の敵(リヴァイアサン) Part9

いざ!

決戦の時が訪れた!


航宙戦艦<薩摩>に雷が放たれる!

人を呪う神がいた。


人を滅ぼそうと試みる神が居た。


偉大なる力を持つ神が何故、人を滅ぼそうとするのかは誰にも判らない。


荒ぶる神はその手を下す・・・大いなる力を以って。


人は神の怒りを恐れ、逃げ惑った・・・



やがて生き延びた人間ひとは荒ぶる神をこう呼んだ。



<<邪神じゃしん>>・・・・と。



人々は邪神に怯え、新たな神に縋った。


人知を超えた存在に。


邪神から護って貰えるように。


人の真心を知る新たな神は、邪神を破った。


人々の前に現れた神は人々に崇められた。


その姿から<<女神>>と讃えられて。


邪なる神を打ち破った<<戦女神>>(いくさめがみ)と呼ばれて・・・・



 「フェアリア聖古伝聞書 第6章 殲滅の女神 より」






深海から浮き上がって来た巨大潜水母艦の正体は・・・


「主砲っ、超電磁砲スーパーレールガン射撃態勢しゃげきモードに移行!

 敵巨大潜水艦に砲撃を掛ける!」


ホマレがミノリ艦長に報告する。


戦闘艦橋のモニターにも、水中の様子が見て取れた。


「奴の発射が早いか・・・こちらの射撃がアレを停めれるか。

 全てはこの一撃に掛かっている・・・」


ミノリは祈るような気持ちで女神モードのミハルを見詰めた。

黒い神のマントを羽織る魔法衣姿の女神を。


「イナリよ。

 お前も神なら、この結末がどうあるのか知っているのではないか?」


身体に宿る狐の神に、自分達の運命を訊ねる。


「おっコン。

 それは神のみぞ知る・・・ワシも神じゃった(笑)。

 正直、この結末がどうなるのか・・・知らんのじゃよ」


神であろうが、闘いの結末は解らないという。


「じゃがのぅ、ミノリよ。

 あの娘の力を信じる気なんじゃろぅ?

 日の本におわす八百万やおよろずの神をして、

 目覚めさす事が出来なかった女神・・・いや。

 希望の子を信じる気でおるんじゃろ?」


イナリの声に、ミノリは黙って懐に手を突っ込む。


「そなたに命じた皇祖神を信じておるんじゃろぅ?

 あの娘が間違いなく神が創り給うた<希望>だと信じておるのじゃろう?」


イナリには何も答えず、懐に仕舞ってあるお守りを握り締める。


「願いとか希望とかは関係ない。

 私が欲しいのは、人を滅ぼそうとしている神を倒せる力だ。

 その力がミハルにあるのなら、使うだけの事。

 敵たる者を滅ぼせるというのなら邪なる神だろうが構わない。

 人が生き残れるのならその力を使うまで!」


懐から手を出したミノリ艦長が宿りし者に返した。


「ほっほっほっ、詭弁じゃろ。そなたの想いは知っておる故な」


狐の神は笑う。

身体に宿る神が笑いだした事で、闘いの結末をミノリは知った。




「そなた・・・私が女神と知っておるな。

 あの箱を壊せば、神たる者が本性を現す事になる。

 その時には人知を超えたいくさとなるぞ?」


蒼髪を靡かせた戦女神たる娘が警告した。


「そやけどミハル。

 先ずはアイツを撃破せんことには。

 あの強烈な魔法の砲で撃たれたら、一巻の終わりなんやで?」


左舷第1砲塔内で、ホマレは女神となっているミハルと話す。


「それは解っておる。

 だが、あのいれものを壊せば間違いなく奴が出てくる。

 その時に、どうやって闘うかが問題なのだ!」


右目を紅く輝かせたミハルが苛立った声で答えてくる。


「そないにか?

 あの潜水艦をぶっ潰せたら終わりやないのんか?

 ミハルはその相手と闘うつもりなんやな?」


頷いて答える女神のミハルに。


「そいつ・・・手強てごわいんか?

 そないに強い相手なんやったらミハル独りで闘わんでも・・・」


ホマレが味方になると言うつもりで勧めたのだが。


「駄目だ!人には到底太刀打ち出来ない。

 却って足手纏いなだけだ!人の姿を替えれぬ者には無理だ!」


教えられた事がイマイチ飲み込めない。


「ほんならなにか?

 ミハルは人の姿を捨ててまで闘うのんか?」


「奴がそれを望むのであれば。

 神の領域で闘う事を望むのであれば、私はその場所で闘おう」


益々混乱した。

女神モードのミハルは確かに女神なのだろう。

神を打ち破る戦女神は、敵たる神を追い求めているようだった。


「人の子よ、解ったであろう?

