魔鋼騎戦記フェアリア第2章エレニア大戦車戦Ep1街道上の悪魔Act4偵察任務
リーン少尉が負傷して、徒歩でアラカン村に偵察に赴く3人の娘達。
自動拳銃のバレルを曳く。
((ガシャッ))
初弾が装填された事を確認する。
その手には皇国戦車兵が護身用として良く用いるベレッタが握られていた。
遊低の作動具合を確認してホルスターに納めた。
「よし、そっちはどうだ?」
キャミーは腰のベルトにホルスターを着けながら尋ねる。
「えっと、いや、あの・・・(汗)」
ミハルが冷や汗を垂らして自分の服装に戸惑った。
「キャミーさーん、用意整いました」
ミリアが肩掛け鞄を持ってキャミーの傍に来る。
「へえっ、ミハル先輩似合ってるじゃないですか(うぷぷ)!」
ミリアがにたあっと笑って駆け寄ってき処で。
「ううっ、ミリアが笑ったあ・・・」
ミハルは涙目になって焦る。
「はっはっはっ、似合ってるぞぉ、ミハル!」
またも、マクドナード軍曹が大笑いしてミハルを見て言った。
「軍曹!どうして私だけスカートなんですか!
どうしてウイッグ被らされてるんですかぁ!」
ミハルの格好は茶色の髪のウイッグを被り、冬なのに胸元を覗かせるプチコート。
それに太ももまである靴下。
そしてブーツ・・・・
「よーく似合ってるぞぉ、ミハル!」
軍曹はミハルを見て涎を垂らす。(おいっ)
「どっからこんな服、出して来たんですか!って、軍曹・・・涎」
ミハルはジト目で軍曹を睨む。
「ふっ、こんな事もあろうかと。
いつでも用意周到なのは整備班長の務めなのだよ」
マクドナード軍曹は力一杯言い切った。
「・・・あかん・・・これ」
キャミーが呆れ返って額を押える。
キャミーは皮ジャンに、スラっとしたジーパン。
ミリアも皮のジャケットとスラックス。
どちらも行動派の姿だった。
それに比べてミハルの格好ときたら・・・
「私もスラックスか、ジーパンにしてください。
こんなスカートじゃ動きにくいし・・・その」
ミハルが恥ずかしがって、
「あ、う。お尻が寒い・・・です」
ミハルが真っ赤に頬を染めて抗議したのを、何を想ったのか。
「おーっ、そうだったのか!そりゃ気付かなくて悪かったよ」
マクドナード軍曹がポンと、手を打って衣料箱から取り出してミハルに突き出す。
「ほい、これ!」
マクドナードが、ミハルに突き出したのは・・・
ー むむむっ、毛糸の・・・パンツ?!
眼を点にしたミハル達、女子に見せびらかす軍曹。
「あほかーいっ!」
ミハルとキャミーとミリアのパンチがモロに炸裂した!
3人がリーン少尉の前に並んで、説明を聞く。
「3人には敵情偵察の為、アラカンの村へ行って貰います。
任務の第1は敵兵力の確認。
第2は村民の有無・・・この2点だけでいいわ。
無理をして危険に巻き込まれぬ様に・・・以上です」
「はい!了解しました」
キャミー、ミリア、ミハルの3人が敬礼する。
(注・因みに、ミハルの服装は皮ジャケットにスラックスに変更されている)
リーンは更に軍人としての心得を言う。
「いい?絶対に敵との接触は駄目よ。
あなた達は軍服を着ていない。
ゲリラと同じ扱いなの。
見つかったら、直ちに殺されてしまう事になる。
くれぐれも注意してね、解りましたね?」
リーンに注意されて、
「解っています。それでは、キャミー以下3名、行って参ります」
キャミーがリーン少尉に敬礼して出発を告げる。
「本当に気を付けてね。いってらっしゃい」
リーンが微笑んで手を振るのを、
「いってきまーす」
どこかへ遠足にでも行く様なミリアに、
((ポカッ))
拳骨を食らわせてキャミーが引っ張っていく。
ミハルは心配そうに微笑むリーンに軽く手を振ってから、キャミー達の後を追った。
小隊野営地から10キロ程離れた山間の村、アラカン。
この村が平和を破られたのは数ヶ月前。
突然侵攻して来た帝国軍に占領されてからは、村民はただ怯えて暮すより無かった
村から逃げ出そうとする者は、老若男女を問わず殺された。
ただ怯えて帝国軍の成すがままにするしか生き残る事は出来なかった。
2人が村へと向かう。
村へと繋がる街道のあちこちに破壊された、車や荷車が放置されていた。
そして・・・
「惨い・・・」
ミリアが目を背けて、それから離れる。
キャミーは黙って<人柱>を見詰た。
ー みせしめに・・・銃殺したんだ
村の入り口に数本の人柱が並んでいる。
何の為の見せしめか解らないが、男女を問わず殺すその行為に怒りがこみ上げてくる。
