第4章 女神覚醒 Ep8 追跡者(チェイサー) Part2
リーンを護る為に潜んでいたトア。
リーンの危機に遂に闇に立ち塞がる!
黒い光がリーンに放たれた!
「しまった!」
リーンが避け損なってモロに光を浴びてしまう。
黒い光を浴びた瞬間、リーンの身体が硬直してしまった。
「ああっ!リーン様がっ!」
トアが思わず絶叫してしまった。
寄り代としているトーアに屈して。
<馬鹿っ、此方が潜伏しているのがバレてしまったではないか!>
舌打ちしたようにトアが呟き、
<最早これまで・・・リーン様を奪還するぞ!トーア>
寄り代の娘に告げた。
「ヤルのですのっ!魔法衣にチェンジ!!」
翳した魔法石が光を放ってトアの姿を魔法衣姿にする。
続いて蒼いレオタードの上に白い魔法衣が重なり・・・
「戦闘バージョン装着完了!リーン様に手を出す不埒者めっ、成敗するっですの!」
周りの闇に指を突き付けたトアがリーンを見ると。
「いけないですのっ、闇に染められそうになられている!」
半眼の瞳の色が紅く染まりつつあるのに気付いて咄嗟に魔法を放つ。
トアの右手から放たれた闇の波動が、リーンの中に入り込もうとしていた黒い光を遮断した。
「う・・・くっ」
気付いたリーンが首を振り、
「え?トアじゃないの・・・どうして?!」
驚きつつ副官補たる魔法少女に呼びかける。
「どうして・・・じゃありませんっですの!
お独りで勝手に危険な目に遭いに来られるなんて!
<<おしおき>>もの、ですの?!」
リーンの身を心配して後をつけて来た事を教える。
「そっか・・・トアは私を按じて?」
蒼く輝く瞳に戻ったリーンが、魔法少女に微笑む。
「ひくっ・・・そ、そうですの・・・(汗)」
微笑みかけられたトアが紅くなってテレた。
普段観た事も無い心からの微笑みに心臓がドキンと高鳴ったから。
「この微笑を見る為に。女神様の微笑が見れたのなら・・・
このトーアには恐れる物など無くなった、ですのっ!」
白い戦闘着を靡かせて、トアはリーンの前に立ち塞がる。
「闇の者よ!この蒼き騎士トアがお相手致しますですのっ!
我が君、リーン様に盾突く逆賊達よ!覚悟しなさいっですのっ!」
一方的にトアが宣戦布告する。
周りを囲む悪魔達が嘲笑った。
「馬鹿な娘だ。
ここは闇が支配する結界の中だぞ。聖なる者に力は出せぬ!」
だが、当のトアは構わず呪文を唱える。
闇の呪文を!
「黄昏より紅き光、夜の闇より黒き狭間。我と我が主の力を以って抗う者を駆逐せん!
<< ギガ・バースタード・ホラーネス >> 」
トアの右手から闇の波動が炸裂する。
周りの空間が闇の破壊波で吹き飛ばされた。
「どうですの?!これでも力が出せないと言えるのかしら・・・ですのっ!」
自慢気にトアが言い放つと。
「くくくっ!やはり・・・並みの魔法使いでは無かったか。
光と闇の力を受け継ぎし者よ、お前の名は?小娘よ」
先程リーンを誑かそうとしていた機械の声が訊ねる。
「ぬぅ・・・ワタクシの名を知ってどうする気?
知ったとしてもワタクシの力は落ちないですのよ?
闇の者ではないのですから・・・」
拒んだトアが鼻で笑うと。
苛立ったような声が返ってきた。
「貴様のような小娘の名は要らない。
中に居る者の呼び名くらいはあろうが!
お前の中に宿る者の名を教えろと言っているのだ!」
トアの事を訊いて来る機械に、一言返す。
「トア・・・それが名だ」
トアの名を聴いた悪魔達が一斉にざわつき出した。
「トア・・・だと?」
「あの・・・魔王ルシファー様の側近だった?」
「紅蓮のトア?!奴なのか?どうも最近見かけないと思っていたが・・・」
悪魔達がザワめくのを尻目に、トアが周りの者に言い放つ。
「このトアの主人ルシファー様のご命令である。
我が君リーン様に手出しする者は、如何なる者とて容赦しない!
手を退かないのなら・・・駆除するのみ・・・」
紅き瞳を鋭く光らせ、指先を機械に向けた。
「くくくっ!言わせておけば。
我らは大魔王様を復活させる為だけに存在しておる事を忘れたのか?
如何にルシファーの命なれど、その目的の邪魔だては許されない。
我らはそのルシファーの命によって・・・」
其処まで喋った悪魔の口を遮ってトアが教えた。
「笑止!我が主ルシファー様は最早そなた達如き低級魔族の前に現れる訳がない!
そなた達に命じた者がルシファー様な訳がある訳が無い!
何故なら・・・ルシファー様はもう・・・悪魔では無くなったからだ。
我が身を天使と換えてくださった・・・<神>なのだっ!」
どよどよどよ・・・
辺りが更にザワめきたつ。
「確かに・・・このトアは白き魔法衣を羽織っているぞ?」
「我らは一体何者に命じられたというのだ?魔王様の偽者?」
悪魔達は混乱する。
自分達が存在するのは上級悪魔足る者に命じられているからだと判っている為。
「我等に命じたのが偽者なら・・・最早我らの存在意義は無くなった」
一匹の悪魔が消え去る。
「いや・・・こうなればこやつ等と戦って道連れにしてやろうぞ」
ある悪魔は徹底抗戦を主張する。
「大人しく消え去れば良いものを・・・リーン様、お退がりください。ですの!」
身構えたトアがリーンを庇い、戦闘態勢に入った。
それと同時に残った悪魔達が一斉に襲い掛かって来る。
結界の中でリーンを巡る悪魔と光ある者との闘いの幕が開けられた!
悪魔との闘いの幕が開かれる。
光と闇の力を持つトアの前に次々と駆逐される低級悪魔達。
脅威は去ったと思われたが・・・
次回 追跡者 Part3
君は闘い敵を薙ぎ払う・・・だが?