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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
403/632

第4章 女神覚醒 Ep3 護りし騎士 Part3

挿絵(By みてみん)


今話で・・・連載400回と相成りました・・・が。


どうなのでしょう・・・目出度いのでしょうか?


これもひとえに皆様のおかげ・・・そう。


   「感謝致します!」  Byさば・ノーブ

 ー 白い魔法衣が翻る 


悪魔に立ち向かう術を身に宿した魔法少女が右手を掲げる


「き・・・貴様っ!その魔法衣を何処で手に入れたのだ!

 その魔法力を誰に授けられたと云うのだ!?」


少女を睨む悪魔が叫ぶ。


「どうやって授かったのだ!?答えろっ!」


リーンもトアが騎士の魔法衣をどうやって授かったのかを知りたかったのだが。


「答える必要なんて・・・ない。消え去る悪魔に答える必要なんて無い・・・ですの」


紅き瞳が蔑む様に細くなる。


  ((グオォンッ))


トアの右手の先に光のたまが現れる。


「ま・・・待て!こちらの話を聴け!

 我等の主人である魔王様を敵に廻すのは得策とは云えんぞ!

 この後、我等の相手をするというのか娘!」


悪魔が光の弾に怯えて、停めるのを。


「ワタクシの邪魔をするのなら・・・お前達を滅ぼすまで。

 我が望みを邪魔する者は・・・消し去るまで!」


  ((グワアアアァンッ))


トアの術が放たれる。

光の弾を喰らった悪魔は、叫びをあげる事も叶わず消し去られた。


「ふっ・・・他愛ない。ワタクシに掛かればこんなモノですの!」


トアは消え去った悪魔の跡に満足げに頷いた。



「リーン様ぁ、大丈夫ですの?

 そこの役立たずの魔獣よりワタクシの方がお役にたてますですの!」


グランの悪口を言ったトアを観たリーンの瞳が・・・


「ひっ!?な・・・なんですの?その怖ろしい眼は?」


リーンの指先がトアに向けられ、


「もう一度言ってみなさい・・・その口を二度と利けなくするわよ」


リーンの胸元に輝く魔法石から光が溢れる。


「ひぃっ!?まさか・・・やめてくだしゃいましぃ・・・ですの」


慌ててトアは魔法衣を光の中へ還し、謝った。


「調子に乗り過ぎましたの。お赦しくださいですの~っ!」


栗毛に戻った髪をふりふり、泣き声をあげて謝るトアに魔法を停めるリーンが。


「素直に謝ったから許してあげる。ちゃんとグランにも謝りなさい」


ため息を吐きながら指を下ろした。


「はい、ですの。魔獣ちゃん、ごめん・・・ですの」


グランに頭を下げて謝るトア。


「・・・おまえ。最初はなからおちょくる気だったんだろ?」


謝ったトアに、グランが言い募ったのだが。


「いえいえ。おちょくるなんて・・・少しだけ・・・ですの」


  ((グワラン))


リーンの魔法がトアに炸裂した。





___________





「はあ・・・とんでもない娘だわ。ねぇ、グラン」


宮殿の私室に帰ってきたリーンは、大きなグランの背を撫でながら話した。


「はあ。まぁ・・・能力ちからがあるのは間違い無い事ですし。

 リーン様をお慕いしているようですので・・・許してやっては?」


獅子のたてがみを撫でる主人に笑いかける魔獣。


「でも、グラン。私はあの娘の事、信用してはいないから。

 術に頼って無茶するようでは・・・足手纏いになりそうで。

 ミハルの様に心を許せる人とはどうしても想えないの」


微笑むリーンがグランに抱き付く。

その瞳から涙が湧き出る。


「リーン様・・・?」


グランはリーンの眼から零れる涙に訳を尋ねようとはしなかった。

唯、リーンの心の中に居るミハルの事を想い口を噤んだ。


挿絵(By みてみん)



「リーン様、リーン様ぁ」


呼び掛けられた声に気付いたリーンが、グランから離れる。

グランに手を翳し、縫ぐるみへと変わるように促すと。


「誰?私に用?」


涙を拭きながらドア越しに答える。


「副官補ですの。トアですの・・・お茶をお持ちしましたですの!」


  ((ひくっ))


リーンの眉が吊り上がる。


「しょーこりもなく・・・あなたねぇ!」


ドアを開けるとトアがにこやかに立っていた。


「失礼します・・・ですの」


「あっ、こら!許しも得ずに勝手に入るんじゃないっ!」


そそくさと室内に入り込んできたトアに怒るリーン。

そんな主人に意も解せず、テーブルにティーセットを並べるトア。


「さぁさぁ・・・どうぞ。一息おいれくださいまし・・・ですの」


ポットから紅茶を注いでカップソーサーをリーンに差し出し、


「このクッキー。ワタクシお手製ですの!」


微笑んで薦めてくる。


  ((ひくっ))


またもやリーンの眉が吊り上がる。


「あなたねぇ・・・この間の事を覚えていないのかしら」


差し出されたクッキーを見詰め、リーンが静かに言った。


「う~ん・・・覚えてないですの・・・」


しらばっくれたトアにリーンが手を震わせて。


「この間作ってきたプディング・・・殺人級だったわよね?