「降ろしてあげたいが・・・
今にきっと奴らを追い出して・・・すまない・・・待っていて下さい」
キャミーが怒りに震える手で、人柱に十字を切った。
「大丈夫でしょうか?ミハル先輩は・・・」
ミリアが心配そうに、キャミーに訊いた。
「うん。あたし達も急ぐぞミリア!」
キャミーが早足で歩き出すのを追って、
「はい!」
ミリアも駆け出す。
「ふーん。こんな長閑なんだ、フェアリアの山田舎って」
ミハルは山々に囲まれた村を独りで観光でもしているようにゆっくり見回す。
しかし、その瞳はゆっくり観光している様な長閑な瞳の色ではなく、辺りの気配に探る険しさがあった。
ー どうやら、村の西側に敵部隊は居ないみたいね。
まあ、こっちは直ぐ山が迫っているから攻めて来れないし。
居るとすれば反対の東側か南側。
そっちはミリアとキャミーさんが調べてくれている筈。
だとしたら私は北側の森を調べないと・・・
ミハルはそう思って北側の森を見た。
「おい、見慣れない女の子が森の方へ行こうとしているぞ。
止めてやらないと、また酷い事になるぞ?」
白髪の老人が建物の中で周りの男達に言ったが、誰一人とその娘に注意しに行く者は居ない。
「誰か行って、止めてやったらどうだ。
あの娘は他の土地の者だろう。
見た事の無い黒髪をしているから、もしかしたら外国人かも知れないんだぞ?」
老人が村の男達にそう言っても誰もが怯えて老人から顔を背ける。
「情けない奴らだ。そんなに帝国の奴らが恐いのか」
老人が呆れて怒鳴る傍から。
「あたしが、呼んでくる!」
そう言って一人の少女が飛び出して行く。
「まっ、待てアリシア。お前は行くな!」
老人が手を伸ばして止めたが、栗色の髪を靡かせてアリシアはミハルの元へ駆け出していた。
ー 北側の森に何か光る物が見える。
あれは・・・荷物運搬用のトラック?それも3両もいる。
それに、あの丸太のような物が何本も突き出た林・・・まさか、あれは?!
ミハルが知らず知らずに近寄ってしまうと突然、呼び止められた。
「何だお前は!
此処に近寄った者はただでは済まさんと言ってある筈だ!」
背後から数名のロッソア帝国軍服を着た男に銃を突き付けられてしまった。
ー しまった。林に気を取られて、気付くのが遅れた!
ミハルは冷や汗を垂らしてゆっくり振り返り、微笑んで小首を傾げる仕草をする。
「何だ、よそ者か。
何処から来た。何処の国の人間だ?」
一人の男が銃を突き付けて訊いて来るのを、
言葉が解らないふりをして笑顔のまま首を左右に振って小首を傾げる。
「何だこの娘。言葉が解らないのか?」
銃口を下ろして戸惑う男が上官らしき者に振り返ると。
「分隊長、この娘言葉が解らないみたいですぜ。どうします?」
後ろに控えた大男に訊く。
「ふん、外国人か・・・」
髭面の大男がミハルの前まで近寄って見下ろすと。
ー !何っ?!
くいっと、顎を上に向けさせられて顔をまじまじと見据えられる。
「お前、何処の国のスパイだ?それとも軍人だ?その瞳を見れば解る。
その瞳にはオレと同じ人殺しの罪を背負った者しか出せない色が見える」
髭面の男にそう言われて思わず顔を背けてしまうミハル。
「どうやら、オレの言葉が解るらしいな・・・」
そう言う大男は行き成りミハルの手を握ると強引に引っ張る。
「こっちへ来るんだ。外国人の娘!」
その大男はミハルの手を掴んで元来た村の方へ歩き出した。
ー どうしよう。
このままじゃあいずれ正体がばれてしまう。
そうなったら捕虜、いえゲリラ扱いで殺されてしまう!
ミハルは大男から逃れようと思ったが、
((ジャキッ))
後ろに控えた男達が小銃を構えているのが目に飛び込んでくる。
ー あ、駄目だ・・・もう逃げれない。
キャミー、ミリア。ごめん、私捕まっちゃった。
ラミルさん、リーン少尉ごめんなさい。
もう私・・・駄目みたい。もう私、リーン少尉を護れない。
・・・ごめん、リーン・・・
ミハルは諦めて手を曳かれるまま連行される。
絶体絶命の危機。
ミハルは諦めて、大人しく連行される。
私服で捕まった軍人の運命は悲惨である事を知っているミハルは、覚悟を決めた。
手を引く大男に自分が何をされるのかをも・・・。
そして、連れ込まれた部屋で、ミハルを待っている運命は・・・・。
次回 偵察任務 Act5
君は絶体絶命のピンチを切り抜けられるか?





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