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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第5章 蒼空の魔砲師 Ep7 蒼空に願いを Part1

遂に、第5章最終Epに突入!

ミハルは強大なる敵にどう挑むというのか?


挿絵(By みてみん)


迫りくる群雲むらくもの中から、無数の黒点が現れ出てくる。


その一つ一つが蠢き合い、一群となって飛び来るのは・・・





「敵小型機の大編隊、目標を首都に向けました!

 繰り返します、敵の目標はフェアリア皇都です!」


修復途中の第1艦橋下部の臨時司令塔、

第2艦橋では電探担当下士官からの報告に皆が顔を見合わせていた。


「敵はいよいよ本土への攻撃に踏み切ったようですね」


新航海長に任命された江名 みつる3尉が後ろを振り返って言った。


「本艦の修理状況は約半分、工程50パーセント。

 同時に行われている魔鋼化も同程度です!」


新砲術長に任ぜられた矢作 麗奈れな3尉が報告する。

二人の後ろに立つのは、新艦長の源田 みのり2佐。

有志連合軍飛行科士官服から、艦長服に着替えた姿で、

二人の会話にも、目を瞑って腰を下ろして黙り込んでいた。





白い魔法衣を靡かせた二人の魔砲師マギカガンナーが敵編隊を睨んで向かっていた。



「ホーさん、あの数をこなすのは大変そうだね」


蒼髪の槍を携えたミハルが訊いて来るのを、


「そやな・・・あんだけ数が多いと少数を叩くくらいじゃ話にもならんわ。

 どうーする、ミハル?

 ウチ等が相手とするんは敵の本隊なんやが、手をこまねいているんも癪やしなぁ」


ホマレも手をつきかねて考えているようだった。


「戦闘機だけなら地上の被害も限定されると思うんだけど・・・

 あの敵が戻る処をつけていくってのはどう?」


ミハルの狙いもホマレと同じ様であった。

数が多い小型機はほっておき、敵の出現場所である敵本隊に狙いを絞っているようだった。


「送り狼って訳やな。

 敵にばれないように後をつけて・・・一気に勝負をつけるって寸法やな?!」


頷来返したミハルが、指差し示すのは。


「多分小型機が現れた方に、

 ホーさん達が知っている空中戦艦ってのが隠れているんだと思うんだ。

 帰還する後をこっそりつけて行って、内懐に潜り込んで・・・

 私の魔砲で、撃破するってのはどうかな?」


相手がどんな大きさか、どれほどの性能を持っているのか見当もつかないミハルが意見を述べたが。


「ミハルはあの空中戦艦ってのを知らないからな。

 譬え内懐まで行けたにしても・・・撃破は容易なことやないで。

 ミハルの魔砲がどれだけの威力があったとしても、

 生半可な事ではあいつは墜ちないんや」


一度だけ対戦した事のあるホマレの言葉に、ミハルは意見を取り下げざるを得なくなる。


「じゃあ、ホーさんはどうしようって考えるの?」


訊いたミハルに目を半分閉じたホマレが答える。


「小型機をつけていくのは賛成やけどな。

 近くまで寄って、先ずはその目で見てみる事や。

 敵がどんなモノかを・・・正体をその目で見てから考えたらいいんや」


敵編隊が海岸線に殺到していく様を見送りながら、

ミハルに諭したホマレの顔には、恐るべき相手に立ち向かわざるを得ない焦燥が滲んでいた。

ホマレの表情に、ただならぬ気配を察したミハルも黙ってその意見に従う事にした。



対空砲火がうち上がらない上空を旋回しつつ目標を探しあぐねた小型機達は、

軍港を機銃掃射すると編隊を組み直して引き返し始めた。

立ち上る煙を盾とし、状況を見ていたミハルとホマレが動き始める。


「バレないように低空を這って付けていくからな。

 絶対に妙な気はおこさんといてや?」


海面すれすれまで降下したホマレの後を追いかけるミハルが了解の手先合図を送る。

編隊はつけられているとも知らずにか、二人の前上空を戻っていく。


僅か数分飛んだだろうか。

編隊に動きが見受けられる。


「しまった!見つかったの?」


慌てて戦闘態勢を執ろうとするミハルに対し、


「慌てなさんな、奴らは母艦に帰投する為に編隊を解いただけや。

 ウチ等に気付いた訳やない、このまま行くんや」


制したホマレに頷いてから、前上空の敵機に注目していると。


「見えてきたでミハル。

 あれや。あれが空中戦艦っちゅう奴や!」


ホマレの声に前方を見たが、黒雲が一塊あるだけだった。

その雲に向かって、敵編隊が大きく散開しつつ入って行こうとしていた。


「あの雲が?

