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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act29戦闘用意!

ミハル達の目に現れた3両の敵。

一先ず隠れたMMT-6の中で敵が先に動くのを待っているが・・・

 それから20分。

相変わらず敵の偵察隊に動きは見られず、ミハル達も足止めを喰らっていた。


「なあ、ミハル。そろそろ敵も帰らねえかなぁ」


ラミルが操縦席で暇を持て余していた。


「いえ。まだ動きはありません」


キューポラのミハルが、視界ギリギリの所に見える砲身から目を離さず答える。


「流石に20分も動きが無いとなると、こりゃあ長期戦を覚悟しないと・・・ねえラミルさん」


キャミーが横のラミルにポットのお茶を差し出しながら言った。

そのカップを受け取り一口飲んで、


「まあ敵も偵察が任務なのだから仕方がないか」


諦め顔になってしまう。

2人の会話を耳にしながらミハルは敵から目を離さず監視を続ける。


「ねえ、センパイ。味方に出向いて貰ってはどうでしょう。

 一個小隊でも来てくれれば、偵察が任務の敵は退散すると思うのですけど?」


ミリアも何時までも睨み合いを続けるのは、得策ではないと言う。


「うん、私もそう思うけど・・・もう10分待って敵に動きがなければ来援を呼ぼう」


ミリアの進言を受けて、ミハルも後少し粘って駄目なら味方に救援を願おうと決めた。


「あーあ。こんな時に限って小隊長も整備班も居ないんだからなぁ」


ラミルがいい加減痺れを切らして呟く。


「まあまあ。発見されなかっただけでも善かったじゃないですか」


「そうですよ。もしセンパイが先に発見しなければ不意打ちを喰らったかもしれないんですから」


キャミーもミリアも、ミハルが敵より先に発見出来た事を喜んだ。


「そりゃまあ、そうだけど。敵は3両だけなんだろう。やっつけてやりゃいいのに」


ラミルがリーンが居れば、闘っていたかもしれないと思った。


「敵が偵察が目的なら我々の監視が命令なんでしょうし、なかなか動いてはくれませんよ。

 監視が目的なら・・・?」


キャミーが自分が言った事に気付いて、


「ミハルっ!奴等は監視が目的じゃないんじゃないの?

 何故ならこんな所から味方陣地なんて解らない筈・・・もしかして奴等の目的って」


キューポラのミハルに意見した。


「私も・・・キャミーさんの考えと同じだよ」


ポツリとミハルが答える。


「何?待ち伏せ?」


ラミルが驚いた様に席から跳ね起きる。


「ど、どうします。車長代理?」


ミリアも味方に来援を願う事を躊躇って訊く。


「10分待っても動きがないなら来援を願い、その到着を待って攻撃します」


ミハルが敵を追い散らす事を命じた。


「闘うのか?リーン中尉抜きで・・・」


キャミーが不安げな顔をミハルに向ける。


「はい。我々だけでは無理ですけど、味方に敵が気付いたら横合いから撃ちかけましょう」


ミハルが双眼鏡で敵の砲身を見たまま答える。


挿絵(By みてみん)


「そう・・・か。了解!ミハルを信じているからな。後5分したら無電を打つ」


キャミーが席を回し、無電のキィに向く。


「それまでに動きがあればいいんですけど」


ミリアが砲弾ラック内に用意されてある徹甲弾の信管を解除して戦闘態勢に入った。


「私も出来る事なら戦闘に入りたくないけど・・・」


ラミルもエンジンや補機のチェックを始めた。

各員が戦闘突入やむなしと、持ち場のチェックを始めて5分。


遂に・・・


「ミハル!無電送信用意よし。打電するけど、いいんだな?」


キャミーが念を押す。


「はい。お願いします!」


ミハルはまだ敵を見詰めたまま答えた。

キャミーは黙ってキィを叩く。

車内に電信キーのリズミカルな音が流れ・・・


「送信完了。後は何が来てくれるか・・だな」


「ああ、敵車両より強力な兵力でないと下手すりゃ撃ち合いが始まっちまうからな」


ラミルも出来る事なら戦闘を行いたくないから、味方が敵を圧倒できる兵力を向けてくれる事を望んだ。

3人の会話を耳にしながら、ミハルは考える。


ー  どうしてこんな所で敵は見張りを続けているのだろう。

   味方陣地を探るでもなく・・・まるで、何かを待っているみたいに。

   ・・・確かに待ち伏せしている様にも見えるけど・・・


動かぬ砲身を睨んで、結論を導き出せずにいた。


ー  あの砲身の長さ、太さから見て中戦車以下。

   軽戦車だと思うけど・・・待ち伏せているわりには戦力不足だと思うんだけど。

   味方の補給部隊がここを通る見込みなんてないのに・・・


ミハルが考えあぐねている時。


「ミハル!司令部から返信が来たぞ。中戦車一個小隊をこちらに送ってくれたみたいだ」


キャミーの声がヘッドフォンから流れた。


「うん、解った。敵が退却してくれる事を祈るわ。一応味方に併せて突撃出来る様に即時待機!」


ミハルが戦闘態勢に入る様に命じ、観測を続ける。


「ミハル先輩。弾を込めますか?」


ミリアが装填命令を求める。


「いいえ、ミリア。まだその必要はないから」


ミハルが一度装填すると抜き取りにくい砲弾の装填を見合わせる。


「来た!味方車両発見、距離4000、4号F型が2両とH型が2両。急速接近中!」


ラミルが目ざとく発見報告を入れた。


ー  これで撤退してくれればいいんだけど・・・


ミハルは3本の砲身が逃げてくれる事を願った。

だが・・・


「えっ!」


思わずミハルは声を出して驚く。

隠れていた3本の砲身が味方4号に向けて動き出したからだ。


「どうしたミハル?敵は退却しないのか?」


キャミーがミハルの声に敵の動静を訊くと、


「キャミーさん!味方小隊に至急連絡してっ、敵は撃ち合う覚悟だって。早くっ!」


ミハルがマイクロフォンを押えて命じ、続けてミリアに命じた。


「戦闘!対戦車戦。味方に歯向かう敵戦車!

   ミリアっ、徹甲弾っ装填っ!!」



味方の到着で事態は急変する。

中戦車小隊を発見した敵は、逃げるどころか歯向かって来たのだ。

戦闘を覚悟したミハルは砲撃の準備に掛かる。


次回 再び闘いの渦中へ

君は敵に撃ち勝つ事が出来るか?

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