表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
327/632

魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep4革命Act23ラストバトル<ギガンティス>戦 Part5

もし、ミハルがJKだったら・・・。

挿絵(By みてみん)

こんな感じ?あ、胸元開き過ぎた・・・わ。



味方重砲の砲撃が始まる。

「2号車から砲撃要請が?」


リーンがルマに訊く。


「はい。味方重砲隊が、制圧射撃を行うと言っています。」


ルマの返事が終らない内に、もう砲弾の飛翔音が響いてきた。


「来ました。どうやら我が軍最大の15センチ榴弾砲の音ですね。これは・・・。」


ラミルが開けてある操縦手ハッチからの音に耳を傾けて判別した。


「これで奴を倒せればいいのですが。」


マモルも巨大な戦車が、この砲撃で破壊される事を祈っているらしいが、


「姉さんは安全な位置に居るのだろうか。」


ポツリとミハル達の事を心配する。


ーミハル・・・私が戻るまで無事でいて。

 必ず2人で還ろう。必ず2人でフェアリアへ帰ろう。-


リーンが願うのは昔からの約束。

2人が想いを同じくした時からの願い。


「ラミルっ、急いで!

 多分<ギガンティス>は倒せないっ重砲では!」


リーンが急かす。

ミハル達が苦戦している戦場いくさばへと。


リーンの乗るMHT-7の後方には、多数の魔鋼騎が連なっていた。

フェアリアの車両と、ロッソアの車両が連れ立ってMHT-7を追って駆けていた。



_______________



「来るわよっ!みんな!!」


ミハルがキューポラの天蓋てんがいを閉めて叫んだ。


<シャッ シャッ シャッ>


重砲の砲弾が落下してくる。


<ダダン ダンッ>


重い着弾音が弾ける。

そして。


<ズッ ダダダダダダダダダダンッ>


本射撃が着弾し始めて、周りの空気を一瞬で変えた。


<ゴ ゴゴゴゴゴゴオオンッ>


着弾音が消えて空気が変わり、音まで何か地響きの様な物へと変わる。


ー息が詰まる。口を開けていないと鼓膜が破れてしまいそう・・・。-


「皆っ、口を開けて大きな声を出してっ!

 口を噤んでいたら耳が気圧に耐えられないよ!」


ミハルも出来る限りの大きな声で呼びかけた。


「はっ、はひぃっ!」


ミリアが叫びながら返事する。


「間も無く砲撃も終るっ。

 どれだけダメージを与える事が出来たのか調べるから。」


ミハルが皆に準備をさせる。


「被害報告っ!全力即時待機!」


タルトに走行準備をさせ、


「ミリア、砲撃準備魔鋼弾装填っ!

 砲手席には私が着きます。ルーンは砲塔バスケットで横になってなさい。」


自分が射撃する事を知らせ、ミリアに弾を込めさせる。


「はいっ、了解!」


2人が同時に答えると、


「タルト砲撃終了と同時に<ギガンティス>後方へ廻り込んで。

 状況確認を行います。

 もし、ダメージを与えられていないのなら、私が撃ちます。」

「これ程の砲撃を受けてもダメージを与えられていないとでも・・・車長?」


タルトが信じられないといった顔で振り返った。


「うっ!」


振り返った先に居るミハルの表情を見て、タルトが呻く。


ーミハル車長には解るんだ。

 この巨大な戦車に居る者の気が失われていないと。

 同化した戦車が破壊出来ていない事が・・・。-


タルトの思った通り、ミハルは眼を険しくして照準器を睨んでいた。


ー<ギガンティス>は全然戦闘力を失ってはいない。

 邪な気を感じる、さっきまでよりも、もっと闇に染まった悪意を感じる。-


照準器を睨んだミハルが感じるのはバローニアの悪意。

それは最早人では感じられない邪な魂と化した者が放つ闇のオーラ。


ーこのバローニアも闇へ染まった。

 もう人へは戻る気も無いのだから。-


悪意の塊となった者が放つ気を感じてミハルが想う。


ーミコトさん、リインさん。そしてルシファー・・・。

 私、バローニアに勝てるのかな。こんな邪な魂と化した人に打ち勝つ事が出来るのかな?-


闘いに不安を感じるミハルが首を振り考え直す。


ー違う、勝つんだ。勝たなければいけないんだ。

 そうだよね、みんな。約束だものねみんなとの・・・誓いだもんね。-


ミハルの胸の中に過ぎる懐かしい顔、温かい想い。


「ミハル車長っ、砲撃終了っ、行きます!」


タルトの声が思考を止める。


「よしっ、行動開始っ!廻り込んでっ。」


タルトの操縦で<ギガンティス>後方へと廻り込んでミハルが観測する。

右舷側とは違い、左舷は汚く煤け車外予備品は殆ど消し飛んではいたが・・・。


「嘘、あれだけ直撃を受けたと言うのに・・・。

 ヴァイタルパートは無傷だなんて。」


ミハルは自分の眼を疑ってしまう。

数十発の重砲弾を喰らったと言うのに、その肝心な攻撃能力を削ぐ事は出来てはいなかった。


「ミリアっ、魔鋼弾連続射撃!

 奴の足を止める。キャタピラを狙うから!」


照準をつけたミハルの指がトリガーを引く。


<グオオムッ>


左舷後方から2本あるキャタピラを撃つ。


<ガンッ キィィーン>


至近距離から放たれた10センチ砲弾があっさりと弾き返されてしまった。


「くっ!キャタピラ接合部を撃たないと弾かれてしまう。」


<ボンッ ボンッ ボンッ>


<ギガンティス>から近距離防御用の迫撃弾が放たれる。


「タルト、体当たりする気で近寄って、早くっ!」


急加速を加えて左舷後部に張り付いたMMT-9の後方で迫撃弾が、炸裂した。


「このままでは<ギガンティス>の主砲が撃たれてしまう。何とかしないと・・・。」


張り付いたままでは攻撃が加えられない事もあり、

焦りの色を濃くする視線の片隅に、

無線手席で俯け担っているキャミーの姿が見えた。


ーキャミー・・・早く戦闘を終えて、救護班の処へ連れて行ってあげたい・・・ごめんね。-


心の中で謝るミハルに気付いたのか、俯いたままミハルに眼を向けたキャミーが頷いた。


「キャミー・・・。」


自分が求めた結果がこの悲劇を産んだのだと、ミハルは己を責める。


ーあの時、もしキャミーを無線手として求めなかったら・・・キャミーは・・・。

 キャミーは無事だった・・・けど、アルムが犠牲になっていたんだ。

 どちらも大切な友。

 どちらも大切な仲間・・・どちらも換わりはないと言うのに。

 私はキャミーが傷付いてしまった事に責任を感じる。

 キャミーだけは守らねばならなかったと言うのに・・・。-


「キャミー・・・ごめんなさい・・・。」


呟くミハルにキャミーが天井を指し示す。


ー私に構わず闘うんだー


何も語らずともミハルには、キャミーの指がそう言っている様に思えた。


「うん・・・うん。キャミー、耐えていてね。

 必ず勝ってみせるから。

 そして医療班の処へ連れて行ってあげるから。」


ミハルはキャミーの指にそう答えた。

<ギガンティス>の主砲が仰角を掲げる。

その禍々しき砲弾を放とうとしている。

そして、誰にも止められなかった発射の瞬間が・・・。

次回 ラストバトル<ギガンティス>戦 Part6

君はあの砲弾が味方に堕ちる事を防げるのか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