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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア 第1章魔鋼騎士 Ep2訓練開始!ACT1

挿絵(By みてみん)


ミハルは陸戦騎独立第97小隊に着任した。

いよいよ戦闘訓練を開始する戦車に乗り込み、装填手席でグローブをはめて待機した。

「総員訓練開始!」


バスクッチ曹長が、命令を発する。


「よしっ、ラミル。前進!最初はゆっくり行け!」


砲手席からハッチを開けて、身を乗り出している曹長が喉頭マイクロフォンを押えて指示を下す。


「了解!」


ラミルは、ギアをローに入れてハンドルを前に倒す。


((キュラキュラキュラ))


挿絵(By みてみん)


キャタピラが石畳をけって動き出す。

キューポラから身を乗り出して、周りを見渡すリーン少尉が、


「今日の訓練は慣熟走行と、砲塔点検。

 皆、訓練だからって気を緩めないでね!」


本日の訓練内容を告げる。

ラミルの操縦の元、M・M・T-3は城を出て、荒地に出てくる。


「halt!」


リーン少尉が、停車を命じる。


「曹長、それでは訓練を開始します。

 まずは前方500メートルの窪地まで急前進。

 停車次第右舷前方2時の方向に向けて射撃訓練をしてください!」


少尉の命令を受けて、


「了ー解!前方500メートルの窪地まで前進。

 停車と同時に2時方向へ向けて射撃訓練をします」


曹長が復唱し、全員に向けて注意を促す。


「全員ヘッドフォン、マイクの調子を調べる。ラミル、キャミー、ミハル!」


各員の返事が、ヘッドフォンから聞こえる。


「はい!」


ミハルは喉頭マイクロフォンを押えながら返事をする。


ー 久しぶりの実車。しかも慣れない車体。上手く操作しなくっちゃいけない・・・


ミハルは装填手の位置に付きながら、車内を確認する。

車体内前方左側運転手席にラミル兵長、その右側前方機銃手兼無線手席のキャミー一等兵。

砲塔バスケット内砲尾左の砲手席にバスクッチ曹長、

反対側やや後砲塔ブルワークの出っ張りに装填手用の小さな腰掛にミハルは浅く座り、

車長のリーン少尉はキューポラに繋がる車長席の上に立ち上がって車体から半身を乗り出して周りを伺っている。


「よーしっ、始めましょう。・・かかれっ!」


車長リーン少尉の号令で訓練が始まった。


「前方500メートルの窪地。戦車前へ!」


曹長が前進を命令すると、即座にラミルがアクセルを踏み込み、戦車は急発進を開始した。


((キュラキュラキュラ))


キャタピラが軽快な音を立てて地面を噛む。

荒地だけにサスペンションで抑え切れなかった地面の凹凸で車体が揺れる。


ミハルはピストルピート(注・覗き穴)から車体の速さを確かめる。


ー 加速は良いみたい・・・中戦車としては早い方かな。

  これなら機動戦でも、ロッソアの軽戦車に対応可能かもしれない・・・


間も無く窪地に着くと、ラミルが停車させる。


ー  さあ!砲戦準備だ!!


ミハルが弾種の指定を待つ。

曹長が電動の砲向ハンドルを倒して砲塔を右に回し始める。


ー  早く!弾種を指定してっ!早く!!


ミハルが焦りを禁じえず喉頭マイクロフォンを押えて叫んでしまった。


「車長!曹長!弾種は?徹甲弾ですか?榴弾ですか?」


弾種の指定を訊く。


漸く、リーン少尉から目標を指定する声がヘッドフォンから入る。


「目標、右舷2時方向!敵戦闘車両。

 距離1500、対戦車戦闘!徹甲弾。

 目標は右方向から此方へ向って移動中。5シュトリッヒ前方を狙え!」


少尉からの指示を受けてミハルは、

砲塔基部の弾薬ラッチから47ミリ徹甲弾を取り出し尾栓が開いているのを確認して装填する。


左手の拳を握り締めて拳骨で弾を押し込んだ。


((ガシャッ!))


弾が入ると、尾栓が閉じる。


ミハルは直ぐに装填手用の安全ボタンを押しつつ飛び退き、

頭上のベンチレーターが作動している事を確認して報告した。


「徹甲弾、装填完了!」


その報告と同時位で砲の旋回が完了した。


「目標指定から砲撃準備完了まで4.5秒。まあまあね、最初にしては」


リーン少尉が、納得した様に言う。

だが、ミハルは納得出来なかった。


ー  4.5秒!?そんなに掛かってたんじゃあ、一発喰らってしまう。

   もし、先に発見できなかったら確実に先手を取られる。

   相手が強力な砲を備えていたら、その一発で命取りになってしまう・・・


「どう?曹長。手始めはこんなとこかしら?」


リーン少尉が砲手で先任搭乗員のバスクッチに訊くと、


「まあ、最初ですからね。

 訓練を重ねて後2秒は短縮しなければ、戦闘には出られませんね」


バスクッチの言葉に、ミハルは安堵した。


ー  さすが、曹長も解っていてくれるんだ。 

   そう、後2秒。されど2秒。この差は大きい、短縮できるだろうか?


「ミハル、どうだ?装填、早められそうか?」


曹長の質問に、


「何とか・・。弾種の指定を、早めに命じて下さると有り難いのですが」


「解った、目標識別時に早目に指定する事にする。宜しいですね車長?」


曹長が、リーン少尉に注文を付ける。


「了解。今度は目標物指定時に弾種を言うわ。それで良いのよねミハル?」


「はい、お願いします!」


ミハルはマイクロフォンを押えて答えた。


「よーし、次は左舷前方1300の、あの丘に向うわよ。ラミル、戦車前進!」


「了解!」


リーン少尉の命令で、訓練が再開された・・・


((キュラキュラキュラ))


陽が高く上っている最中に、戦車が城へ戻って来た。

キューポラから、リーン少尉が身を乗り出して指示を下す。


「今日の所は、戦闘訓練は此処までとする。

 各員は持ち場の点検後、整備員にチェックを申し告げ」


「了ー解!」


曹長以下全員が返事をする。

ラミルが車体を後進で整備場に入れて、エンジンを切った。


「ふう・・・」


ミハルが汗を拭って、一息ついていると天蓋のハッチが開いて、


「ミハル先輩、お帰りなさい。どうでしたか?実車に乗ってみた感想は?」


「あ、ミリアただいま。そうだね、良く出来た戦車だと思うよ。足も速いしね」


ミリアはミハルの感想に微笑んだ。


初めての車両で、装填手として訓練を終えたミハルは、射撃時間の短縮を考えてミリアに相談する。

次回・訓練開始ACT2

君は生き残ることが出来るか?

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