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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第5章 蒼空の魔砲師 Ep6 蒼空の魔砲師 Part4

空戦魔砲師達の闘いが始まった。


空を圧して飛び来たった<神軍>の飛行機械に、

2人は果敢に挑みかかるのだった!

ミハルの後方で、緑の魔法衣を翻しながらホマレ3尉が続く。


「ミハル、奴等は2手に別れやがったで!

 どうする?ウチ達に向かってくる方に対処するか、

 軍港に向かう奴等を叩くか?」


観測しつつ、ミハルの意見を求めてくる。

ホマレに言われずとも、敵から目を逸らさずに即座に返答する。


「先ずは私達に向かって来る敵を撃破しよう!

 敵が飽くまで軍港を狙うというのなら味方の地上砲火に期待しよう。

 私達に出来る事を・・・最善を尽くすだけだよ」


挿絵(By みてみん)



戦闘経験の豊富な魔鋼騎乗りだったミハルの考えは合理的でもある。

数の少ない味方が執るべき戦術は、

自分達が倒されず飽くまでも戦い続ける事で戦闘を継続する・・・


「ホーさん、永く生きて戦い続けるんだよ。

 華々しく散るだけが戦い方じゃないから・・・」


訊ねてきたホマレに、振り向かずに答える魔砲師の表情は感情を押し殺して見えた。


「そーやな。長生きして御奉公ってか」


ぶっすりと答えるホマレにも、ミハルの考えが納得できた。

何よりも自分達がするべきは生き残る事なのだと。

それは戦いにおける金言。

戦争を生き残り勝ち抜いた者だけが言い切れる真実。


「そう・・・御奉公じゃなくて。

 生き抜く為の処世術・・・私が経験してきた戦争の中で覚えさせられた事実なの」


敵に追撃されている最中、魔砲師ミハルが過去の体験で培った闘いの金言を語った。


「そやな・・・ウチもそうやって生き残れたのかもしんない」


前方を飛ぶ白い魔法衣のミハルに頷き、後方の敵機を観測し続けた。

ホマレはミハルが一体どんな戦場を戦い抜いたのか、

どんな修羅場を潜り抜けてきたのか興味を持ったが。


「今は、この場をどう切り抜けるか・・・やな」


追撃して来る敵機の数を数えながら、そう呟くのだった。




「このまま鬼ごっこしていても埒が明かない。

 敵が別れてくれたのはコッチにとって、幸いだったのかもね。

 さぁーて、どう料理してあげようかな?」


ホマレの後方に続く敵機の数は、観測した限り15機。

順々に相手するほど余裕がある訳でもない。


かつての戦場で経験した事があるミハルの執った作戦とは?


「ホーさん!

 敵を一塊にさせるからね。

 ぐるぐる旋回してだんだん旋回半径を縮めていくから!」


巴戦においては集団で闘う者達にもウィークポイントがあった。

それは、自分の射撃するタイミングで僚機が邪魔となり撃つ事が出来なくなるという事だ。

ミハルの狙いはそこにあった。

旋回能力で勝るのならば、敵を巴戦に曳き釣り込み相手の後ろを獲る。

それまでは出来る限り撃たれないように務めねばならない。


「了解や!

 射弾の点検を怠るんやないでミハル。

 魔鋼弾の残弾数に注意するんやで!」


射撃中に弾切れを起こさない様に注意されたミハルが軽く笑う。


「そうよね、弾切れなんてぞっとするわよね」


にこやかに返答したミハルがホマレに振り返った。


「私も長年砲手を務めていたから。

 装填手も経験してるから・・・ぬかりはないから!」


言い返したミハルの笑みに、ホマレがそうだったのかと苦笑いして。


「こりゃぁ、坊主に説教だったな。わりぃわりぃ!」


片手で拝むポーズを執って謝った。

ホマレもこの戦いに、寸分の迷いも無い事がしれる。

言葉や態度は冗談を言ってても、瞳の色は輝きを放っている。

ミハルには頼もしい友に違いなかった。


ー だけど、ホーさん。

  ここでの勝利が次の闘いをもっと辛い物にするんだよ?

  物量が物を言う戦争なんだからね・・・こちらには後が無い。

  解っているだろうけど、私達二人で護れる物はそう多くないから・・・


チラリと軍港方面に眼を逸らして、敵の攻撃を受けている模様を確認し。


ー みんな・・・どうか無事でいてね・・・


陸上で攻撃に晒されている防衛部隊に向けて祈りを捧げたのだった。


「ミハル!そろそろじゃないかい?

 もう敵の最後尾が掴めそうやで?」


意識が少しの間、味方に向けられていたのを、ホマレの声が引き戻す。


「うんっ!よぉーしっ!

 それじゃあっとっておきの一撃を見せてあげるから!」


ホマレに向ってウィンクし、右手の魔法石に力を求める。

手の先から魔鋼の力が機銃に注ぎこまれて・・・


 (( シュウゥンッ ))


ミハルの魔砲の力が解放される。

手にした機銃が戦車砲キャノンガンに換わり・・・


「イクよホーさんっ、魔砲師マギカガンナーミハルの必殺奥義!

 対空魔鋼弾で一撃必殺! フォイア!」


急激な旋回を掛けたミハルの身体が背面になり、

敵機の真上から拡散弾が狙い済ました一撃を喰らわせる。


 ((ガオオォム))


いつぞやの空で見た巨砲が唸りを挙げて、敵を襲う。

ホマレには目の前で起きた撃墜劇が奇跡にも思われる。


 (( バガァアァンッ ))


敵編隊の真ん中で魔鋼弾が弾け、砲弾の炸裂と同時に飛び散った破片が周りの敵に食い込んだ。

砲弾の炸裂煙を抜け出た数機の敵が木の葉が散るように落下を始める。


「・・・すんごい・・・」


呆れたような。

感動したような呟きが洩れ出る。


15機居た敵機の約半数が多かれ少なかれダメージを受けたようだった。


「ほらっ、ホーさん!追撃追撃!」


ミハルの急かす声に、漸く我に返ったホマレが機銃を構えて残敵に殴りこむ。


「たーりぃーほぉー!」


自分を奮い立たせる叫びを残し、機銃を乱射するホマレ。

巨砲を再び機銃に戻したミハルが後に続く。


2人の攻撃により15機中12機までが撃墜、

若しくは損傷を受けて戦場から離脱を図った。


「やったやんかミハル!

 ウチ等だけでトータル16機もの敵機を撃破したんやから!」


喜ぶホマレに微笑んだミハルが、軍港方向に身体を向けて。


「喜ぶのはまだ早いよホーさん。

 まだ半数以上の敵が残っているのだから・・・勝負はこれからだよ!」


踵を返して軍港に向かう二人の前に見えてきたのは。

黒煙を揚げつつ対空砲火を放つ陸上部隊。


それに・・・


「ああっ!ドックが・・・魔鋼軍艦(まこうぐんかん)が!

 ウチ等のふねがやられている!」


ホマレの絶叫が、ミハルに届いた。


挿絵(By みてみん)




善戦するミハル達の横で。


軍港は敵の空襲で破壊されていく。

仲間達の命運を担う一人として、ミハルは心に影を落すのだった・・・


激戦譜が紐解かれる・・・今!


次回 Ep6 蒼空あおそら魔砲師マギカガンナー Part5

君は激戦の中、何を観るのか?死に逝く者よ・・・安らかに。

 ・・・人類消滅まで ・・・アト 134 日

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