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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第5章 蒼空の魔砲師 Ep6 蒼空の魔砲師 Part2

ミハルっ、イッキマース!


ミハルは蒼空へ駆け上る!!

魔法衣のリボンが閃いた。


オリハルコンの槍を片手に持ったミハルが振り返ると、

そこにはユニフォームを着込んだ3人の女の子が並んでいた。


「ホーさん、あの子達は?」


視線の先を一目観てから、答えるホマレの表情が曇る。


「飛空士の下士官達や。

 ミハルとちごぉうて、あいつ等はまだ実戦を経験しとらへんのや。

 やっと翔飛に慣れた処のヒヨコなんや・・・なんで連合軍なんかに志願したのか・・・」


気持ちが解らない・・・そう言いたげなホマレに対して。


「ホーさんだって・・・命令だからって、断れた筈なのに。

 彼女達にも事情があるんでしょ・・・戦場に向かう意味があるんでしょう」


ミハルは一人の魔法少女を思い出して、微笑んだ。


「なんや、ミハル。

 なんかすけべぇな事でも思い出してるんか?」


自分は気分が滅入っているのに、ミハルは微笑を浮かべている。

何故だか知らないが、温かい記憶でも持っているようなのが判って、厭味を言ってきた。


「そうだね・・・思い出の中で、あの子達も願いを遂げれたから。

 オスマンに行った時に、志願して来た子の事を思い出したんだ」


厭味も意に介せず、ミハルはロール少佐の娘を思い出していた。


ー チアキ・・・あなたと同じ様に、この子達も他国への支援に志願して来たらしいの。

  どんな理由があるのかは解らないけど・・・初陣を生き残れるのかしらね


微笑ましい想い出から目覚めたように、ミハルはホマレに言った。


「ホーさん!

 魔法少女達の初陣なんでしょ、今回の空戦が。

 だったら、この子達には後方で私達のサポートに徹して貰いましょうよ!」


ホマレが気付く。

ミハルは戦力にならないヒヨコ達に、生き残る道を与えたのだと。


「ミハル・・・やっぱり。さすがやな!さすが陸戦騎乗りだった事はあるな!」


ホマレは直ぐにミハルの提案を了承し、鬱屈した気分を一蹴した。

ミハルの微笑みはこんな処から出てきたのかと、感慨深げに頷いて・・・


「ほんじゃぁ、第2小隊には後方に留まるように頼んでくるわ。

 ミハルは装備を確認して、情報士官の発進命令を待っててくれや!」


踵を返して、緊張している第2小隊の方に小走りで向って行くホマレを見送り、

ミハルは甲板から覗く蒼空を見上げる。


ー そうは言っても・・・ホーさん。

  私達2人で闘い抜けるかどうか解らないんだよ?

  その子達を護れるかなんて解らないんだから・・・


敵がどんな規模で向って来るか情報を受けていないミハルには、一抹の不安が過ぎっていた。




「監視艇からの通信が途切れました!

 敵の攻撃を受けた模様!」


情報士官が目ざとく報告を入れてきた。

戦機は熟した・・・最早一刻の猶予もない。


「艦長っ!直ちに迎撃隊の発進を!

 それからフェアリア皇国にも敵情の連絡を、具申します!」


艦長に振り返った副長が意見具申する。


「宜しい、直ちに本艦の飛空士を上げろ。

 敵機の目標はこの軍港と思われる・・・そう報告したまえ」


落ち着いた声で、命令を下す艦長に復唱した副長が命令を下した。


「格納庫甲板に待機中の迎撃隊に発艦せよと命じろ!

 敵は間も無く視認範囲に到達するっ、急げ!」


副長の命令に、情報士官がマイクを執って命令を伝達した。




<<直ちに発艦セヨ!目標は間も無く視認範囲に到達するものと思われる!>>


拡声器から、情報士官の荒々しい声が流れ出た。


「チッ!いつもながら・・・遅いんや!」


舌打ちをするホマレ3尉が、飛空士達に命じる。


「これより敵機迎撃に発進する!

 ヒヨコは私達の後方300メートルに待機。

 間違ってもウチ等の前に進出せぬように・・・解ったな!」


第2小隊3人に向けて、発艦前の訓示を与えてから振り返る。

目の前に居る、白い魔法衣を着た蒼髪のミハルに向けて。


「そいじゃーっ、行こうか。

 先ずは敵より先に上空まで駆け上るから、着いて来てぇーな、ミハル!」


発艦促進機に両足を載せて、ホマレが親指を立てる。


「うん!了解っ!」


頷いたミハルに頷き返したホマレの声が響き渡る。


「1番、中嶋3尉!発進するで!」


甲板整備士が発進機のレバーを倒す。


  ((ドシュ))


軽いカタパルト音を残し、ホマレの体が宙を舞う。

元の位置に返って来た推進機に載ったミハルの足元に、金色の円環が現われる。


「続いてシマダ・ミハル。発進します!」


身構えたミハルが整備士に促すと。

目の前にある発艦ランプが、赤から青に変わり・・・


「発進!」


足元が急激に滑り出し身構えていたのに勢いに負けて腰が引けてしまう。

蒸気カタパルトはミハルを乗せて発進スピードまで速力を上げた。


撃ち出される感覚。

体が空に放り出される・・・魔鋼の力で翔飛(くつ)から円環が金色の羽根をはばたかせる。


 (( バゥッ ))


羽ばたいた・・・金色の力で。

魔砲の力と、魔鋼の力がミハルを空へと昇らせる。


高度を執りながら先行するホマレの元へと近付き、手にした槍を握り返す。


「ミハル!このまま後続する第2小隊を待とうや!」


上空で旋回しながら編隊を組もうと考えていたホマレに、前方を見詰めていたミハルが言った。


「駄目だよホーさん。

 もう観えて来たから・・・敵機の姿が」


そう言ったミハルがホマレを追い越しながら、槍を握り締める。


「なんやて?!そないに早ようにか?

 そやかてミハル、待つんや。先走ったらアカン!」


控えるように手を伸ばしたホマレに、背中で教える。


挿絵(By みてみん)



「ホーさんっ、これからも私と闘うのなら。

 知っておいて欲しいんだよ、戦車戦で培ってきた格闘方法を。

 空の闘いにも通じる・・・魔法の砲手の戦い方を!」


振り返った蒼き瞳には、戦いに対する自信のような物が垣間見えた。


「ミハル・・・アンタは?」


見詰め返したホマレに、白い魔法衣が翻り。


「そう。

 ホーさん、私は2年の永きに渉って戦車で戦い続けて来た戦鬼。

 戦いの駆け引きでは劣ってはいない事を見せてあげる。

 敵の気勢を削げれば、数の少ない私達にも勝機は訪れるんだから!」


ホマレは今迄の惚けたミハルとは別人の魔砲師を見ていた。

自分達には経験もした事がない激戦を生き残って来た少女の貌に、

只・・・見つめる他は、声も出せずにいた。


空の闘いが始まった・・・・

上空へ駆け上がったと思ったら。

イキナリの敵遭遇?!


じゃあ・・・闘っちゃえ!

空戦開始!


次回 Ep6 蒼空あおそら魔砲師マギカガンナー Part3

君は味方の盾となって護りきれるのか?空戦開始!

 人類消滅まで ・・・アト 136日

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