魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act20救出
ラミルとミリアは、、ミハルを捜し求めていた。
基地内をくまなく探す二人。
その心は大切な仲間を心配する一途な想いで溢れていた。
「ラミルさんは基地内の人が入る事が出来る部屋を探して下さい。私は各倉庫を探します!」
ラミルとミリアは、ミハルを捜し求めていた。
「よしミリア。二手に分かれて探そう。急げっ!」
「はいっ!何としても先輩を助け出しましょうっ!」
2人はそれぞれの受け持ち場所へ駆け出す。
整備員達は2人の姿を気にも掛けず働いている。
整備場を通り過ぎる時にラミルは気付いた。
マクドナード班長とハンネの姿が見当たらない事を。
ー 2人の姿が見えないな。何処へ行ったんだ?・・・まあいい。
それよりミハルだ、何処へ連れ込まれちまったんだ?
ラミルは整備場を抜け、奥の整備班室へと向った。
<継承者よ・・・ミハルよ、目を醒ませ>
右手の宝珠がミハルの心に告げる。
ー ん?私・・・どうしたんだろ?ここは?
気付いたミハルが宝珠に訊く。
<ミハル、気が付いたようだな。
お前は邪な奴に眠らされたのだ。さあ目を醒ませ、間も無く助けが来てくれるぞ>
ミコトが笑う様に語り掛けてくる。
ー 助けが?来てくれる?
ミハルがミコトに訊き返す。
<ああ、お前の仲間が来てくれる。お前の事を心配してな・・・いい友を持ったじゃないか継承者よ>
心の中でミコトが微笑んだ感じがミハルに伝わる。
ー うん、そうだねミコトさん。私は良い友を、大切な仲間を持てた・・・嬉しいです!
心で感謝の言葉を呟き目を開ける。
「ん?んんっうっん?」
眼が開くと、同時に気が付く。
口が利けない様に猿轡を噛まされ、両手両足が縛り上げられて動きが取れない事に。
「うっううっうううっ!」
何とか口に噛まされた布を外そうともがくが、くぐもった声しか出せない。
両手も後手に縛られて、外せそうに無かった。
ー 何とか音を出し続けないと。
助けに来てくれるみんなに私が此処に居る事を伝えなくては!
ミハルはごそごそと動いて縛られた両足で何処かを蹴ろうと考える。
薄暗い暗室の中に居る事は間違いないが、ここが何処なのかは解らない。
だが、少し動いただけで何かに両足が当ったので、ここがそう広い空間ではないのが解る。
両足で当たった物を蹴ってみる。
((バンッ バンッ))
何か堅い乾いた音が出る。
ー どうかな、こんな音で外に聞こえるかな?
音の大きさが気にはなるが何も出来ないよりマシだと考えたミハルは蹴り続ける。
ー 早く誰か気付いて!私の体力が続いている内に!
ミハルは蹴り続けている内に自分の上着とシャツが奪われている事に漸く気付いた。
ー あっそうかザルバ君に取られちゃったんだ。
変装する為に・・・リーンの元へ行く為に・・・あっ?!
リーンとの仲を裂く為に、自分に変装するザルバを思い起こしたミハルは焦りを募らせる。
ー 早く、リーンの元へ行かないと。
リーンとの仲を裂かれてしまう。そんなの絶対嫌だ!
ミハルは気が動転してもっと両足を強く打ち付け音を大きくしようともがいた。
<継承者よ、そう焦るな大丈夫さ。あの娘にはリインが居るのだから。
<<双璧の魔女>>が付いているのだから安心しろ>
苦笑いする様にミコトが告げる。
ー でも・・・あんなにそっくりに化けられたらリーンだって解らないよ。
それに私の服を着て行かれたんだから・・・
焦るミハルが蹴るのを止めずにミコトに言う。
<ミハルよ、それならマモルに化けた奴をお前はどうして直ぐに見分けたんだ?
どうしてマモルでは無いと気付いたのだった?>
ー そ、それは。瞳の色が違ったから・・・
ミハルがミコトに答える。
<じゃあリーンは直ぐに気付くさ、偽者だと>
ミコトが自信たっぷりに言った。
<そうさミハル。あやつは外見しか似せられぬ半端者。
それに気付かないお前の仲間は居ない。そうだろ継承者?>
ミコトに教えられてミハルの両足が止まる。
ー うん・・・そうだね。そうだよねミコトさん!
ミハルはミコトに感謝する。自分に自信を与えてくれた事に。
そして・・・
<ほら、ミハル。お迎えが来てくれた様だぞ。ちょっと足で知らせてみろ!>
ミコトが外に居る者に教えろとミハルに言う。
ー うん・・・
ミハルはもう一度両足で音を立てようと足を引く。
((バアンッ))
「ふんぐっ!?」
蹴ろうとした両足に衝撃が与えられ、思わず叫んでくぐもった声が出てしまう。
その衝撃と共に光が足元から差し込んで・・・
「あっ!センパイ!みーぃつけたっ!」
そこには、ミリアの笑顔があった。