魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep4革命Act30復活 Part7
リンが鳴く。
目を廻して・・・
「きゅぅっ。」
リンが泣く。
「うーん。 あまりと言えばあまりな展開だな・・・。」
ユーリが額を押えてため息を吐く。
「ヘルプ ミィー。」
127ミリ戦車砲を突きつけられたマジカも両手を挙げて降参している。
「突然突っ込んできて勝負しろとは、良い度胸ね。
・・・と、言うより何なのよ、あなた達は?」
リーンが怒鳴る。
「ホントに・・・。呆れてモノも言えないとは、この事ですね。」
2号車のキューポラ上で、ミリアが腕組みして見下す。
「ルーン。もし、勝手なまねをする様なら、構わないからアハトアハト撃ち込んじゃいなさい。」
車内に命令を下し、ミリアも一両と一人の娘を睨み付ける。
1号車の操縦席ハッチから半身を出したラミルが、
「隊長。なんなら、踏み潰しましょうか?」
MHT-7の車重を考えれば6輪装甲車なんぞ、いとも簡単にペシャンコに出来る。
そう、ラミルは言いたげだった。
<ジロリ>
2両の搭乗員が、ミハルとユーリに害するリンとマジカを睨み付けた。
「あ・・・あはは。許して・・・ください。」
笑って誤魔化すマジカ。
「リーン、中隊の皆。
もうその辺で許してやってくれないか。私からも謝るから。」
ユーリが頭を下げるのを、リーンが止める。
「姉様。姉様が謝る事なんてないのですよ。
この乱暴娘達が悪いのですから。」
そう言って止めるリーンに首を振り、
「いや。
元を正せば、ヘスラーの悪霊に気付かなかった私達がいけなかったのだから。
リーンやミハル、そしてリンやマジカにまで迷惑を掛けてしまった。
私の不徳故だ、申し訳ない・・・この通りだ。」
頭を下げるユーリに皆が黙り込む。
「そこでだ。
不徳ついでにミハルに頼みがある。
マジカ達と一戦交えてやってくれないか?
勿論、戦車戦で。実弾は使わない方法で・・・ね。」
突然、ユーリが果し合いを頼んできた。
「な?何を言うの姉様。
この二人にそんな勝手を許しても・・・。」
慌ててリーンが止めに入るが。
「どうだミハル。
二人と闘ってやってはくれないか?
リンもマジカもそれで納得してくれるそうだから。」
「えええっ?ユーリ様。
戦車戦って言っても、どうやってですか。
砲を撃つって事はヘタをすると怪我人が出てしまいますよ。」
両手を振って辞退しようとするミハルに、
「塗料弾を使えばいいんじゃないですか、センパイ。」
キューポラから横槍が入る。
「こっこらミリア。いらない事を言うんじゃないっ!」
ミハルが止めるが、
「いいえ先輩。
売られた喧嘩・・・いえ、これは我が隊に挑まれた勝負だと認識しました。
栄えある第97中隊2番車として見過ごせません。受けて起つべきです。」
ミリアが6輪装甲車を睨み付ける。
「おーいっ、ミリアさーんっ。」
冷や汗を垂らし、手をパタパタ振って止めるミハルを無視して、
「そこの装甲車に告ぐ、決闘だ!
我々は負けはしない。
勝負を挑んできた事を後悔させてやるっ!いいなっ、判ったな!」
ミリアの宣言に併せて搭乗員4人が各ハッチから出て、6輪装甲車を睨み付けた。
「はーっはっはっはっ、ミハルぅ。
良い部下を持ったじゃないか、こいつは傑作だ!」
ユーリが大笑いして、ミハルの肩を叩く。
「そんな・・・冗談じゃありませんよぉ。」
「それでは、勝負を受けて貰えるのですね。」
ミハルは固辞し、リンは求めようとする。
「うむ。断わっておくが、ミハルとの勝負は終戦の儀を終えてからだからな。」
ユーリが笑いながら、双方に申し渡す。
「はいっ!」
「いーやーだぁーっ!」
6人は復唱し、一人だけ嫌がっている。
<ポン ポン>
そんなミハルの肩を叩く者が。
「負けたら・・・オシオキ・・・だからね。」
ニマァッと、笑うリーンの顔が。
「そんなぁ、リーン迄。」
涙目のミハルに皆が言った。
「往生際が悪いっ!」
うな垂れたミハルは一人呟いた・・・。
「しょぼーん。」
ーで、私は此処に居る。
6輪装甲車と試合をする為に。-
戦車工場の、広い試験場で2両が向き合う。
「では先輩。後10秒!」
ミリアが時計を確認して、カウントダウンを始めた。
そして試合の時が来る。
装甲車と中戦車の闘いは、あっけなく終るかと思われたのだが・・・
次回 復活 Part8
君は闘う相手が魔法の戦車という事を思い知る・・・のか?





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