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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第5章 蒼空の魔砲師 Ep4 悪嬢と魔砲少女 Part8

ミハルに迫るマリーンの魔法鞭。


今度は容赦なく身体まで引き裂かれてしまうのか?


真犯人キャメルとは何者なのか?

キャメルに宿りし、闇の者の命令がマリーンに跳ぶ。


「引き裂け!鞭よっ!」


マリーンの魔法鞭がミハルに絡みつく。


 ((ビシッ ビリリーッ))


ミハルの身体から服が引き裂かれ、散りジリになって宙に舞う。

引き裂かれた服の布が視界を遮る。


「マリーン嬢よ、ミハルの体も切り刻め!」


勝ち誇ったキャメルが更に命じるが。


「私に命じられるのは悪魔ではない!

 ましてや、その寄り代たるメイドごときではないっ!」


マリーンは紅き瞳を邪な者と化したキャメルに言い返し、

手にした魔法鞭を突きつけた。


「な?・・・術を解いたというのか?

 どうやって我の術を解いたのだ?!」


動揺するキャメルに、幼き令嬢が知らせる。


「どうやってだと?

 ミハルが教えてくれたからだ!

 ミハルの声が心に届いたから・・・私の。

 そして公爵令嬢マリーンラルネットを・・・私を取り戻してくれたからだ!」


マリーンの魔法鞭がキャメルを捕らえる。


「良くやったね、マリーンちゃん。

 私の戒めを解き、悪魔の眼を謀ってくれて。

 ・・・そして、

 ありがとう公爵令嬢マリーンラルネット、気付いてくれて。

 あなたの内にある、綺麗な心に!」


挿絵(By みてみん)



裸同然の姿で、悪魔に立ち向かっているマリーンに言ってから。


「ルシちゃんっ!」


守護神を呼び出す。

紅き毛玉によって、ミハルの服が再生される。


「なっ?!馬鹿なっ、再生しただと?!

 そんな魔法力を持つ者など・・・」


人間界に居るのかと、言おうとしたのだが。

キャメルに潜む者の目は更なる変化に動転する事になる。


金色の光が舞い上がる中、

ミハルの姿は傷一つ無い、元のメイド服を纏って立ち上がる。


挿絵(By みてみん)


驚愕の表情を浮かべて、キャメルが後退さった。


「どうやら、解ったようだな。

 私の使徒がお前達などとは格が違うという事に!」


ルシファーの声が闇の者にダメージを与える。

神の声は悪魔にとっての痛手となる。


「貴様ぁっ?!神が何故こんな所に?

 あの娘の守護神なのか?名はなんというのだ!名乗れぇっ?!」


キャメルは半狂乱となりルシファーに叫ぶ。

その瞳は血走り、澱みきっていた。


「聴いてどうすると言うのだ?

 お前が騙したトアの主だった者の名を・・・」


毛玉の声には怒りが滲む。


「私が魔王だったときの名を知っているであろう?

 私の配下トアを貶めようとした者よ・・・私の名を言ってみよ!」


キャメルに言い放つ毛玉。

その言霊が悪魔に恐怖を与える。


「まさか・・・ありえない。

 あのお方は滅びた筈だ・・・北の魔王ベルゼブブ様と相打ちになったと聴いたのだ!」


認めようとしない悪魔に、毛玉が告げる。


「ならば教えよう。

 私は願った・・・元に戻らせよと。

 元々の姿へと・・・神の姿に戻らせよと!」


 ((グワオオオォッ))


毛玉から金色の炎が噴き出す。


「うぎゃあああぁっ?!この光は神のちから

 光が我とこの女を引き離そうというのか?」


キャメルに絡み付いていたマリーンの魔法鞭が消える。

その光に飛ばされて、マリーンがミハルの腕の中に落ちて来る。


「あらら。大丈夫かなマリーンちゃん?

 ごめんね、ルシちゃんったら我を忘れて怒っているから」


抱かかえたミハルが、飛ばされてきたマリーンに謝ると。


「ミハル、キャメルはどうなるの?

 キャメルは悪魔に騙されているだけでしょ?

 キャメルには罪は無い筈でしょ?」


自分の事よりメイド長キャメルの心配をする。


「優しいのねマリーンちゃんは。

 そうだね、キャメルさんには罪はないものね。

 救ってあげなくちゃね。マリーンちゃんの為にも・・・」


ミハルはマリーンにウィンクを贈ってから、


「ルシちゃん!もうその辺でいいから。

 悪魔はキャメルさんから出たがっているわ!そのまま分離させて!」


毛玉に呼びかけると、マリーンをその場に座らせてキャメルに向かう。


「おお!そうだった。

 私とした事がつい忘れていたぞ!

 コヤツを消し去ればキャメルの魂まで葬り去る処だった」


毛玉は力の奔流を停めて、悪魔が堪らず寄り代から飛び出す時間を与えた。


「糞ぅっ!神だからと調子に乗りおって!

 我は悪魔たる者であり、<無>の追随者。

 ()()()()()()の使徒なり!

 我が名はアヌビス。南冥の闇の者・・・そして冥界の王なり!」


キャメルから黒き霧が抜け出し、その姿を模った。


「なに?!アヌビスだと?

 古代エジプルートにおける地獄の番人・・・冥界の王アヌビスだというのか?」


神に詳しいルシファーの声が響く。


「如何にも・・・我はお前と同じ神たる者だった悪魔。

 魔王たる者に順ずる力を誇りし者・・・」


黒い霧は獣を模る。

古代文明に記されてあるという冥界の王。

人の魂を善悪で測り、自ら悪人を地獄へ落すという・・・裁判神。


だが、元は神だとて、闇に染まれば只の悪魔に過ぎない。

それはミハルにも、ましてやルシファーにも判っている事だった。


「ルシちゃんっ?!」


ミハルは対峙する神と悪魔の間で倒れたメイド長を抱き起こす。


「うん、大丈夫みたい。

 キャメルさんは気を失っただけみたいね」


抱かかえたミハルが、相手を睨む。

既にアヌビス神の姿になっていた獣が、本性を現し始める。


挿絵(By みてみん)



「こいつが・・・ルシちゃんの使徒、トアを貶めた元凶。

 これがマリーンちゃんの大切な人を貶め、行方不明にさせた張本人!」


闇の者を睨んだミハルがキャメルを横たえてから毛玉に願った。


「このキャメル(ひと)を安全な処へ運び出して。

 私とアヌビスとの闘いに巻き込まれないように」


静かに願ったミハルの足元に、金色の魔法陣が現われた・・・



現われた闇の者。

それは古代神話に出て来る裁判神たる冥界の王アヌビスだった!


いよいよミハルは戦いを決意し、力を放つ・・・使徒たる者の力を?

いいや、ミハルの放つのは魔砲の力。

<<光と闇を抱く者>>たる人の力を放つのだった。


次回 Ep4 悪嬢と魔砲少女 Part9

君の力は闇を討つ魔砲の力。君の心は愛しむ為にある!

  ・・・人類消滅まで ・・・アト 151 日


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