魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep2姉弟Act21ミコトの意思
闇の中で苦しむマリーの元へ碧き光が現れる。
その光の中から語り掛けて来たのは・・・
ー また・・・お前か・・・<双璧の魔女>よ?-
マリーの意識の中に、碧き光が姿を現す。
<まあ、そう言うな剣士マリーよ。千年前と違ってお互い苦労するなぁ>
マリーの前に姿を現したのは、聖巫女ミコトだった。
ー 確かに・・・大変な世の中になったものだな、古の戦巫女。
飛び道具がここまで発展するとは思いもしなかったぞ -
ミコトの思念に答えるのは千年前からの宿敵だった剣士マリー。
ー お前の術で呼び覚まされなければ、多分この子は姉を殺していただろう。
この娘も止めなかっただろうに -
剣士マリーは2人を想い、ミコトに話す。
<ああ、マリー。善く気付いてくれたと思う。善く止めてくれたと、感謝している>
ー いいや、私が止めたのではない。この娘が辞めさせたのだ。
闇の中から救いを求めていたのだからな -
剣士マリーの思念が応えた。
<そうか・・・この娘が。どうすれば救えると思う、剣士よ?>
その問いに剣士マリーが答えた。
ー そうだな。方法は唯一つ。魂の解放しかないな。
最早この娘の肉体はどこにも残されていないのだから。
そしてそれはこの娘の願いでもある・・・-
<そうか。では私の槍はどうなる。共に失う事となるのか?>
ミコトの思念が求める。
真実の答えを。
ー それが宿命と、言うのなら・・・-
<千年前と同じ様に・・・か。それともリインを傷付けた、あの時の様にか?>
ミコトの思念が言った事に、
ー それはこの娘達の力によって変えられるだろう。
私の僕が行った様に抗う力によって結果は変えられる事を証明したのだから -
剣士マリーの思念に同意したミコトが教えた。
<剣士マリーよ。この娘はマモルの事をどう思っているのか知っているか?
弟を失った姉の気持ちを解ってやっているのか?
この娘は弟の元へ逝きたがっているが、マモルを道連れにしようとは思っていないぞ?>
ー 解っているさ。そんな事位・・・-
2人の仲に意見の隔たりは無かった。
<では、どうする気なのだ?この娘・・・この機械を破壊する方法は?>
ー 聖巫女ミコトよ。
この娘は勧んで闇へ堕ちたのだ。
その魂を救うには・・・闇から解放するには聖なる力によってのみ。
その力によってしか齎されないと言う事を知っている筈だ。
求めているのは強い力、聖なる力によってのみこの娘の魂は救われる。
その強い聖なる力が何処に居るか・・・解っているだろう?-
剣士マリーの答えに、ミコトは納得する。
<ならば剣士マリーよ、私は私の槍を護るとするか。
お前がマリーを救わんとするのと同様に >
ー 聖巫女ミコトよ、解った。されど、勝負に手出しは無用で願う -
<よし、約束しよう。どちらが勝つかは時の運。敗れた方に恨みが残らぬ様に務めよう>
古の魂同士が、誓い合った。
どちらも闇へ堕ちる事がない様にと。
「ルメル・・・私も行くよ。奴に勝ったのだから。
ロナ、許してくれ。
勝ったというのに約束を守る事が出来なくて・・・すまない・・・」
マリーは機械の一部となってしまった事を悔やむ。
自らの意思で死ぬ事さえ叶わず、自爆すれば中に居る少年も巻き込んでしまう為に、
それさえも叶わず。
只、魂を深く沈ませ、闇の中で呪う。
今迄と違い、フェアリアの魔女に打勝つ事が出来、古来からの呪縛が解け、
漸くその魂が解放された事に気付いたのだった。
ー ロナ・・・私は何て事をしてしまったのだろう。
いくら憎しみに魂を縛られていたとはいえ、多くの人間を殺しその憎しみを拡散してしまった。
もう、私の魂は闇の中から抜け出せない。
ロナに逢う事も叶わなくなってしまった・・・-
自分に全てを託して死んだロナ。
その魂に粛罪を求めるマリーに、何者かが呼びかける。
「マリー、古の魔女マリーよ。呪うがいい、自らの愚かさを。
憎むがいい、己を堕とす元凶を」
その呪われし声に抗うマリー。
「貴様は誰だ。何故私を呪わせる!?」
「魔女マリーよ、お前はもう闇から抜け出す事は叶わぬ。
お前の魂は我が手の中にある」
邪な声がマリーを捕らえる。
「誰が貴様なんかに!私を闇から解き放て!」
マリーはその声に抗う。
「魔女マリーよ、そなたはもう堕ちたのだ・・・我が手に。
我が魔王ルシファーの手にな!」
その声はマリーの魂を捕える。
その邪なる闇の手で。
漸くミコトの術で闇から抜け出す術に気付き、魂を救わんとしていた剣士マリーの魂と、
その継承者たるマリーは、再び堕ちる事となる。
その事にミコトでさえも気付く事が出来なかった。
剣士マリーとの約束を信じて、唯マモルを護る事に全ての力を尽くそうと決めていたのだった。
巨大な闇の力に囚われたマリー。
そんな事とは露にも知らぬミコト。
これから一体彼女達はどうなるというのか?
一方その頃、第97小隊では・・・
次回 新たなる車両
君はその車体に何を感じ取るのか?





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