魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act21犯人は何処に?
助け出されたミハル。
ほっと息を抜く暇も無く犯人を捜す為搭乗員達と協議する。
そして真犯人を求めて行動に移した。
服装を整えたミハルが畏まっている。
「それでミハルは捕えられた・・・と、言う訳ね?」
リーンが腕を組んだまま訊く。
「は・・・はい」
一言返事を返して俯くミハル。
「あれ程言っておいたのに、か?」
キャミーも腕を組んでミハルに言う。
「す、すみません・・・」
更に小さくなって謝る。
「それで、助けてあげたのに・・・これですか?」
ミリアが頭のタンコブを擦って言う。
「そ、それはミリアが、私の胸を揉むから・・・」
顔を上げて言い返すミハルに。
「だって本当のミハル先輩か、確認する為だったんですから。
縄をほどかなけりゃ良かったかなぁ?」
ミリアが悪戯っぽく笑う。
「うっ、ご、ごめんミリア」
助けに来てくれた時ミリアに体中を触られて、
思わず頭をぶん殴った事を謝るミハルに。
「まあ、ミリアの事だ。変なスキンシップをしたんだろ。役得だったなミリア!」
ラミルが探し出した手柄で大目に見ろとミハルに笑いかける。
そして4人が一斉にミハルを指差し。
「今回はミハルが先走ったからだぞ!」
笑いながら言われたミハルは、
「えっ!?えええっ?」
戸惑った様に苦笑いを浮かべる。
搭乗員室に集まった仲間が、ミハルとリーンの無事を喜んでいた。
「それにしても、ミハルを私達から奪おうとするなんて。どこまで卑劣な奴等なのかしら!」
リーンが腕を組んだまま怒る。
「そうですよ、誰がそんな馬鹿げた事を考えてやがるんだ!」
キャミーが同調する。
「全くだ。ミハルあっての97小隊なのに!」
「私も同感です。センパイが居ない97小隊なんて考えられませんから!」
4人の想いにミハルは心から感謝する。
「ありがとうみんな。嬉しいですそう言って頂けて」
嬉しそうに微笑むミハルと対象的な顔で、
「ミハルを狙う理由か。
ミハルを部品の一部にする・・・その意味が解らないわね。どう言う事なのかしら?」
リーンが考えあぐねて呟く。
「さあ?人を部品の一部にするなんて事があるのか。それ自体、意味不明ですよね?」
キャミーも顎に手を添えて考える。
「まさか人を機械の中で働かせる訳じゃあないでしょうし。
それなら別にミハル先輩に限定する必要なんてない訳ですからね」
ミリアが言った事は遠からず当っていたのだが、その時はまだ誰も判っていなかった。
「兎に角、中尉。
ザルバを撃った犯人が、この基地内に潜んでいる事は間違いないのです。
全員を集めて知らせるべきではありませんか?そして犯人を捕えねばなりません!」
ラミルがリーンに犯人を捕える事を進言する。
「うん、それもそうね。まずは隊内の洗浄を優先する方が先決ね」
リーンは心の中で蟠りがあったが、ラミルの進言を肯定した。
「みんな、犯人はハンネとは限らない。
ザルバ君を撃った理由が口封じとは限らないから、油断なくね」
そう言って4人に気を引き締める様に命じた。
「はい、了解です!」
4人がリーンに復唱した。
「よし、総員集合を掛けて。整備場で決着をつけるから」
リーンが4人に命じ、
「念の為に帯銃、帯剣を命じます。犯人が抵抗した時の用心に・・・ね」
自分も剣を取った。
「判りました。みんな行こう!」
ミハルがコルトの弾倉を確認してポケットに入れ、3人と共に整備場へと向った。
「総員集合!整備場っ!」
ミハルが大声を振り上げ命じる。
ミハルと共に3人が口々に総員集合を告げると、整備場以外に居た整備員達も急いで集まって来た。
ミハルの前に搭乗員と整備員達が集合を終えた。
が、2人の欠員がいるのに気付いた。
「あれ?班長とハンネさんは?」
ミハルが訊くと整備員達はお互いに知らないと首を振る。
「困ったな、何処へ行っているんだろう?」
ミハルが首を傾げて言うとラミルが、
「そういえばミハルを探している時から2人の姿が見えなかったな」
思い出す様に先程見た事を話す。
「そうなんだ・・・どうします中尉?」
振り返ってリーンに訊くと、
「そうね、2人が居ないんじゃあ総員集合の意味が無いし・・・
それじゃあ全員で呼び出して来てもらおうかな」
そう言うリーンの瞳が鋭い光を放っているのを見たミハルが気付く。
「判りました。それでは班に分かれて探しに行きましょうか。
整備員は整備科を探して下さい。私達搭乗員は基地内の各所を探します」
そう告げて解散させる。
ミハル達搭乗員がリーンの元へ寄り、
「マクドナード曹長とハンネが居ないとなると。
マクドナード曹長の身が危ないのかも知れない。急いで探しましょう!」
リーンが4人に言うと、
「でも中尉。先程ミハルを探していた時にはもう見かけませんでしたよ、なあミリア?」
ラミルが2人の姿を見なかったと話す。
「はい、見ませんでした。もしかしたら基地の外に出ているのかも知れませんね」
ミリアも見なかったと言う。
「そうだとしたら犯人では無いと言う事になる。だとしたら犯人は一体誰なんだろう?」
キャミーが不思議がって考える。
「まだ2人が外に出ているとは決まっていないわ。もう少し探してみよう」
ミハルが2人の探索を求めると、
「そうね、あの2人が本当に外に居るとしたら後で帰って来る筈だから。今は探す事にしましょう」
リーンもミハルに目配せしてから同意する。
「それじゃあラミル、キャミー、ミリアは基地内の各所を探して。私とミハルは城内外を廻ってみるから」
リーンの命を受けて3人が探しに向う。
目配せを送って来たリーンとミハルは、
連れ立って城の内外を見渡せられる見張台へ登って行った。