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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第5章 蒼空の魔砲師 Ep2 翔べ!魔砲少女 Part2

非常識娘と損な娘。


案外似た者同士なのかな?


魔砲少女ミハル、蒼空あおそらを翔べ!

手を無理矢理引っ張られて、庭先に連れ出された。


「だーっかぁらぁ!私は魔砲の技を持っているだけで、空は飛べませんからっ!」


虚しく響くミハルの叫び。

拒むミハルの姿をみんなが見送る・・・手出しせずに。


「みんなぁっ、この人に何とか言ってやってよ!

 私は魔法少女だけどほうきなんて持っていないからって!」


ミハルが振り返り、皆に助けを求めた・・・が?!

その誰もが何かに期待しているように、瞳を輝かせてミハルを見送るだけだった。


「え?えええええっ?!この裏切り者ぉっ!」


ミハルはホマレに連れられて庭の中程に進んだ。

それから・・・


「ほな・・・往こーか!」


ホマレが振り返り、ミハルに微笑んだ。


「い・・・往くって。・・・ま・・・まさか?!」


ミハルが構えるより早く。


ホマレの足元に()()()()が現われる。


「ひっ?!ホントーに?飛ぶのぉっ?」


掴まれた手を振り解く暇さえも無かった。



ホマレの魔法術がブーツから放たれると、円環の周りに翼のような光が羽ばたいた。


「・・・往くで。手を離すんやないで!」


ミハルが慌てて振り解こうとしていた手を握り返した時。

ニヤリと笑ったホマレに気付く。


 ((ドウゥンッ))


緑の翼が勢い欲地上を叩いた・・・と、

気が付けばミハルはホマレに掴まれたまま上空へと飛び上がっていた。


挿絵(By みてみん)



「ひぃいいぃっ?!ホマレさんっ!飛んでるよぉっ?!」


ビクつくミハルを気にもしないのか。

ホマレはグングン上昇を続ける。

ミハルの目に王宮が小さくなっていくのが映る。

庭先に出てきていたみんなの姿も今や、豆粒のように小さくなった。

素晴しい上昇力で駆け上った空。

そこは蒼く輝く光溢れる世界・・・蒼空あおそら


「こんなもんやろ・・・只今高度1000メートル。

 これ以上の上昇は危険を伴うやろーから・・・ここでストップやな」


ミハルの手を掴んだままのホマレが下方を確認して教えた。


「ホ・・・ホマレさん。これからどんな話があるのですか?

 私に何をさせようと・・・まさか・・・飛べなんて言うんじゃないでしょうね?」


恐さのあまり、ホマレの手を必死に握っているミハルが訊くと。


「あ?解ってるなら話は早いやんか。

 ミハルはんには力があるんやし・・・いっぺん、飛んでみなはれや」


ホマレがニマっと笑う。


「う・・・嘘でしょ?どうやって飛べば良いのかも知らないし。

 その前に私が飛べる訳ないじゃないのっ!」


魔法力が備わっているのは自負しているミハルに、ブーツを指して一言。


「ん?では、なんで翔飛を履いているんや?

 そのブーツは魔鋼機械が内臓されている筈や!

 誤魔化したってウチの眼は節穴やないで。アンタは飛ぶ事が出来る筈なんや!

 どうしても飛ばへんって、言わはるんやったら・・・(ニマ)」


「んなっ?!なにかな・・・その笑みは?」


ホマレの笑みに、冷や汗を掻きながら恐る恐る訊くミハルに。


「ほな・・・飛んでみよか。ホレ・・・」


((ぱっ))


最後通告を贈った。


「え?」


ミハルが眼を丸くする。

掴んでいた手を放されてしまって。


「え?え?え?!」


ポカンと放された手を観て、ホマレを見たミハルは・・・


「ええええええええっ?!」


絶叫と共に・・・墜ちた。


挿絵(By みてみん)



(作者注・哀れ・・・ミハルよ)


