魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep2姉弟Act3看護婦キュリア
小隊宿営地で・・・
「まだキャミーは目を開けないのか?」
マクドナード曹長がラミルに訊く。
「はい、まだ・・・です」
「そうか・・・」
マクドナードも伏せ目がちに頷く。
「小隊の再編が急務になったというのに、中尉もミハルも戻って来ないのだからな。
我々で出来る事を始めておかなければならんな」
マクドナードは腰に手を当てて、目の前に聳え立つ車両を見上げた。
「そうですね、曹長。これの慣熟練習を始められる様に準備しておきましょう」
ミリアがその車体を見上げて言った。
「そうだな・・・ミハルはこいつを見てどう言うだろうか?」
ラミルもマクドナードもミリアも聳え立つ重戦車を見上げていた。
MHT-7・・・
それはMMT-6が魔鋼騎状態の時に見せていた姿。
そう・・・それはケーニヒス・ティーガー。
王者の虎<キング・タイガー>と呼ばれる重戦車・・・
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「軍曹私が代わりますので、一度お休みになられたらどうです。
これ以上付き添われても、どうかなる訳ではありませんよ?」
看護婦のキュリアがミハルの手を掴んで病室から連れ出そうとする。
「待って、私はキャミーの傍から離れてはいけないの。
力の続く限り快復魔法を使わなければ気が済まないから!」
ミハルが退出を拒む。
「何を馬鹿な事を言っているのですか軍曹。
傷病兵の事は私達看護婦に任せておいて下さい。
軍曹は私達の事を信じておられないのですか?」
キュリアはミハルの手を離さずとうとう病室の外へ連れ出し、
「いいですか軍曹!これは命令です!
あなたは疲れ過ぎています。食事を摂って休んで下さい、いいですね!」
キュリアはそうミハルに言うとキャミーの居る病室へ入り、内から鍵をかけてしまった。
「あっ!何をするのですか、看護婦さんっ!開けて!
キャミーに何かあったらどうするのっ!
私の身替りになったキャミーに何かあったら私はどうすればいいの!?」
ドアに縋り付いたミハルに内からキュリアの声が聴こえた。
「軍曹、あなたは確かに強い力を持っておられる。
だけどそれは闘いに使うべき力。
魔法使いには、その力を治癒に使う者もいるのです。
そう・・・私の様に」
「えっ?それって?」
ドアの向こうに訊くミハルにキュリアが、
「私も魔法使いなのですよ、シマダ・ミハル軍曹。
聖王女の求めで、ここへ来たのです。
さあ、キャミー兵長の事は私に任せて・・・少しお休み下さい」
キュリアの声がミハルに休息を取る様に言った。
「ミハル・・・看護婦の言う通りよ。
少し休みなさい。そんな疲れきった顔をキャミーに見せる気なの?」
いつの間にか横に来ていたリーンが言う。
「リーン?リーンが彼女を?」
呼び寄せたのかを訊く。
「いいえ、私じゃないわ。
リインさん・・・いえ、彼女曰く、ユーリ姉様の命令らしいけど。
リインさんが更に頼んでくれたみたいね」
「そうなんだ。ユーリ皇女様が・・・ありがとうリーン、ありがとうリインさん」
ドアの前から離れようとしないミハルの手を取って、
「さあ、ミハル。一緒に食事を摂って一眠りしよう。
その後でまたここへ来ればいいでしょ?」
優しくリーンに勧められたミハルが、漸く納得して頷く。
「解ったよ、リーン」
リーンの手を掴み直して歩き出した。
「さてと、行ったみたいね」
白衣を着た看護婦キュリアがドアを見て言った。
そして酸素マスクを着けたまま眠っているキャミーを視る。
「そう、ミコト様。あなたがこの娘を回復させるのは無理がありますよ。
だってあなたは戦巫女なのだから・・・」
そう呟いてリボンを着けたままのミハルの髪に手を触れる。
<誰だ、お前は?>
髪に宿るミコトの魂が訊く。
「ふふっ、私ですか?
お忘れになられたのですか?私の事を」
キュリアの瞳と髪が青く染まる。
<この力は!?お前も魔法力を?>
ミコトが訊く。
「そう、私も魔法使い。
1000年前にあなたと共に闘いし、あなたの友。
そしてリイン姫の侍女として勤めておりました。
キュア・リーア・・・思いだして頂けましたか?」
<リーア・・・だと!?あの魔法治癒師リーア!?>
「あらあら、やっと思い出して頂けたのですね。
そう、この娘が私の継承者ですのよ、聖巫女様!」
((ボウッ))
キュリアの手から力が放たれる。
<リーア!?お前は本当にリーアなのだな!
この力、確かにリインの傷を一晩で直したリーアの回復魔法!?>
「そうですわ、ミコト様。さあ、私に任せて下さい。
この娘の身体を蘇らせてみせますから!」
<う、うむ。では、そなたに託そう。
今の私では引き止めているのがやっとだったからな>
「はい、巫女様。お任せを・・・」
キュリアの手から、碧き光が放たれ続けた。
呆-っとしているミハルにリーンが心配顔をして見ていた。
そんなリーンもやはりキャミーの事が気懸かりなのだが・・・
次回 碧き色に
君は自分の秘められた能力に気付いてはいない。
そして!今回で連載200回!!此処まで来れたのも皆様の応援の御蔭です!
感謝感激!
さあ!今回は後書に特別編を載せました!
どうぞ!
「ミハルぅ、なぜ?」
むう・・と、考えるリーン。
「え?なぜって・・・。お風呂に行こうって言ったから・・。」
ミハルが困った様に小首を捻る。
「違うわよ!どーして記念回なのに・・・お風呂タイムなのっ!?」
「あ・・・いや、その。」
ミハルが益々困る。
リーンは力一杯遠くを見て叫んだ!
「なんで!?水着じゃないのよっ!これじゃあ単なるほっこりタイムじゃないの!」
「あーあ、リーン。言っちゃ駄目だよーぅ。」
「ん・・・で?こうなったのか?」
「そーろそーろ。ミハル先輩・・・にへへっ!」
「あー、露天風呂で雪見酒・・・うめぇ。」
「まま、どぞ!」
ミリアも、ラミルも、キャミーも露天風呂を楽しんでいる。
「まあ、みんなが楽しんでいるから・・・いいか。」
さっきまで誰かに怒っていたリーンも、どうやら機嫌が直ったらしい。
だが!
ミハルの身に危機が訪れたっ!
「にゅひひっ!しぇーんぱーーーいっ。むにゅぅ!」
「ぎぃやああああああああああっ!」
この後・・・。
ミリアは痛恨の一撃を喰らった・・・そうだ。
終劇?





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