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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第5章 蒼空の魔砲師 Ep4 悪嬢と魔砲少女 Part3

バルコニーに出たミハルの前に佇む人影。


金髪を靡かせたその姿を観た瞬間。

心の中でも追い求める想い人の姿と重なった・・・


「リーン?」

挿絵(By みてみん)


瞳の色だけが違う訳ではない。


「お前はどうして此処にいるのだ?

 誰の許可を受けてそこに立っているんだ!ナマイキな奴だなお前っ!」


口から出て来る言葉には棘があった。


「貴様みたいなメイドがこの屋敷に居たとは。ケシカラン!」


ツカツカとミハルに近付くと、紅き瞳で()()()()()


「あ・・・その。すみません」


謝るミハルが頭を深く下げる。


「謝るなら初めから此処に居なければ良いだけだ。そんな事も判らないのかいい歳して!」


睨む顔が、ミハルの顔を見上げる・・・


頭を下げるミハルの顔を見上げるマリーン。

そう・・・マリーンはミハルよりも背が低かったのだ。


「なんだ?!私の言った事が判らないのか?

 メイドならメイドらしく主人の一族にも礼節を弁えろ!」


ミハルの下からマリーンが怒鳴る・・・が。


「は・・・い」


震えながらミハルが返事を返す。

下から睨んでいたマリーンの眉が跳ね上がった。


「なぜ・・・涙を零すのだ?

 私の言葉で怯えたのか?私が怖ろしいとでも思って泣いているのか?」


マリーンの前で頭を下げたまま、震えるミハル。

その涙は何故?


「答えないか!私を愚弄する気なのか?!」


激しい叱責がミハルに飛ぶ。

その声に益々涙が零れていく・・・ミハルの瞳から。


「悲しい・・・悲しいの。目の前に居るのがリーンじゃないと判ったから」


か細い声で答えたミハルは、涙を拭きもせずにマリーンを観る。


「な・・・に?

 私が何処の誰と似通っているかは知らないが、

 お前の想い違いに付き合ってやるほど、私はお人よしではないぞ!」


ミハルから離れて腰に手を廻したマリーンが、厭味を放った。


「そう・・・あなたはリーンじゃないわ。

 私の優しいリーンなら・・・そんな事を言う筈がないもの・・・」


その声が目の前にいる公爵令嬢の火を点けてしまった。


「なんだと?!メイドの分際でっ!

 身の程を弁えぬ奴めがぁっ!」


マリーンが胸に手を当てて叫んだ。


<ミハル・・・くるぞ?!>


俯いたままのミハルに、襟元の紅き珠が教える。


「う・・・ん。判ってる」


呟いたミハルに、マリーンの声が投げられた。


「このメイド風情が!これでも減らず口が利けるのか!」


マリーンの右手に乗馬の鞭が現われる。


挿絵(By みてみん)


魔法で現れたのか、その鞭は薄碧く光っている。

魔法の鞭を振り上げてミハルに迫るマリーンが、


「お前の()()()()()()()()()()で・・・な!」


ニヤリと瞳を光らせて振り下ろした。


 ((ヒュン))


鞭が一鳴り。


ミハルの身体に叩き付けられる・・・


「えっ?!」


ミハルは鞭を打ち付けられる痛みを覚悟していたのだが。

肝心の鞭が当ったのは。


<なる程ナ・・・聴いていた通りという訳か。

 ミハルの奴め・・・巧く誘いに載せたというのか>


ルシファーが紅き珠から仔細を見詰め思う。


<手出しするなと頼まれなければ。

 コヤツを八つ裂きにでもしてくれようものを。

 私のミハルをこのような目にしようとは・・・覚えておれ!>


紅き珠の中で毛玉が怒りに震える。

ルシファーの前でミハルのメイド服が舞っていた・・・


挿絵(By みてみん)


次々に引き裂かれ、肌が露出していくのを只、黙って見守るのが耐え難い苦痛だったから・・・


「きゃあああっ!」


ある程度は悲鳴をあげなきゃ・・・そう思ったミハルが演技の叫びをあげる。


<ルシちゃん・・・約束護ってくれてありがとう。

 どれだけ我慢してくれているんだろう・・・ごめんね。

 でも、これがこのお嬢さんを救う事になるのだから。

 私がこの子に憑いている者をおびき出さなければいけないから・・・

 我慢しなきゃ、どんな目に遭わされたって・・・

 そうしなきゃ()()()は還って来ないのだから>


身に着けていたメイド服を殆ど剥ぎ取られても、ミハルは我慢した。


「どうだ!懲りたか?

 お前になんか、私に口答えする権利は無い事が判っただろう。

 このマリーン様に刃向う奴は魔法でひん剥いてやるだけだ!」


魔法鞭を片手で振り抜き、ミハルを睨んだマリーンに、


「はい、申し訳ございません」


一言、恭順の返事を返す。


「そうだろう、それでいいのだ。

 このマリーン様に敵う者等、この館には居ないのだからな!」


魔法鞭を消したマリーンがバルコニーから室内に戻って行く後ろ姿を見送ったミハルに。


<どうだミハル?奴の中に居る者が判ったかい?>


ルシファーが目を瞑ってミハルの体を見ないようにして訊ねる。


<ううん・・・巧くいかなかったよ。だけど・・・

 一つだけ判った事があるの。

 あの鞭は・・・いいえ、マリーンの魔法は。

 リーンの魔法石が力を与えて発現させられているの。

 間違いなく・・・()()()()()()()だよ>


ボロボロにされた服をルシファーが神の力で元に戻しながら、


<そうか!さっきの涙は・・・()()()だった訳なんだな>


ミハルが震えながら泣いていた本当の訳を知る。


「うん・・・やっと。

 やっと手懸りが・・・リーンに近付けれるヒントが()()()()()()()()()


ルシファーに微笑んで応えるミハルが、マリーンの立ち去った後を観て言った。



<ウチの小説に出るキャラの服を破き隊>

発動ですっ!

まあ、これは小手調べ・・・


「ええっ?!まだ・・・まだやる気なのっ?!」←ミハル


ええ。

小手調べですから・・・お気の毒に。


「・・・・」←ミハル卒倒


ミハルとルシファーはマリーンが持つリーンの手懸りを手にする事が出来るだろうか?


次回 Ep4 悪嬢と魔砲少女 Part4

君は悪嬢の苛めに健気に尽くそうとする。それが心を開かせられる唯一の方法だと気付いて・・・

 ・・・人類消滅まで ・・・アト 156 日

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