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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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第4章 女神覚醒 Ep2 皇女と騎士 後編

挿絵(By みてみん)


リーンの前に現れた者とは・・・?

あまりに・・・お約束過ぎましたか・・・

「この娘も魔法使いなのよリーン」


ユーリが招いた娘を観たリーンに士官服を着た娘が平伏ひれふし、自己紹介する。


「初めて伺候しこう致します。近衛士官の・・・」


名を告げようとする茶毛の少女に、リーンが叫んだ。


「トア・フォウ!?」


  (( ビクンッ ))


呼ばれた少女が固まる。


「あら?お知り合いなのリーン?」


ワナワナ震えるリーンに、ユーリが尋ねたが。


「ワ・・・ワタクシは存知ましぇんっ。アワアワ・・・ですのっ」


あからさまに怪しい少女士官。

少女士官を睨んで怒りモードとなっているリーン。


ユーリは2人を見詰めて全てが判った。


「あらあら、まぁ。そーいう事なのね、リーン」


微笑むユーリに、リーンが答える。


「そうよっ、お姉様!このがっ!この赤眼の仕官が、私をこんな目に!」


怒るリーンがユーリにいいつける。


「そう・・・知ってるなら話は早いわよね。

 これから宰相姫リーンの傍に仕える魔鋼騎士・・・なんて名だったかしら?」


ユーリは少女士官に名を告げる様に促す。


「は・・・はいっ、ト・・・トア・・・フォウ。って、言いますですの」


俯いたまま茶毛の少尉が名乗る。


ユーリは少尉に頷いてから、


「判りましたか、リーン。警護とお目付け役として少尉をあなた専属の副官補に任じます」


リーンに有無を言わせず任命した。


「ええーっ!お姉様っ、この娘を私の副官補にぃ!?」


突然の命令に、リーンがユーリに詰め寄る。


「あら?何か問題でも?」


ユーリが悪戯っぽく笑い、訳を訊く。


「この娘はねぇっ!私が折角仕組んだ作戦を台無しにした上、

 トンズラこいたドジッ魔法使いなのよ!どーしてこんな娘が私の副官補なのっ!」


リーンの返事にユーリの眼が細くなり、


「ほほぅ・・・リーン。残党狩りでも目論んで居た訳?」


リーンを睨んだ。


「あわわっ!?つい・・・口が滑っちゃった!」


気付いたリーンが思わず口を塞いだが・・・後の祭り。


「リーン・・・だからお目付け役が必要なのよ。

 これは姉として・・・皇太子妃としての命令だから。

 あなたにトアを就けます。お目付け役と警護役として。いいわね!」


睨まれたリーンは小さくなってユーリに頷く。


「くすくす・・・ですの」


2人を見つめてトアが笑う。


「あなたに笑われたくはないわ!」


リーンがトアに尖る。


「あ・・・すみません。・・・ですの」


ジト眼で観られた少女少尉がしょげる。


「あなたっ、この宰相姫たるリーンの傍に仕えるのなら。

 それ相応の魔法使いなんでしょうね?

 私は魔法使いレベル4なのよ、魔鋼騎士の称号も持っているんだからっ!