 あの箱を潰した後は、この女神が闘う本当の神滅戦となる。

 私が勝つか、奴が滅びをばら撒くかは時の運。

 そなた等は即刻この場を立ち去るがよい」


女神は<いれもの>と呼ぶ潜水母艦を槍で指し示して宣告した。



「はぁ・・・ミハルを置いて逃げる訳にはいかへんやんか。

 先ずは女神さんのお力で、あの禍々しい艦を撃沈してーぇな!」


女神が言った事を理解したのかしていないのか。

はたまた、解っているのに無視しているのか。


ホマレは女神ミハルを砲手席に座らせると。


「全力全開でアイツを撃沈してや!先ずはそれからやろ?!」


モニターに映る敵巨大潜水母艦を指さした。


「そなた・・・名はなんという?」


女神モードのミハルが改めて名を訊ねてきた。


「ホマレや、女神はん。誉・・・中島のホマレ。

 憶えておいてくれなや、ミハルの女神さん」


「中島・・・のほまれ。よかろう、覚えたぞ!

 今よりそなたの事を<ホマホマ>と呼ぶ事にしよう!」


・・・・・


「なんで神様はウチの事をそう呼ぶんやねん・・・Orz」


がっくり肩を落としたホマレが呟いたが。


「ホマホマ、それでは彼奴きゃつの箱を打ち壊してみせよう!」


気にもかけないのか、女神モードのミハルが射撃態勢に入る。


「この身体に染み付いた魔砲の力を呼び覚まし、

 我が力を以って敵を討ち祓わん。

 私の全力全開の力をこの武器に与えん!」


女神モードのミハルが右手を翳した。

その途端に、警報音が鳴り響く。


「「超電磁砲スーパーレールガン充填許容力オーバー!危険です」」


装填手席でゲージを見たホマレが驚く。

ゲージは遥かに許容量を越え、充填ゲージを振り切っていたv。


「げっ?!マジか?」


正にデスチャージ。

すぐさま発射しなければ・・・


「壊れちまうやんか?!」


ホマレが叫ぶよりも速く、艦橋から発令される。


「何をしているっ、早く撃て!

 さもないと自爆してしまうぞ?!」


レナ3尉が急かしてきた。

艦橋から見下ろした第1砲塔の砲身から蒼いスパークが飛び散っているのが見える。


それは初めて発射する電磁砲レールガンだとしても、異常な光景に映った。


「そや!このパワーを第2砲塔へ廻して、分散させるんや!」


ホマレが想いつくのと同時位に、ミノリが発令する。


「レナ!第2砲塔にリンクを急げ!主砲同時射撃用意!」


急いでリンクボタンを押し込んだレナ3尉の前で、第2砲塔が急激に旋回を始めた。


「リンクしましたが、オーバーパワー治まりません!

 限界まで後10秒っ!爆発しますっ!!」


堪らず頭を抱えるレナ3尉に、ミノリが叫んだ。


「主砲同時射撃!各員衝撃に備えよ!」


その叫びに我に返ったレナが。


「各員対ショック、対閃光準備!発射始めぇっ!」


自分も艦橋ガラス窓から眼を逸らして衝撃に備えた。



傾いた艦側に向けられた、上下に分割された砲身が蒼き光を放っていた。


「「危険です 危険です 危険です 」」


モニターに警告表示が浮かんでいる。

ホマレは生きた心地ではなかった。

今直ぐ発砲しなければ砲身自体が電磁波を押えきれず、下部の弾火薬庫を誘爆しかねない。


「はよぉっ、早よぉっ!撃ってぇなぁっ!」


もう叫ぶしかなかった。

女神ミハルに叫んで頼むしかなかった。


「ホマホマよ、それでは・・・娘に預けた」


その一言が、ホマレに聴こえた瞬間。


「ホーさんっ!撃つよっ、撃ち方始めっ!」


「えっ?!」


その後ろ姿に気付いた時には・・・


ぇっ!」


魔砲の砲手が蒼髪を靡かせていた。

十字線中央に、巨大な潜水艦の開かれた顎の中を併せて。


女神モードを一瞬解除させたミハルがトリガーを引き絞った。


「ミハルっ?!そんなどうやって?」


女神モードから?

呪われた女神から戻れたのか?


ホマレの疑問に応えるのは、解答ではなく。

強烈な発射音だった・・・


((ギュグルルルッビシャアァッ))


蒼き光が砲塔の中まで入って来た。


猛烈な電磁波が女神の力を受け、極大魔砲の弾を打ち出した。

全砲門から4発の碧い砲弾を撃ち出す。


挿絵(By みてみん)



その蒼い弾は水中だというのに劣ろう事もなく、真一文字に巨大潜水艦へと伸びていく。


「これが・・・女神ミハルの力。

 いいや、我等人類ひとの希望の光なのか・・・」


ミノリは水中をモノともせず突き進む蒼き弾に呟いたのだった。


やはり頼りとなるのは魔砲師ミハルの射撃術なのか?


女神も預けるその技に、巨大潜水艦を倒す事が出来るのか?!


次回 終わる世界 Ep3 眼下のリヴァイアサン Part10

君の実力は女神を凌ぐというのか?巨大な敵を撃て!

 人類消滅まで ・・・アト 94 日

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