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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第4章 女神覚醒 Ep4 闇・・・再び Part1

髪飾りに映る紋章。

リーンの記憶が正しければ、それは「東プロイセン」王家の紋章を顕している。


トアは一体何者なのか?

その目的は?狙いは?

リーンは自分に近付いた訳を知ろうとするが?

緑の髪に着けられた髪飾り。


魔法衣を着た少女の髪に着けられた緑色の髪飾りには・・・


「トア・・・その紋章は?

 あなたの故郷ふるさと、東プロイセンの王家に伝わる家紋。

 その紋章が、何故あなたの髪飾りに刻まれてあるの?」


リーンの瞳がトアを射竦める。


「・・・・・」


答えず・・・唯、リーンを見詰め返すトア。


「あなたは・・・何者なの?

 本当のあなたは・・・何を望むと云うの?」


再び問うリーンに悲しげな瞳を向けてきたトアが。


「フェアリア皇女リーン姫・・・あなたは。

 あなた様はどうなのですか?

 本当のあなた様は・・・何を望まれておられるのです・・・の?」


リーンに向かって訊き返し、紅い瞳を細める。


「何をって・・・本当の私?

 それって、どういう意味なのよ。望みってなんなのよ?」


はぐらかされたリーンが、思わず訊き返すと。


「ワタクシはリーン様の傍に控える者。

 ワタクシの魔法はリーン様を御守りする為に授かったモノ。

 ・・・唯・・・それだけ・・・ですの」


悲しそうな瞳の奥で、リーンの姿が映っていた。


「トア・・・私はあなたが何者なのかと訊いたのよ。

 答えなさい、本当の目論見が何なのかを・・・」


見返すリーンに紅い瞳が一度閉じられ、再び見開いた後。


「フェアリア皇女リーン様。あなたは未だ気付いておられないのですの?

 ワタクシが魔法衣を着ている事に・・・皇女様も魔法衣を纏われる姿となっている事に。

 今迄とは違う・・・この世界の事に・・・」


トアが・・・魔法少女トアが尋ねた。


「え?どう云う事・・・私が魔法衣を着ているのがおかしいって云うの?

 私は魔鋼騎士・・・魔法衣を着ていたって不思議じゃ無い筈よ。

 それがどうだと云うのよ?」


魔法衣を纏う<蒼の騎士トア>に問い質した。


「皇女リーン・・・まだお判りになられません・・・ですの。

 あなた様の記憶の中に魔鋼騎士とは言えど、魔法衣を纏えた者がおりましたの?

 魔法使いというだけで、変身する者が居りましたか?

 只の魔鋼騎士が魔法衣を纏えましたか?

 ・・・お気付きになられませんか・・・ですの?」


紅い瞳を観ていたリーンの記憶が混乱する。


<トアは何を言いたいのかしら。高位の魔法使いだったら変身するのが当たり前・・・

 いいえ・・・確か・・・そうだった筈・・・あれ?>


思い出そうとすればする程、記憶が曖昧になる。


<確かに・・・ミハルは・・・変身していた。巫女姿に・・・

 けど、私は・・・私は変身した事なんて・・・無かった?>


混乱する記憶に戸惑うリーン。


<じゃあ・・・今。

 今、私はどうして変身出来るの?

 いつから変身するようになったんだろう・・・思い出せない。

 それに、トアも変身しているし。

 どうなっているというのだろう・・・何が・・・何かが変わっている?>


頭を振り振り、記憶を整理させたリーンが魔獣グランを観る。


<そうだ・・・グラン。グランと一緒に墓参するようになって・・・

 未だ残るヘスラー達の残党に気がついたあの日・・・初めて力に気付いた。

 グランと立ち向かったあの時・・・変身できる事に気がついた>


グランは静かに見返している。

何かを告げる事を拒んでいるように。


「少し・・・お気付きになられたようですの・・・ね。

 今迄のリーン様とは違ってきた事に。

 本当のあなた様に・・・近付かれた様・・・ですの」


トアはグランを見入るリーンに、ほんの少しだけ微笑んだ。

そして・・・


「フェアリアル・リーン・・・皇女殿下。

 あなたはその名に違和感はございませんですの?

 あなた様が名乗るべき恩名に相応しいとお思いですの・・・?」


堪えていた想いが溢れるかのように、紅い瞳を涙で潤ませるトア。


「トア?」


リーンの瞳が問い掛ける。

涙の訳と・・・自分の名に由来する事を。


「リーン様・・・出来るならば。

 出来るなら・・・想い出さないで。

 このまま・・・ワタクシのリーン様でいてください。

 お慕いするトアの・・・姫様のままで居てください・・・ですの!」


トアがリーンの目の前まで走り寄り、


「それがワタクシの願い。

 それがこの世界に生ける者の願い・・・ですの」


瞳から涙を溢れさせてリーンの瞳を見上げた。


「ト・・・ア?

 あなた・・・何を言っているの?

 私はフェアリアの宰相姫、リーン・フェアリアル第2皇女なのよ?

 それ以外の何者でもないわ・・・それが本当の私なのだから・・・」


トアの目の前で言い放った時。


<あ・・・アレ?どうしちゃったのかな・・・目眩がする・・・>


リーンは突然の目眩で足元がふらつく。


<なんだろう・・・この感覚。頭の中で誰かが叫んでいる様な・・・

 誰かが私の中で教えようとしているような・・・誰?>


ふらついたリーンが、思わずよろけてトアの肩に縋りついてしまった。


挿絵(By みてみん)



「リ・・・リーン様?」


涙を零すトアが訳を聴いた時には。


「トア・・・ごめんなさい・・・私・・・」


リーンの瞳は閉じられていった。


「リーン様?リーン様!?どうされたのですのっ?

 まさか・・・覚醒が?こんな場所で?

 いけませんっ、まだ早過ぎます!で~す~の~っ!」


記憶が途絶える前。

聴こえたのは慌てるトアの叫び。


リーンは一体どうなったのか、解る事無く気を失った。


「リーン様っ!駄目ですっ女神になられては・・・闇の思う壺ですの~っ!」


何かを知る蒼き騎士トアの叫びが、野に木霊した。



突然気を失ったリーン。

蒼の騎士たるトアを疑うグラン。


リーンは夢の中で懐かしい人に出会うのだが・・・


次回 EP4 闇・・・再び


君は懐かしい人の影に気付く・・・その人が窮地にある事にも・・・

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