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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第1章魔鋼騎士Ep4魔鋼騎士Act3 戦場

軽戦車に砲弾を撃ち込む、マチハ。

次に現れたのは、マチハと同じ中戦車クラスのM3。

紅い曳光弾が飛んでいく。


狙ったM2型の正面下部を貫いた高初速の徹甲弾は、その威力を見せ付ける。


薄い装甲を破った弾はエンジンまでも貫いた。


((グワーンッ))


堪らずM2は爆発炎上して斯座した。


「一両撃破!続いて3両が突っ込んできます!」


ラミルが前方から迫る敵を知らせる。


「味方車両からも砲撃が始まった。

 後続している筈の中戦車に注意して!」


リーン少尉が軽戦車より後続している筈の中戦車に、主眼を置いて命令する。

味方車両が残り3両の内、一両を撃破した。


「軽戦車は左舷の方向に逃げます。

 前方にM3型中戦車が現れました。同じく突っ込んで来ます!」


ラミルの報告に、リーンが、


「M3の正面は硬い。出来るだけ砲塔を狙って!」


「了解っ!」


稜線を超えて、突進してくる敵M3型がレチクルに飛び込んでくる。(注・レクチル=照準環)


リーンの命令に、ミハルは前方右舷2時方向から現れたM3型の砲塔側面に狙いを定めて、


「撃っ!」


トリガーを引く。


((ボムッ))


砲弾は狙い通り、M3の砲塔側面に穴を開ける。


「命中!もう一発っ!」


ミリアがすかさず次弾を込める。

ミハルは次弾も、同じM3に撃ち込む。

ミハルの弾を2発受けたM3が停止して、淡く煙を吐き出す。


「よしっ、M3型撃破。

 出来るだけ数を減らすのよ。あのままの数で突っ込まれたら大変だわ」


リーン少尉は、キューポラから命令する。


「はいっ、各個撃破します!」


ミハルが次の目標を探して、復唱した。


味方の残存車両から、発射煙が上がる。

稜線を越えて現れたM3型中戦車の正面に50ミリ砲弾が命中したが、

装甲に弾かれてあらぬ方に飛んでいく。


ー  駄目だ。

   味方の短砲身50ミリ砲ではM3の正面装甲を貫けない!


照準器の中に捕えたM3に、2・3発の味方砲弾が命中するのが見えるが、

正面装甲に阻まれて悉く弾き返されるのが解る。


ー  このままM3が突っ込んで来たら、味方の方が各個撃破されてしまう。

   こちらにも正面装甲を貫ける車両が居る事を解らせないと。

   ・・・足を止めさせないといけない!


ミハルはあえて一番装甲の厚い正面に狙いをつけて、


「少尉!徹甲弾で、M3の正面装甲を狙います。

 敵に警戒感を与えないといけませんから。

 撃破したら、敵は左右に分散します。

 その時を狙って、敵の側面攻撃を味方に連絡してくださいっ!」


ミハルがリーン少尉に意見具申した。


「ミハル、やれるの・・・解ったわ!

 キャミー、指揮官に連絡。

 我々が先頭車両を攻撃するから、敵が散開したら側面攻撃をしてもらって!」


「了解、指示します!」


キャミーが無線で、直ぐさま連絡を取る。


「指揮官了承っ!攻撃せよ、ですっ!」


キャミーが振り向き、命令を伝達する。


「よしっ!ミハルッ!撃て!!」


照準器の十字線に、M3中戦車の正面機銃口に狙いを付け、


っ!」


トリガーを引き絞る。

射撃音と共に砲弾が低伸してM3に吸い込まれる様に命中し、正面装甲に穴が開く。


「敵先頭車両、停止。炎上しました」


ラミルの報告を受ける前に、ミハルは敵戦車から4人の乗員が脱出するのを確認した。


ー  4人・・・後の2人は、どうしたのだろう。

   まさか、私の射撃で・・・ごめん・・・ごめんね・・・


ミハルは自分の射撃で、また犠牲者を出した事に気付き、

心の中で棘が刺さる痛みを知った。


「敵、先頭車両を避けて、左右に分かれました」


キャミーの報告で、


「今よっ!全車に側面を狙わせてっ!」


リーン少尉がキャミーに、攻撃指示を出す。


味方の一斉射撃を受けて、次々と斯座するM3。

味方の50ミリ砲弾に装甲の薄い側面を貫かれて大破し、炎上する車両。

またある車両は、砲弾ラックに命中弾を受け、誘爆して砲塔が吹き飛ぶ。


6両中ミハルが撃破した2両を含めて4両が撃破され、

残り2両となったM3は、それでも下がらず正面を向けて闘った。


「見上げたものだわ。

 でも、それは只の時間稼ぎ。後から来る重戦車を待っての行動」


リーン少尉はこの後、重戦車8両が来る事を忘れていなかった。


「潮時ね。ラミル全速後退。重戦車が来る前に、射程外まで引くわよ」


「了解。全速で後退します」


ラミルがギアを後退にしてアクセルを踏み込む。


「ミハル!M3の動きに注意。追って来るなら足止めしてっ!」


リーンはミハルにあえて、撃破を命じなかった。

足止め、つまりキャタピラを破壊するかエンジンを壊すかを命じたのだ。


「あ、はい。M3の足止めをします」


味方も、マチハの行動と時を同じくして、後退を始める。


ー  こちらもかなり手ひどくやられたみたいね。

   出撃時の3分の1は斯座、若しくは撃破されたのか。

   残り12両。

   その内中戦車は私達を含めて、9両。

   重砲が、せめて4両程度撃破してくれない事には・・・


リーンは砂煙をあげて迫ってくる敵重戦車に、焦りを感じてしまう。


「車長!砲撃開始しました」


キャミーが無線で連絡を受けて、報告する。

約4000メートルまで迫って来ていた敵重戦車に、砲弾が降り注ぐ。


「やったぞっ!」


ラミルが爆煙の中に、炎が舞い上がるのを見て喜んだ。


だが・・・

爆煙の中から重砲の弾幕を潜り抜けた宿敵KG-1が現れる。

その中の1両を見た時、ミハルのときが再び動き出した。

次回 戦場

Act4

君は生き残る事が出来るか?

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