魔鋼騎戦記フェアリア 第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act35迷いと悩み
ドートル中将が2人に戦い方を教える。
たった一両で対決するのを戒め、自分の考えを勧めた。
司令部の幕舎の中で師団長が勧める作戦とは?
「どうだマーガネット、一対一では荷が重かろう。
敵暗黒魔鋼騎が出てきたら複数台で挑み、何としても倒すのだよ。
編成は魔鋼騎の中から選ぶ。それから作戦計画を練ろうじゃないか?」
ドートルがリーンの肩に手を置いて説明する。
「う、うん。判ったわ叔父さん。
でも本当の作戦開始までもう日が無いわ。間に合うのかしら?」
リーンが軍司令部が作戦開始するまでに暗黒魔鋼騎を倒せる時間があるのか不安で訊いてみると、
「うむ。あまり時間が無いのは間違いない。
早速部隊の編成に掛かる。もう一度呼び出すまで休んでおれ。
2・3時間後には呼びに行くからな」
そうリーンに教えるとドートル中将は足早に立ち去って行った。
その師団長に敬礼した2人がお互いを見詰め合って思う事は・・・
「リーン、どう思う?」
「うん。手強い相手なのは解るけど・・・」
2人が司令部から出て小隊へ戻る道すがら話す。
ドートル中将が指示した特別編成部隊の事を。
「集団で闘うのは解るけど相手が一両とは限らないし・・・
どんな作戦を立てたらいいのかしら?」
リーンが思い悩んで口にする。
その瞳は作戦を悩んで曇っている様には見えない。
もっと別の事を考えている風に見えたミハルが、思い切って訊いてみる事にした。
「リーン。リーンが今考えているのは作戦の事?
私には違う事で悩んでいる様に見える。
もしかしたらユーリ皇女様の事を考えていたの?」
ミハルがリーンの顔を見て尋ねると、
「あ、あはは。やっぱりミハルには隠せないわね。
そう、姉様がどうして暗黒魔鋼騎を倒せなんて言って来たのか・・・解らなくて・・・」
リーンがミハルを見返して心の内を話す。
「たった一両の軽戦車。
例えそれが手強い相手だとしても、何も私達に闘わせる必要があるのか。
そこがどうしても解らないのよね」
リーンは自分の姉が求めている答えが解らず俯いてしまった。
「そうだね。どうして私達なんだのうね。
ねえリーン、そんなに思い悩むのなら本当の事を訊いてみたら?ユーリ皇女様に」
ミハルがうじうじ悩むよりいっそ直接訳を聞く事を勧めた。
「それが出来たら・・・悩まないよ。
ユーリ姉様に直接聴くことが出来たら・・・
無電を打っても傍受されるし、ユーリ姉様の迷惑になるかもしれないし。
それにユーリ姉様に届くかどうかも解らないもの」
リーンがミハルの勧めも気乗りしなかった。
「うーん。直接会って話を聞くより方法が無いか」
ミハルも納得して二人揃って悩んでしまう。
「ごめんねミハル。
只でさえ難敵と闘わねばならないというのに。
ユーリ姉様の事で悩ませてしまって。
誰かがユーリ姉様の事を知らせてくれればいいのに・・・」
リーンが余計な事で気を使わせるのを謝る。
その時ミハルの頭にある人の姿が過ぎった。
「そうだリーン。カスターさんに聞いてみれば?あの人だったらきっと教えてくれるよ!」
以前宮殿で会ったリーンに好意を抱いている政務官の男を思い出して勧めてみた。
「カスター!?そっか、その手があったわね!」
リーンの顔がパッと明るさを取り戻す。
「あの人ならきっとリーンの力になってくれる筈だよ。
カスターさんに力になってもらおうよ、ね、リーン?」
ミハルがリーンの顔に明るさが戻ったのを喜んでもう一度勧めてみる。
「うん、でもカスターに迷惑かかるかも・・・」
「もう、リーン。引っ込み思案すぎっ!」
リーンの優しさを知るミハルは、それでもリーンの気が少しでも晴れる事を祈って押してみた。
「判った判った、ミハルの言う通りだね。そうしてみようかな」
漸くリーンが決心したのでミハルが気が変らない内にと、
「じゃあ、キャミーさんの処へ行って打電して貰おうよ」
「え?今直ぐに?」
「善は急げって言うからね!」
リーンの重い腰を上げさせる為に、ミハルが手を取って歩き出した。
リーンの想いはユーリに届くのか。
そしてドートルの元に集う、35名の戦士達。
その魔鋼騎乗り達にドートル中将は作戦を告げる。
次回 ドートルの作戦立案
君は仲間達と共に宿敵と対する事になる・・・