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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep4革命Act28望郷 Part1

挿絵(By みてみん)


はい!ミハル少尉です。まだ「フェアリア」のお話は続いていますよ!

引き続き応援宜しくお願いします・・・ね。

「ミハル、これでいいかしら?」


指揮官室でリーンがミハルにリストを見せる。


「えっと・・・はい。良いと思います。」


書類に目を通したミハルが頷く。


「うーーん。もう、こんな時間かあ。流石にデスクワーク続きだと肩が凝るわね。」


リーンが肩を回して愚痴を言う。


「そうですね、少し休みますか。お茶でも煎れて来ます。」


ミハルが時計の針を見てから席を立った。

時計は真夜中の2時を指している。


「まさか、還ったらこんなに事務方が溜まっていたなんて。

 ・・・これじゃあ、ずっと外務していた方が気が楽だわ。」


リーンがミハルの煎れて来たお茶を受け取って、ブツブツ文句を垂れた。


「仕方ありませんよ。武器弾薬、燃料支給品に至るまで全て、国家の物なのですから。

 我々が見境無しに使える物ではありませんから。」


カップを手渡してミハルが微笑む。


「むう・・・。まるでミハルはどこかのお母さんみたいね。」

「え?・・・お母さん?」


ミハルがリーンに訊き返すと、


「そう、細かい事を言ってくるお母さんみたいって・・・・。」


そう言ったリーンがミハルの表情が曇った事に気付いて口篭もる。


「あ・・・ミハル、ごめん。嫌な事言っちゃったね。」


慌ててリーンが謝るが、ミハルは首を振って気にしていないと言う。


「ううん、リーン違うの。ちょっとお母さんの事を思い出しちゃって。」


無理に苦笑いを浮かべて、ミハルが言いつくろったのを見たリーンが、

何気ないふりをして訊いた。


「どんな人なの、ミハルのお母さんって。」


リーンに訊かれたミハルがふっと息を吐き、


「初めてだよね、リーンがお母さんの事を訊いたのは。」


苦笑いを浮かべたままミハルが答えた。


「うん、リーンも知っている通り、私のお母さんはお父さんの助手として務めていたの。

 魔鋼機械の開発と伝授の為に。

 口数少ない人だった・・・私とマモルの事をそっと見ている様で、

 いつも寂しそうな顔をする様になったの。

 ・・・この国へ来てから。」


ミハルが思い出して俯く。


「ごめん・・・ミハル。辛い思い出を話させて。」


リーンが謝った。


「いいの。気にしてないから。」


すまなそうに謝るリーンにミハルが微笑む。

だが、その微笑みは何処どこと無くぎこちなかった。


ー無理して微笑んだって駄目だってば、ミハル。

 顔にちゃんと出てるよ、逢いたいって。-


リーンがミハルの顔を見ながら言った。


「もう間も無く戦争が終わるのだから、捕虜交換・・・・いえ、身柄返還を求められるから。

 私が、いの一番でご両親を還して貰える様にユーリ姉様に掛け合ってあげるわ。」


リーンが務めて明るく話す。


「えっ!?リーン。それホント?」


パッと顔を輝かせて、リーンに聴き返すミハルに、


「勿論よ。そもそもミハルの御両親あっての魔鋼騎なんだから。

 ロッソアとの戦争を闘い貫けたのも、シマダ教授あっての事なのだから当然でしょ。

 我が国の恩人を救出するのは。」


リーンが当たり前だと言わんばかりに胸を張って答えた。


「ありがとうリーン。

 お願い、父と母を還して貰える様にユーリ様に話して。」


ミハルがリーンに頼んだ。


「ほーら、やっぱり気にしていたんだ。」


悪戯っぽく、リーンが笑う。


「う・・・うん。ごめんなさい。」


痩せ我慢を見破られてミハルが謝った。



<コン コン>


2人が話を終えた時、ドアをノックする音が鳴った。


「どうぞ。」


リーンが来訪者を招き入れた。


「マモルです、入ります。」


顔を強張らせたマモルが入って来た。


「どうしたのマモル。そんな恐い顔をして。」


ミハルが直ぐに気付いて声を掛けたが、


「隊長。隊長宛に極秘電です。カスター政務官から。」


ミハルを無視して通信欄をリーンに差し出すマモルの表情から、

特別な物を感じ取ってリーンも無言でその用紙を受け取る。


そして用紙に走り書きされた文章を一瞥して、思わず声が出てしまう。


「なっ!何ですって!?ホントなの?」


用紙から眼をあげてマモルに訊くリーンの表情から、

何か一種の異様さを感じたミハルがマモルの口元を見る。


ー震えている?マモルが返答に困る程の事って・・・何が書かれてあるの?-


「本当かどうかは解りませんが。

 電文には間違いなくそう書かれてありました。ルマと僕が確認しました。」


マモルが震える口でリーンに返答した。

言葉の端端でただならぬ気配を滲ませているマモルに、

ミハルは我慢出来なくなり、リーンの持つ用紙に手が伸びる。


「ミハル・・・心して読みなさい。」


リーンがミハルの手に用紙を渡す時、忠告を与えた。

その瞳はいつもの優しさを失い、真剣でミハルの心を射る様な鋭さを持っていた。


リーンの気迫に戸惑いながら手渡された用紙に眼を移す。


<発、皇室政務官。宛第97陸戦騎中隊指揮官。

 本文ー終戦協議終了。終戦閣議決定。・・・>


そこまで目を通したミハルの表情が明るくなるが、

その後に綴られている文章で強烈なショックを受けた。


<・・・尚、ロッソア政府はこの後、内乱の為に一時機能を停止する事となれり。

 よって両国の捕虜交換、身柄拘束者の返還には応じられないとの事。

 只今、ロッソア革命蜂起につき、入国も受け入れられないと返答あり。

 至急皇都へ来訪すべし。>


ミハルは目の前が暗くなり蒼白になる。


電文の意味は、両親が戻っては来ないという事を告げていた。

戦争が終わっても、両親が戻って来ないと知らされたミハルとマモル。

2人はこれからどうするべきなのか?

2人の両親を無事に取り戻す事は出来ないのか?

その方法を考える為には、リーンと共に皇都へと向う事を決める。

だが、その前にしなければならない事がリーンから告げられるのだった。


次回 望郷 Part2

君は書類の山に埋もれるのか?次回は何のお話なんだい?

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