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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep4革命Act24ラストバトル<決戦> Part5

挿絵(By みてみん)


極大魔鋼弾を破壊した時、現れたのは闇の力で拡大する<無>。

その闇の魔力の前で、ミハルの魂は・・・無力なのか?


次回の予告が2018年3月3日に変更となりました。

後書に追加エピソードのご案内を載せました。

「  !   」


声をあげる事さえ叶わなかった。

黒い触手の様な、棒の様な物が無数に伸びてきた。

その後には赤黒い煙が車体も何も関係なく拡がっていく。


挿絵(By みてみん)


「ミハルっ!」


そう誰かが叫んだ様な気がした。

それは空耳だったのか、魂に呼び掛ける魂の叫びだったのかは解らない。


ーああ・・・闇が・・・<無>が拡がる・・・魂が<無>に呑まれてしまう。-


黒い触手がミハルを捉えた。

周りを赤黒い闇に覆われてしまった時には、その中で触手に襲われているのは自分しか居なかった。


ーここはもう、闇に包まれた空間の中なの?

 もう私の魂は<無>に囚われてしまったの?-


絶望感がミハルを締め上げる。


ーこの<無>から逃れる事は出来ないの?

 魂を奪われてしまうと言うの?-


記憶の片隅にあった言葉が思い出される。


< <無>は連鎖する・・・魂を奪われた者を知る者に・・・

   <無>は<無>を求め続け、完全なる<無>を欲する >


誰かに聴いた覚えがあった。


ールシファー・・・<無>となってしまえば何もかも失ってしまうんだよね。

 友もその友も、そのまた友達さえも・・・知っている人全てを<無>にしてしまうんだよね。

 誰かに覚えていてもらう事すら無くなってしまうんだったよね。-


ミハルは闇の中で教えられた<無>の恐怖を思い出す。


「そうだ・・・私が<無>になってしまえば、リーンは?マモルは?キャミーは?ミリアは?

       みんなの魂はどうなるの?」


ミハルは闇の中で周りを見渡す。

小さな光の粒が闇に呑みこまれていくのが見えた。


「ああっ!そんなっ。皆の魂が<無>と化してしまう。

 その光は私の大切な人達の魂なのっ!やめてっ、その魂を元へ還してっ!」


ミハルの魂が<無>へと叫ぶ。



______________


中戦車が放った弾が砲身内部の極大魔鋼弾を誘爆させた。


ーやりおったか小娘!

 だが、それは我々の魂を闇へと送る事ともなろう。

 終わりだフェアリアの魔法使い。

 お前の魂も我等の魂も全て真総統の狙い通り、<無>と化すのだ。

 総べての始まり・・・そして終焉の時だ!-


極大魔鋼弾の誘爆が装薬の爆力を砲尾を吹飛ばし砲塔内へと流し込み、


<グワッ>


次弾装填エレベーターに積まれてあった砲弾と装薬を更に誘爆させ、

弾庫へと火炎かえんを注ぎ込んだ。


<ダダダーンッ>


猛烈な火炎が<ギガンティス>内部を駆け巡り、開口部から炎と煙を噴出した。

その瞬間、バローニアの魂は同化を失い拡がる<無>となって更なる魂を求め始めた。

自らを知る魔法少女達へと闇の触手を繰り出して。


ーあーっはっはっはっ!先ずは私を知るロッソアの戦車兵達を<無>にしてやろう。

 そして、お前もだっ!シマダ・ミハルっ!!-


<無>は、連鎖する。

その者を知る魂へ。



_____________


ーミハルっ!あなただけが希望。あなたが求める願いが望み。

 友を<無>から守れるのはあなたを置いて他には居ない。-


ミハルの魂に誰かが呼び掛ける。


「誰?私を呼ぶのは・・・?」


絶望と諦めが支配する空間で、自分を呼ぶ声に気付いたミハルがまなこを開ける。


「私?・・・私はあなた・・・もう一人のあなた。」


瞳を開けた先に居るのは確かに自分そっくりなだった。


「私?もう一人の?」

「そう・・・ミハル・・・久しぶりね。アラカンの村以来かしらね。」

「アラカン?・・・あの村でお会いしましたっけ?」


ミハルが惚けた聴き方をした。


「・・・あの村であなたは自決しようとしてたでしょっ!もう忘れたの!?」


もう一人の自分に怒られて驚き小さくなる。


「えっ?えっと・・・ああ!そうだった。」

「若ボケするにも程があるわね、ミハルは!」


更に突っ込まれて益々小さくなる。


「す、すみません・・・。」


そう言ってもう一人の自分を見て気付いた。


「あ・・・あれ?髪型も違うし、瞳の色も・・・緑。」


挿絵(By みてみん)


もう一人の自分を善く見詰め直して呟いた。


「今頃気付いたのミハル。

 でも、私が言ったもう一人のあなた・・・って、意味は解らないでしょうね。」

「え?意味・・・ですか?」

「そう、意味。って言うか、私が一体何者なのかをミハルは知らないよね。」

「あ・・・あのっ、何が何だか・・・解りません。」


目の前に居る自分そっくりで、でも違う人に尋ねる。


「うん・・・善く聴いて。

 私はあなた・・・それはあなたが私の生れ変り・・・私が人の姿となった証拠。

    あの人との約束を果せた証拠。」

「は・・・い?私があなたの生れ変り?」

「そうよ、ミハル。あなたは私。私はあなた。

 廻る輪廻で繋がる者。

 ・・・とでも言おうか、何と言うか・・・あはは。

    私も良く判っていないな。」

「はあ?」


全く話しが呑み込めないミハルが気の無い返事を返す。


「で、また現れた訳は?

 もう<無>に囚われてしまったんですから・・・助からない・・・ですよ。」


半ば諦めかけている心のまま言ったミハルに。


「だーかーらっ、私が現れたの。あなたが私の力に目覚めて貰う為に・・・ね。」

「あなたの力?」


ミハルの前に居る別の自分に聞く。


「うん、そう。私の力・・・私にも力があってね。

 ちょっと魔法力とは違うんだけど・・・その力に目覚めて欲しいの。」


緑色の瞳を輝かせてもう一人の同じ顔をした人が言う、目覚めて・・・と。


「私は魔法力が少しばかりあるだけで、他の力なんてありませんよ。

 ルシファーが居てくれるのなら闇の力を使う事も出来たのですけど。」


ミハルが何の気無しに、その名を言った時、


「ルシファー・・・あの人があなたと共に居た訳。

 あなたに気付いて欲しかった事って・・・解るかしら。」

「気付いて欲しかった事・・・?」


ミハルはルシファーがベルゼブブとの戦いに向う前に言った言葉を思い出す。


「・・・時が来れば解るよ、きっと。・・・。」


呟くミハルがもう一つ思い起こす。


「・・・人の姿をしている今の君では・・・

  そう、ルシファーはそう言った・・・私は・・・私は一体?」


ミハルがルシファーの言葉を思い出し、目の前に居る良く似た顔をした人に訊く。


「そう・・・少し解ってきた様ね。

 あなたは私の生れ変った姿。つまり・・・。」


ニコリと笑い、緑色の瞳を向けて教える。

その瞳の中に浮かぶミハルの魂は真実を知らさる。


次回予告!

2018年3月3日に追加エピソード


特別編<闇のルシファー>スピリット・イーター魂を喰らう悪魔


上記エピソードを新たに加える事にしました。


あの闇の中での出来事を再現したスピンオフに近い物語。


魔王ルシファーとミハル。そしてミハエルの想いは?


新たに書き下ろしましたストーリーをお楽しみ下さい。



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