 あの雲が敵の正体って事なの、ホーさん?」


雲がどうして敵空中戦艦だというのか判らずに聞き返してしまう。


「ミハル、よー観てみいな。

 雲の端に見えているモノの姿を。

 あの雲の中に隠れている要塞の大きさを・・・な!」


ホマレが追跡を中断して指を指し示す。

ミハルはホマレよりほんの少しだけ前に出て、じっと雲を観測した。


「あの雲の中に?

 敵の要塞?

 戦艦じゃなくて?」


呟くようにホマレの言った要塞って言葉の意味を伺おうと目を凝らす。

黒雲は渦を巻きつつこちらへと、フェアリアの方角に向かって進んで来ていた。

敵編隊が全て黒雲の中へ消えた時、雲の端が若干だけ薄くなった。

その薄くなった処から何かが日の光を反射して白く光った気がした。


「うん?何かが雲の中で光った・・・という事は?」


ミハルがその光をもう一度捉えようと目を凝らした時。


「あれや、ミハル。

 上部を岩山みたいに岩石で覆われてはいるんやが。

 下部は自らの出す風で金属部分がむき出しになっているんや。

 せやから・・・日光を反射する・・・あれが・・・

 あれが敵戦艦、あいつが日の本に襲い掛かった空中要塞って奴や!」


ミハルの見上げる雲の中に、何か得体のしれない巨大な物体がある事が判った。

雲の隙間から徐々に姿を見せ始めたソレは・・・


挿絵(By みてみん)



「まっ、まさか・・・そんな。

 こんな巨大な物質が空を飛べるの?

 これが・・・空中戦艦だって言うの?」


ミハルの前には、雲を払いのけ始めた巨大な岩山がそびえ返っていた。


「そうや・・・これがウチ等の日の本に襲い掛かって来たんや。

 紀州の一都市を壊滅させた悪魔の要塞なんや・・・」


見上げる先には、黒雲を纏った岩山の如し巨大な物体が浮かんで見えた。

その大きさにミハルは息をのむばかりだった・・・


ミハルの前に聳え立つのは巨岩に覆われた円形の建造物。

雲の大きさがそのまま物体のおおきさだとすれば、

目測で2キロメートルは優にあるだろうと思われる。


雲に隠された部分には、巨大な要塞の如し戦艦を空中に浮かべる為の円環が複数あるのが伺え知れる。


ミハルにはまだ見えはしていないが、

巨岩に隠された中心部分には都市を壊滅させれるだけの威力を持つ巨大な円環がある。

ひとたび陸上に達すれば、その円環から噴き出される突風は、

地上にある全ての物を消し飛ばし、

譬え地下数メートルに逃げたとしても、恐るべき旋風つむじかぜは容赦なく地表をめくりあげ、

潜伏する者を薙ぎ払う事となる。


そう。

その空中に浮かぶ巨大な岩山の如し戦艦は、人類を殲滅するために造られた。

この世界の人類を根こそぎ滅ぼす為の、殲滅戦艦・・・名づけられたのは<ゴリアテ>。


その名が示す通り、人類にとって災禍にしか思えぬ・・・悪魔の要塞だった。


ミハルが見詰める先で雲が切れ始め、空中戦艦の姿が晒されてくる。

円環から出る突風に煽られる水上から立ち上る雲が、徐々に後方へと流れ出す。


雲のベールを脱いだ岩山が、速力を増しながら突き進んで来る様子を見詰めるミハルには、

それが単なる機械ではなく、悪魔の姿にも観えるのだった・・・


挿絵(By みてみん)


 

遂に姿を現せた巨大戦艦ゴリアテ。


岩山の如き巨大なる空の要塞・・・

その強大なる戦闘能力を発揮されるまでに、倒せる事が出来るだろうか?

決死の戦いの幕が今開く・・・


次回 Ep7 蒼空あおそらに願いを Part2

君は現れた強敵に何を想うのだろう・・・・

 ・・・人類生滅まで・・・アト 126 日

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