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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act31撃破は・・・

ミハルが射撃するタイミングでキャミーの叫び声が車内に響き渡る。

それは・・・

一瞬の差が、勝負を分ける。


「敵!発砲っ!」


キャミーの声が車内に響く。


ー  しまった!先に撃たれたっ!


動標的に対して見込み角度があり過ぎた為に、発砲を控えていたミハルが思わず後悔する。


「ラミルさんっ急停止っ!」


被弾を避ける為停止を命じ、砲塔を射線からずらす。

敵戦車の砲力が解らない為に執った咄嗟の判断だったが、

これで敵を狙って撃つ事が無理となった。


((ガッ ガガンッ))


敵の砲弾がミハルの居る砲塔左側面に命中し、

貫通はされなかったもののその装甲を半ば削り、喰いこんで炸裂した。


((ガン カン カン))


衝撃でビスが抜け飛び、車内に飛び散った。


((ビシッ>))


一本のビスが、ミハルの左腕を掠め服を引き裂いた。


「あっ・・くっ!」


鋭い痛みを受けて声を上げたミハルは、それでも敵に対して射撃を行おうと砲塔を回し続ける。


「このままでは側面を狙われます。ラミルさん左へ旋回っ!急いで!」


痛む左腕も構わず砲塔旋回ハンドルを倒し続け、敵軽戦車へ照準を合わせ様とする・・・が。


「駄目だ!奴の足が速過ぎる。間に合わないっ!」


ラミルの絶叫が耳を突く。


ー  くっ。このままでは側面に撃ち込まれてしまう。

   それまでに何とか敵の足だけでも止めなければ!


砲塔旋回スピードと、敵軽戦車の走行スピードはほぼ同じだった。


ー  駄目だっ間に合わないっ!


ミハルの拳が焦りと緊張で強張っている。

照準器の端で、走り続けているその軽戦車を睨み続けてある事に気付いた。


ー  あれ?敵は砲塔をこちらに向けていない。側面攻撃を掛ける絶好のチャンスなのに?


信じられない物を見るような瞳でミハルはその敵を観測し続ける。


「ラミルさん、旋回を続けてください、敵は逃げる気です。後方から追い討ちを掛けますっ!」


そのまま信地旋回を継続させて照準を急ぐ。

すれ違い、走り去ってゆく敵軽戦車の後部を漸く捉えたミハルが指をトリガーに掛けた時。


「味方小隊が追い討ち射撃を始めたっ!」


キャミーがペリスコープを見ながら教える。


((ドンっ ドドンッ ドンッ))


砂煙が敵を包み込むが、敵軽戦車の足は止められなかった。

そして、被弾回避運動を執りつつ、前方の林の中へ入ってしまった。


ー  もう、撃っても無駄だな・・・


ミハルはトリガーから指を放すと。


「射撃中止、攻撃終了します。合戦用意用具納め」


戦闘の終了を告げた。


「みんな。被害は?」


戦闘終了を告げて気になっていた敵弾を受けた時の被害状況を訊く。


「こっちは大丈夫だ。それよりミハル、お前はどうなんだ?」


ラミルが逆に心配して訊く。


「あ、うん。ビスが掠っただけ・・・」


右手で左手に受けた傷を押えて答えた。


「車長代理、魔鋼機械を停めました。魔鋼力を止めて頂いても宜しいんですよ?」


ミハルの髪が依然碧く染まっているのを見て、ミリアが声を掛けてきた。


「あ、そうだね。・・でも・・・」


辛そうな声を返したミハルを見たミリアが叫ぶ。


「センパイっ!やられてるじゃないですかっ!」


蒼き魔法衣を着たままのミハルを観て解った。

左腕を庇う右手から血が滲み出しているのを見たから。


ミリアが、慌てて医療箱を掴んで駆け寄る。


「う、うん。ごめん、ミリア」


魔法力で治療していたミハルの腕を調べたミリアが、


「直ぐに縫いますから。・・・少し痛みますよ?」


ミリアの手当てを受けている間もミハルが、


「キャミーさん、味方小隊に被害は?」


救援に来てくれた中戦車小隊に被害が無かったかを訊く。


無線のレシーバーを耳に当てているキャミーがそれには答えず、

口に指を当てて、少し静かに・・・と、言った様なポーズを見せる。


ー  ?


ミハルが怪訝そうな顔で少し口を噤んでいると。


「ミハル、敵の無線らしい声が入ったんだ。

 はっきりとは判らないけどな。

 どうやら何かを見付けたとか、紋章がどうとか言っていたみたいなんだが・・・」


キャミーがレシーバーから耳を離して伝えた。


「え?さっきの軽戦車がそう言っていたの?」


ミリアに包帯を巻いて貰っているミハルが訊く。


「多分な。こんな近い処でそう何両も敵が居るとは思えないし・・・」


答えたキャミーが、再び無線機に向かう。


「そうですか。さっきの軽戦車・・・何を見つけたと言うんだろう?」


ミハルが思い悩んで考えていると、


「センパイ、どうです?痛み止め打ちますか?」


包帯を巻き終えたミリアが訊ねてくる。


「あ、いいよ。この位我慢出来るから。ありがとうミリア」


挿絵(By みてみん)


微笑んで答えたミハルに心配顔のミリアが訊く。


「危ない所でしたねセンパイ。

 もし通常状態だったら確実に貫通されてましたね。

 軽戦車のくせに何て砲を持っているんでしょう」


敵弾が当った附近を見上げて言った。


「確かにね。

 魔鋼状態でなければ、撃破されていたと思う。敵の新型軽戦車には注意が必要ね」


左腕の包帯を見て、ミハルは漸く魔砲使いの衣装を元に戻した。


敵の一撃を喰らい、負傷したミハル。

そのミハルが会った救援小隊の中に居た人とは?


次回 救援に来た者

君は思いがけず抱締められる、怒られると思ったのに・・・


ここで前に上げたミハルの水着姿の続きです。

「早くおいでよ!」

そう言ってくれていたらなぁ・・・。夏はもう直ぐそこまでっ!

挿絵(By みてみん)

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