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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act23術師アンネ

姿を現したハンネ。

その術を操る者の本名はアンネ。術師アンネ・パルミラ。

事件の真相を知る者の名。

軍服を着た銀髪の娘が姿を現した。


「聖王女の魂よ、御無礼をお許し下さい。

 私は聖教会の術師アンネ・パルミラ。ハンネ・パルミーアは仮の名」


姿を現したハンネ。いや、術師アンネはリインに跪いて名乗りを上げる。


「聖教会?知らんな。リインは知っているかい?」


アンネを見詰めたままミコトが訊く。


「ううん、知らないよ」


リインが首を振って答えてから、


「ではアンネとやら、そなたは一体何者なの?何の目的で此処に居る?」


術師アンネに問う。


「はい、私は教会からの命でリーン皇女を守護する役目を仰せつかって此処へ参りました。

 リーン皇女に危害を加えんとする者を排除する為に此処に居るのです」


アンネは頭を下げたままリインに答える。


「ふむ。リインの継承者を護る為か。

 では聖教会というのは邪な者から継承者を護る為の組織なのだな?」


ミコトがアンネに問い質す。


「私はリーン皇女の身に危害を加えんとする者を消す様に命ぜられただけ。

 もう一人の魔女を護れとは命じられていないし、答える必要もない」


アンネは明らかにミコトに対して、余り善からぬ印象しか持っていない様子だった。


「うむ、成る程。聖王女にだけ服従の意を表すのか」


ミコトが納得したように頷きリインを見る。


「私に復命するのならば、何故<双璧の魔女>たる聖巫女にも従わない?

 そもそも聖教会とは何の組織なの?アンネとやら」


リインが手に持った聖剣を突きつけて解答を求める。


「はい、聖教会の歴史は伝説のリイン王女に救いを求める為に創られたと聞きます。

 そして神を粛正を阻止する組織でもあるのです。

 私の様な異能者達がその歴史の中で何度も闘い邪な者から継承者を護ってまいりました」


アンネは話を区切ると頭を上げ、リインを見上げた。


「ふうん。そうなの?

 私の継承者を護って来たんだ・・・知らないなあ。

 もし継承者だったとしたら少なくとも何らかの力を現し、私の記憶に残った筈なんだけど?」


リインは千年間眠り続けてミコトに出会い、初めて目覚めた事を思い出す。


「継承者と言っても私の魂がミコトに目覚めさせて貰えなければ只の器に過ぎなかった。

 それはこのリーンとて同じ。

 もし、ミコトがこの娘に宿ってなければ私は今もこの娘の中で眠り続けていただろう」


リインがミコトを見て微笑んだ。


「継承者が一体誰なのか解っていたというのか、その教会には?」


ミコトがアンネに訊くがそれには答えず。


「リイン王女の継承者が誰なのか。

 それは王族の中で魔法力を持つ者。その全ての者を守護するのが教会の勤めでもあるのです」


「はあ、御苦労様なこって」


ミコトが半ば呆れて呟いた。


「いいえ。魔法力を有する王族は・・・その血を受け継ぐ者は多くは居ません。

 それに魔法力を有する者はこの千年でたったの3人。その一人がリーン皇女なのです」


アンネがミコトを睨みながら答えて、


「我々の知らない処で血は他の者に流れ移っていたようですね。リーン元第4皇女」


口を歪めて皮肉る。


「この娘の母親の事を言ったのか。無礼な奴め」


リインが剣の柄を握る。


「そう聴こえたのなら謝ります。ですが真実ですから」


リインに窘められたアンネが頭を下げる。

柄を持ったままのリインが、


「確かにこの娘の母は王族ではなくなっていたようだが。

 だが私の血を継ぐ者には違いない。

 途中でどんな経緯があったにせよ、この娘の母は王族に違いは無い。

 卑屈な事を申すなど以ての外だぞ!」


リインがアンネに剣を突きつけた。


「もういいだろうリイン。

 それよりこの娘、アンネが何故あの少年を殺したのか問い質そう。ミハルが五月蝿くてかなわん」


入れ替わった身体の持ち主がしつこく事件の真相を聞くのでミコトが話を切り替えた。


頷いたリインがアンネに問う。


「何故あの少年を撃ったのだ。邪な者とはいえ、その救済を求めた者を」


アンネが撃ったと前提して問うリインに、


「リーン皇女に銃を向け、引き鉄に指を掛けた者を排除したまで。教会の命令に従っただけです」


アンネがリインの瞳から顔を背けて答える。

その顔に僅かな戸惑いを感じたリインが、


「本当にそれだけの理由なのか?隠しても無駄だ、本当の事を言いなさい」


聖剣に力を込めるリインがアンネを見据える。


「そ、それは・・・」


口篭もるアンネに、


「言えぬのか。口封じの為に殺したのではないのか?どうだ」


聖剣が碧き光を放ち出す。


「うっ!解りました、言います。

 あの少年をリーン皇女が撃てない・・・殺す事が出来ないと判断したからです。

 あのままだったらきっと・・・

 ザルバは闇に取り込まれたままリーン皇女に危害を加えると考えたからです。

 口封じの為なんかではありません」


必死に碧き光の中でアンネが申し開きをする。


「継承者を護る為にか?偽りではあるまいな」


リインが聖剣の力を弛めて正す。


「はい・・・誓って。それがザルバの為でもあると考えたからです」


頭を垂れてアンネが手を下しかねているのを見かねて撃ったというのだが。


「アンネよ。お前は人の命を何だと心得ているのだ。

 例え邪な者だとしても救いを求めて苦しむ者の命を奪っても善いと思っているのなら大きな間違いだ。

 人は生きてこそ人なのだ。

 死んでしまえばそれは只の物。単なる器にしか過ぎん。

 人を簡単に殺す様な命令を出す組織を私は認めない。

 そんな組織に護って貰うほど、私は落魄れていないぞ!」


リインの瞳が怒りの光を放ってアンネを見据える。


リーンを護ると言い張るアンネ。

しかしリインは認めない。その思い上った者を・・・

そしてリインは遂に勝負を言い渡す。

次回 決闘の刻

君は図らずも闘う破目になる、強い決意の元・・・

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