 私があなたを護るなんて事の無い様に出来るのかしら?」


リーンがトアに指を突き付けて覚悟があるか尋ねる。


「私に勤めるのなら、私を認めさせて御覧なさい。

 でなければ私はあなたを傍に置かない。善いわね・・・解ったかしら」


トアはリーンの言葉が解らないのか、瞳を輝かせて言った。


「では、皇女様がワタクシを認めてくださるにはどうすれば善いのでしょう?」


何を期待しているのか、トアはリーンにやり方を尋ねる。


「・・・あなた・・・本当に・・・近衛少尉なの?」


頭を押えたリーンが逆に訊いたら。


「はい!この国に来た時に、お願いしたのですの。

 王家に仕えたいって、お願いしたのですのっ!」


キラキラした瞳でトアが答えた。


「この国に来た時?じゃあ、あなたは外国人なの?」


聴き咎めたリーンにトアが頷き、


「はい!ワタクシ。東プロイセンから来た貴族の娘なのですの!」


自分の出身を知らせた。


「ふ~ん・・・東プロイセンねぇ。その貴族の娘がどうしてフェアリア皇家に仕えたいって?」


そうリーンが言った時、カスターが首を振ってリーンを停める。


<あ・・・そうだった。東プロイセンは西プロイセンに統一されたんだった。

 と、なるとこのトアの家族も・・・亡命して来たのかもしれない>


ロッソアとの戦争が終る前から・・・いや。

戦争が始まるずっと前から、隣国からの亡命者がこのフェアリアに助けを求めて来ていたのを思い出したリーンが口を閉じた。


「ま・・・訳は訊かないけど。

 兎に角、私の傍に仕えるのなら。

 あなたの力を示してみる事ね。アンコウ娘」


トアの髪がカチューシャから跳ねているのを観たリーンが揶揄した。


「? あん・・・こう?

 あっ!あの甘い?・・・ですの?」

「・・・・それは、餡子あんこ


ユーリが横からツッコミを入れる。


挿絵(By みてみん)


「あなたの事よ!この提灯ちょうちん鮟鱇あんこう娘!」


苛立ったリーンが怒鳴ると。


「はぁ・・・ちょうちんあんこう・・・って。なんなの・・・ですの?」


けなされてるとも知らず、トアが小首を捻る。


「だぁ~っ!イライラするぅっ!ユーリお姉様っ!やっぱり無理ぃっ!」


リーンが調子が狂って姉姫に言い募ると。


「あらまあ。でも・・・リーンが今言った筈よ。

 認めたら傍に置いても良いって・・・でしょ?」


面白そうにユーリが諭す。


「ううっ・・・そんな。言ったけど・・・言いましたけど」


リーンがユーリとトアに眼を配りながら納得出来ないと言う、その横で・・・


「では・・・どうすれば?リーン」


トアが衣服を正すのを観たユーリが頷きながらリーンに尋ねると。


「そうね・・・ミハル並みとは言わないけど。

 それ相応の魔法使いという力を見せて貰えれば・・・」


  ((シャウウンッ))


「えっ!?」


リーンの目にトアが魔法を放つ姿が映った。


「わたくし・・・これでも。レベル4なの・・・ですの!」


魔法を放ったトア。


光がその姿を包み、変身する。


髪が碧く・・・茶毛から光と共に薄い緑と変わる。

来ていた制服が魔法衣となる。


挿絵(By みてみん)


それは高位の魔法使いという証。


「な・・・る程ね。あなたには能力ちからがあると言う事は知っていたけど。

 レベル4・・・それだけでは無さそうね。

 トア・フォウ・・・あなた、どんな紋章を背負う者なの?」


変身したトアに魔法石が持つ特性を訪ねるリーン。

その瞳は、力を見抜こうと鋭く見詰めた。


「わたくしは、東プロイセンの蒼き騎士。

 この石に刻まれしは騎士の紋章・・・ですの」


紅き瞳でリーンを見詰めて答えるトアが、左髪に着いた石を指す。


<蒼き騎士・・・ミハルと同じって事なのかしら?

 でも・・・実力ではミハルに勝る者等居ない。

 あのに勝てる者なんて居ないんだから・・・だってミハルは天使なのだから>


トアを見詰めて考えるリーンは、優しい顔を思い起こす。


<ミハル・・・あなたが早く戻ってくれるのを待っているから>


心の中で思ったリーンが目の前に居るトアに承諾の声をあげる。


「解ったわ・・・でも。

 あなたのその力が必要なくなる時までの間だけだから・・・ね」


リーンが言い放つと、変身を解いたトアがにこやかに笑い、


「宜しくですの、白の皇女。フェアリアル・リーン皇女殿下!」


挿絵(By みてみん)


人懐っこい笑顔でリーンを見詰めていた。

トアを認めた訳でもなく、


仕方無しに傍に置く事にしたリーン。


果して・・・耐えられるのか?


いや、リーンが・・・さ。


次回 Act3 護りし騎士


君は秘められた騎士の想いを垣間見る・・・その涙に

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