 確か砂糖とお塩を間違えた・・・とか言って・・・」


・・・・


「あ・・・あれは。白いのが悪いのですの・・・同じ色でしたから・・・ですの」


トアが汗を垂らして答える。


「じゃあ、その時付けていたミルクティーはどうなのよ。

 どうしてミルクティーなのに、酸っぱかったのよ?」


・・・・・


「あ・・・あれはですの・・・アレですの・・・レモンを少々・・・」


小さくなってトアは答える。


・・・・・・・


「で?

 今度は・・・どんな嫌がらせ?」


リーンが生温かい眼でトアを観る。


「そんなーっ、今度はちゃんと作りましたですの。

 ちゃんとお砂糖を入れて焼きましたの!」


トアは必死に弁明するが・・・


「じゃあ、あなたが毒見してみなさい。

 私はもうこりごりですからね。あんな不味いの・・・」


リーンがクッキーを摘んでトアに差し出す。


「はい、ですの!」


トアはリーンの指に摘まれたクッキーを口に含んでみせた・・・が。


「Gi ・・・ひ・・・む・・・Gu!?!×+○!?」


この世の終わりが来たような叫びとも思える声を出して仰け反った。


・・・・・・・


「ほら・・・御覧なさい。危なかったわ・・・」


リーンがため息を吐く。


「ぜぇぜぇ・・・なぜ?何故こんな危険物に?ですの~っ!?」


挿絵(By みてみん)


「どんな味だったのよ?あなたが其処まで仰け反るなんて」


ぜぇぜぇ言いながらクッキーを観るトアに尋ねるリーンが問う。


「ひゃぃ・・・ナマ・・・でしたの・・・」


・・・・・・


「焼き時間は?」


「ひゃぃ・・・5分ほど。オーブンで焼いた筈なのですの~?」


・・・・・


リーンが眉を顰めて聞き返す。


「最初に温めておいたの?オーブンを」


「蓋を開けて、生地を入れて・・・入れて・・・・火を着け忘れたですの~っ!!」


・・・・・・・


「ぷっ・・・あはははっ!ドジッ子も此処まできたら大したモノね!」


呆れ果てたリーンが怒るより笑ってしまった。


「しくしく・・・ですの」


またもやドジを踏んだトアが落ち込んで涙目になる。


「今直ぐ焼き直して来ます・・・ですの」


シクシク泣きながらトアが退出しようとするのを。


「今日はもう辞めておきなさい。

 お茶の方は大丈夫なのかしら?」


ティーカップを持ち上げて香りを確かめるリーンに、


「もう・・・自信ない・・・ですの」


しょぼんとうな垂れるトアに、香りを確かめたリーンが笑う。


「いい香り・・・今度は大丈夫なようね。

 トアも呑みなさいよ、あなたが煎れてくれたのでしょ?」


落ち込みうな垂れるトアに、悪気が無いのを知って慰めの言葉を掛けるリーン。


「すみませんですの・・・ワタクシ・・・駄目な副官補ですの・・・」


トアの頬に涙が零れているのを観たリーンが尋ねる。


「どうして・・・どうしてそこまで私に尽くそうとするの?

 あなたは、どうして欲しいと云うの・・・私に?」


一口お茶を啜って、尋ねたら。


「・・・いいえ、リーン様。

 どうして・・・なんてありません。

 一目リーン様を観てから・・・この方に尽くそうと想っただけですの。

 ワタクシは御主人様に尽くしたいだけなの・・・ですの」


綺麗な紅い瞳でリーンを見詰めて、魔法少女が答えた。


「ワタクシは東プロイセンからこの国へ参った魔法使い。

 この国に救いを求めた魔法使い。

 ・・・そのお礼をする為にもワタクシは尽くしたいのですの」


純真そうな紅き瞳でリーンをじっと見詰めたトアが話した。


「そう・・・あなたはフェアリアに救われたというのね。

 その恩返しがしたいと・・・そう言う事ね」


見詰められたリーンの瞳が何かに気付いたかのように鋭くなった。



取り敢えず・・・リーンに尽くそうとする心がリーンに伝えられて良かったのか?


トアの熱烈奉仕に、リーンは眼を回す事になる?


善いのかリーン。善いのかフェアリア宰相姫?


お前には心に秘めた想いがあるだろーに・・・って!?


おーいっ、リーン。気を確かにぃ!


次回 護りし騎士 Part4


君もあのもみーんな損なだったんだねって・・・次回お笑いかっ!?

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