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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act38敵、現る

待ち伏せたフェアリアの特別編成部隊。

その前に現れたのは・・・

吹雪は一向に止む気配を見せない。


「こちら左側山頂のデラム軍曹。敵エンジン音が聴こえます。一両ではない!」


突如左側山頂付近に陣取っている4号H型の車長、デラム軍曹から連絡が入った。


「各車戦闘態勢に入れ。敵を確認したら攻撃します。

 魔鋼騎状態への突入は各自の判断で行う事!」


リーンが隊内無線で命じた。

そしてキャミーに対し、


「キャミー、無線傍受。

 敵が一両じゃないのなら必ず、無線で連絡を取ろうとする筈だから。

 目標を捉えた後に何を言うのか探ってみて!」


「了解!」


リーンの命令に答えてキャミーは周波数ダイヤルを回し、ヘッドフォンに手を置いて聞き入った。


「こちら右側山頂のバタニム。敵を発見した。敵は軽戦車らしき車両一両。他に敵影見えず!」


遂に敵が現れた。



リーンは即座に敵を確認する為に、キューポラから半身を乗り出し双眼鏡を構える。


ー  よし、捉えた。敵軽戦車が一両。こちらの反応を探っているのかしら?


リーンは山頂付近から偵察している敵を見て、更に周りに敵が居ないか探る。


「全車、まだ攻撃しないで!

 デラム軍曹が言った様に敵は他にも居る筈よ。敵を全て捉えてから攻撃するから!」


攻撃を控える様に命じたリーンが観測を続ける。


「小隊長!敵が無線を使いました。連絡を取ったようです!」


キャミーがリーンに報告する。


「了解、そのまま傍受を続けて!」


リーンは敵が後数両居る事を確認し、全車に命じる。


「敵無線を傍受したわ。

 敵は後数両居る・・・暗黒魔鋼騎とは限らない。

 全車発砲準備にかかれっ!

 戦闘、対戦車戦。相手は足の速い軽戦車だから特に速力に注意を払って射撃する様に!」


特別編成で集められた中戦車6両に命じる。


「リーン中尉。私達の出番は?」


ラミルがいつでも発進が出来る様にエンジンを暖気運転させ訊く。


「さあ?来るのかしらね・・・」


リーンが肩を竦めて答えた。


ー  リーンには解っている筈・・・

   いいえ、リインさんは判っている。ミコトさんと同じ様に・・・


ミハルは右手の宝珠を見て思う。


ー  暗黒魔鋼騎は必ず来る。私達を狙って!


ミハルは右手の宝珠から顔を上げ、照準器を睨んだ。

その宝珠は危険を知らす様に、蒼き光を点滅させていた・・・



中央の盆地を4号に先導されたパンター中戦車がゆっくりと進んでいた。


そのパンターの側面には青く紋章が描かれてあった・・・<双璧の魔女>が。


ロッソアの軽戦車AMX-57は低い車体を山頂に晒して観測を続けている。

それは仲間を呼ぶコヨーテのごとく、無線を発していた。


「奴等、来ますよ?」


キャミーの声が車内に響く。


リーンの双眼鏡に一両の軽戦車が写っている。

雪の中でその軽戦車の横に、もう一両が現れた。


「これで2両目ですね」


ミハルが8倍望遠の照準器の中に入った2両を見て呟く。


「他には?もうあの2両で終わりなのかしら?」


リーンも呟く様に小声で話す。


「いいえ。きっともう一両居ますよ。そいつが本尊って訳ですよ」


ミハルが照準器を見詰めながら言った。


「いつ攻撃されても善い様に先導の4号を離れさせた方がいいわね」


リーンは遂にその時が来た事に悟り、キャミーに作戦開始と中央の4号に離脱する様に命じた。


「中央の4号、離脱せよ。これより戦闘に入る。各車射撃用意!」


「了解、戦闘射撃用意を命じます!」


キャミーがリーンの命令を無電で伝える。


いよいよ闘いが始まろうとしている。

だが、ミハルは待っていた。

本当の敵が現れるのを。


「ミハル、まだ見えないわね・・・」


リーンが判った事の様に言った。


「そうだね。でも、直ぐ近くに居る筈だよ。ミコトさんも言ってるから気を着けろって」


ミハルはリーンが自分の思った事と同じ様に感じているのが判って気を引き締めた。



「敵軽戦車、動き出しました!」


キャミーの声が響く。

ミハルが照準器の中で2両の軽戦車が、

盆地の中央に止まっているパンターに突撃を開始した姿を捉え続けていた。


「味方4号、牽引ワイヤー切断。回避します!」


ラミルがパンターを牽引してきた4号が離れたのを確認して報告する。


「よしっ、2両共罠に掛かった。攻撃用意!」


リーンがキャミーに全車に命じる様に、


「囮の無人パンターに敵が近付いたら射撃せよ。そう6両に命じてキャミー!」


続けて攻撃命令を下した。


「了解!」


キャミーは無線で部隊全車に命令を伝える。

挿絵(By みてみん)


「ミハル。奴はどこから来るかしら?」


リーンがキューポラで辺りを見回しつつミハルに訊く。


「うん。あの2両に先行させて、こちらの出方を探っているのは間違いない。多分・・・」


ミハルは言い澱んでリーンに振り返り、


「暗黒魔鋼騎も、解っている・・・か」


リーンがミハルの後を継ぐ。


「そう・・・私達がオトリを使っているのに気付いている。感づいているんだと思うよ」


ミハルは突入してくる2両の軽戦車の後に、必ず暗黒魔鋼騎が控えているとよんでいた。

2両のAMX型軽戦車が長砲身57ミリ砲で、

無人の紋章を描いたパンターの側面に砲を向けて突撃を掛けて来る。


「パンター迄、距離1800を切りました!」


キャミーの観測報告を受けて、


「よしっ、射撃始め!本車以外の全車であの2両を射撃、撃破せよ!」


リーンが攻撃開始を命じた。


((ズドオン ズドン))


三方の山頂に配置されていた3両とその側面を護る2両。

そしてパンターを牽引してきた中央の4号が2両の軽戦車に攻撃を掛ける。


戦いの火蓋は切られた・・・

2両の軽戦車との闘いが始まる。

未だに姿を見せぬ宿敵暗黒魔鋼騎。

ミハルはリーンと共にひたすら待ち続ける。

次回 火蓋は切られた

君は只待ち続ける、その望まぬ戦いを・・・

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