「ど え え え え ぇ っ ?!」


ミハルは自然落下・・・重力を体感した・・・


地上まで僅かに8秒程しかない。

それまでに()()()()()()()()()()、結末は墜死。


「それでも飛ぶ事が出来へんのやったら・・・

 アンタには悪いがこれからの闘いには必要ないっちゅー事や。

 そやろ・・・()()()()


墜ち行くミハルを眼で追いながら、ホマレ3尉が呟いた。



「ひいぃっ?!墜ちるぅ!死んじゃうよぉっ?!」


ミハルは落ち着きを無くし、空中で叫んでいた。


「嫌ぁっ!どうしてこうなっちゃったのぉっ?誰かどうにかしてぇっ?!」


空中ではさしもの天使たる者も勝手が違ったのか・・・まあ、そうだろうが。


ミハルの目にどんどん地上が迫ってくる。

それにつれて絶望感が競りあがってくる。


<私・・・こんな事で死んじゃうの?

 私は誓った筈なのに・・・約束したのに。

 リーンに逢うって・・・必ず再び逢うって約束したのに。

 やっとマモルやお父さんお母さんと一緒に戻れたというのに・・・

 平和な国へ帰れたと思ったのに・・・リーンの元へ帰れると思ったのに。

 そのリーンが居ない・・・どこかへ連れて行かれていただなんて・・・>


ミハルは失望に飲み込まれてしまいそうになっていた。


「だったら・・・探し出して連れ戻せばいいじゃないか」


誰かの声が心に届く。


「その為に必要なのだろ?この()()が。

 大切な人に逢う為にもちからがいるのだろう?

 魔砲少女ミハルには・・・違いかい?」


心の中に光が集う。


「ミハル・・・あなたは闘わなければいけない。 

 どれだけ辛くとも・・・どんなに道が険しくとも。

 あなたには大切な人を護る運命さだめがある・・・そうでしょ?」


金色の光の中で、懐かしい人達の魂が微笑んだ。


「みんな・・・来てくれたの?

 私は・・・私はいつまで闘い続けなければいけないの?」


ミハルの本当の気持ちが吐露される。


「ミハル・・・あなたはいつも優しい。

 いつまでも・・・その優しさが強さになってくれている。


 だけどミハル。

 生き抜く為には闘わねばならないの。

 大切な人を護るには、戦い続けなければならないの。


 それが()()()()()()()

 だから、ミハルは闘わねばならない・・・この世界を守る宿命を背負う者として」


金色の輝きが心の中で告げる。


<<ミハルは人なのだから>>・・・と。


それはミハルが魔法力に目覚める前から誓ってきた事。

皆に約束してきた大切な願い。


「私は・・・私は生き抜く。

 大切な仲間と共に・・・愛する人を護る為!」


心の中で集う魂達がミハルに()()()


「「翔べ!魔砲少女 ミ ハ ル !」」


金色の輝きは、ミハルの能力ちからと化した。


右手の魔法石から光が溢れ出す。


「みんな!私っ、私は諦めない!必ず大切な人を取り戻してみせるからっ!」


ブーツの中に組み込まれた魔鋼機械が命を与えられる。

蒼き水晶が輝きを増し、機械の中で高速回転を始めた。


  ((ファサッ))


聴こえる筈も無いのに、光の翼が羽ばたいたように感じた。


ミハルの足元に金色の円環が現われ、金色の羽根を拡げた。


「行くよ・・・みんなっ!」


円環の中に魔法呪文が描き出される。


「翔べ!私の魔法力で・・・魔砲の力で!」


挿絵(By みてみん)



金色の円環が蒼空に羽ばたく・・・


金色の羽根が羽ばたく。

足元に描かれた円環に魔法文字が描かれる時。

それまで魔砲の戦士だった者は、蒼空を翔ぶ!


次回 Ep2 翔べ!魔砲少女 Part3

君は初めての空に興奮を覚えるのだが・・・やはり損なだったか?!

 ・・・人類消滅まで アト 171 日

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