表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
426/632

第4章 女神覚醒 Ep8 追跡者(チェイサー) Part3

挿絵(By みてみん)


トアは魔法を放つ。

闇の者に・・・



紅蓮の炎が悪魔を焼き尽くす。


悪魔達が一人の少女に手玉に執られ、次々と葬り去られていく。


「ぐはぁっ!何て奴だっ、我らの手に負えん・・・」


叫んだ悪魔も魔法で吹き飛んでしまう。

辺りはさながら地獄の業火に焼き尽くされているかのようだった。


「おーい、トア。その辺にしといたら?」


あっけにとられているリーンがパタパタ手を振って停めると。


「いえいえリーン様。こいつらに情けは無用ですからっ!

 リーン様に危害を加えた罰は・・・万死に値しますっ!ですの」


未だ魔法を炸裂させ続けるトア。

辺りには最早居残る悪魔の姿も見当たらなくなった。


「ふぅ・・・さて。これで良し、ですの」


やっと魔法を解除してリーンに振り返ったトアが、ニコリと笑う。


「トア・・・さっきの話。

 どうして此処に?

 誰にも話していなかったというのに・・・後を着いて来たの?」


リーンの微笑が消え、翳りを見せる顔になった事がトアの心を締め付ける。


「す・・・すみませんですの。

 どうにも気になって・・・リーン様がお一人で向われた所から。

 後を追跡してました・・・ですの・・・」


頭を下げて謝るトアに、リーンがため息を吐く。

その顔はため息に反してにこやかだった。


「これでまた振出しね。私が何者なのか・・・一から調べなおさなきゃ・・・」


リーンが闇の者に騙されていたと思って呟く。


「この<神の祠>って、偽物だったのね。

 闇の者が私を凋落する為に張っていた罠だったようだもの・・・

 私が<神>な訳ないものね、トア」


肩を竦めてトアに問い掛けたが、その本人はリーンの顔を見詰めて口を閉ざしていた。


「どうしたのよ、トア。

 悪魔達の言う事は全部嘘だったんだよね?」


黙っている従者に問い掛けるリーンが、小首をかしげると。


「リーン様。

 ワタクシがそれを告げる事は憚れますの。

 確かに此処は<神の祠>ではなさそうです・・・の。

 でも・・・ワタクシの・・・いいえ、使徒トアの知る処では・・・」


トアが顔を背けて答える。


「そういえば・・・あなたさっき。

 魔王ルシファー・・・あの<ルシちゃん>の事を主人って言ったわよね?

 あの()()()()の使徒だって・・・」


背けられた顔を覗きこんで訊ねるリーンに、困惑顔で見返したトアが頷いた。


「やっぱり・・・あの毛玉野郎。復活してたのね・・・

 またミハルにちょっかいしに現れそう・・・」


リーンが頬に指を着けて想いを馳せるが。


「ルシファーが<神>になったなんて。

 いや、戻ったって言ったわよね?

 どう言うことかしら・・・教えてくれない?

 あなた・・・トアの主人で、魔王だったルシファーが何故<神>だったのかを」


真顔になってトアに説明を求めた。

リーンの求めに少し考えてから、使徒たる()()が口を開いた。


「あの方は元々が<神>だった・・・我々と同じ悪魔と化す前は。

 神の中でも高位だったルシファー様は同族の中で孤立された・・・

 ()()()に反対した為に。

 その結果・・・追放されたのだ<神>から」


トーアの口から使徒トアが教える。


「ルシファー様は<神>達が人間を支配し、運命までも決する事に反対していた。

 人の命運までも<神>達が勝手に決め、粛清する事に・・・

 ルシファー様は人を擁護するようになった・・・<神>なのに。

 己が力を人の為に使うようになった・・・それは<神>からの脱却。

 人間界に味方する()()()()()・・・堕神となられた」


リーンは耳を疑った。

かみルシファーが人間に味方する為に自ら堕ちた事を知って。


「そしてルシファー様は<神々に叛旗を翻した者>として闘い・・・敗れた。

 その結果・・・知られている通り。

 魔王へと貶められたのだ、リーン姫・・・」


リーンはトアの言葉に眼を見開く。

トアの言葉通りならば、ルシファーこそ<神>たる者とも言えた。

人に味方するのが<神>たる者ではないのか?

何故人に味方するルシファーが闇の者として貶められねばならなかったのか?


リーンは疑問符を頭に抱きつつ重ねて訊ねた。


「じゃあ、トア。

 <神>は人間の味方ではないというの?

 人間に味方したルシファーを何故忌み嫌い、貶めたというの?」


トアはリーンの問いに逡巡する。


やがて、重い口を開いてこう言った。


「リーン・・・いや、()()()()()よ。

 そなたも気が付いておろう・・・闇の者が言った事は半ば本当の事だという事を。

 この世界の<神>たる者は唯一つの答えしか求めていないという事だ。

 それは・・・人が殺し合いをせずに生きていく事・・・

 そなたが観た世界は・・・()()()()()()のだ。

 その世界はやがて・・・<神>に滅ぼされた・・・千年前に」


それは闇の者が自分を貶める為に謀った事だと思っていた。

真実ではないと勝手に思い込んでいた。


しかし、事実だと言われてしまえば自信が無くなる。

何しろ自分の記憶さえもが無いのだから・・・


「バリフィス・・・トアまでもがそう呼ぶのね。

 だったら、私は<神>と言う事になる。

 人間の敵、悪魔とでも呼んだ方が良い存在だという事になる・・・」


俯いたリーンが自信無さ気に呟くのを、トアが諌める。


「リーン様はバリフィス神となられてはいけませんですのっ!

 <神>になんてなられてはいけませんのですの!」


必死になってリーンに呼びかけるトアが周りの異常に気付いた。


「?!これは・・・結界?」


白い光がピラミッド状に線を描く。


「なに?この結界・・・闇じゃないわよね?」


気付いたリーンも気配を感じて身構える。

トアにはこの結界が自分の力と同じ・・・光ある者によって造られたのだと解った。


「この気配・・・只者ではなさそうですの・・・」


結界の中に何者かが侵入してくる気配。


それはトアが感じた気配の主なのか?

身構えた二人の前に白い霧が現れる。


やがてその霧が人型と化し、


「バリフィス・・・目覚めよ」


尊大な声がリーンに命じた。

2人の前に現れたのは・・・白い髪を垂らした男・・・()()()()

白き結界の中でリーンとトアは現われし者と対峙する。


トアの決死の抵抗が始まる・・・


次回 EP9 女神覚醒 Part1


君は愛する人を護り抜けるのか?抗え魔法少女!護れ人たる女神を!


一方砂漠の国オスマン帝国ではもう一人の魔砲少女が新たな力を手にして闘っていた

その少女の名は・・・

挿絵(By みてみん)

魔砲少女マギカガンナーミハル

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