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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act19求めざる弾

リーンは偽ミハルの瞳にたじろぐ。

リインと共にどうする事も出来なくなった二人に偽ミハルが求める。

粛罪を・・・

リーンはその姿を見詰めて固まる。


ー  こんな姿を見せられては、私にはどうする事も出来ない。リインさん・・・どうすればいいの?


目の前に居る偽者の姿に、リーンは戸惑う。


「リーンよ、私にだって継承者の姿をしたこ奴を殺すなんて事は出来ない。

 この瞳をされてしまってはどうする事も出来はしない・・・」


リインは聖剣を下げて拒否する事を示す。

リーンが自分を救えないと感じた偽ミハルが咄嗟にポケットの拳銃を取り出し、


「お願いですリーン皇女。私を・・・私を撃って下さい!」


叫んで銃を構える偽ミハル。


「やめなさい、偽者。

 今のあなたはミハルと同じ瞳をしている。

 そんな姿、そんな瞳をした者を殺せる訳がないでしょう?」


リーンに告げられた偽者が涙を零す。


「そう・・・なんですね。だったらリーン皇女を撃たなくてはならないですよね。そうすれば・・・」


偽者は何かを考えたのか、トリガーへ指を掛ける。


挿絵(By みてみん)


「「聖王女に危害を加えようとする者は・・・消す」」


偽ミハルの脳裏に浮かんだ言葉があった。


拳銃を構えた偽ミハルが最期に思った事とは・・・


ー  これで・・・やっと・・・


((バシュッ))


リーンの脇から一発の弾が、偽者を貫いた。


「なっ!?何だとっ?」


リーンの前で偽ミハルの腹部に穴が開き、崩れる様に偽者は床に倒れた。


挿絵(By みてみん)


リーンの身体を使う聖王女リインは、弾が飛んで来た方を一瞥してから倒れた偽ミハルに駆け寄る。

急所を一撃で射抜かれた偽者が虫の息となってリーンに謝った。


「リーン皇女、ご迷惑をお掛けしました。

 どうか許して下さい。そして・・・リイン聖王女様。

 どうかこの国を、民を救って・・・僕の様な者を出さない為に・・・」


苦しい息の元でリーンに謝る偽ミハルの姿が徐々に本来の少年の姿へと戻ってゆく。


「解った、約束する。必ずこの国を救ってみせる。

 君のように闇へ堕ちる者が出ない様に救って見せるから・・・」


リーンの言葉に安心した偽者が、


「ありがとう・・・ございます皇女」


リーンに微笑んで目を瞑る。


「待てっ!君の名は?本当の君の名は何と言うんだっ?」


リーンが少年の姿になった者の名を訊く。


「ははは・・・僕はザルバ、ザルバ・ガンオム。これが本当の・・・闇に堕ちる前の僕・・です」


銀髪を短く切った少年が首を垂らした。

リーンの見詰める前でザルバ少年の身体から力が抜けていった。

闇に堕ちた者の最期とはいえ、人の死を見せ付けられたリーンの心が痛む。


「お休みザルバ君。どうか魂が清浄される事を祈っているよ」


リーンがリインと共に聖剣の光でザルバを癒す。

そして立ち上がりザルバを撃った犯人を捜す。




ザルバを撃った弾は、ドアの隙間から飛び込んで来た。

リーンは剣と銃を持ってドアの外に気を向ける。


ー  誰か・・・居る?


リーンは外に居る気配を感じ取って、その相手が何者かを考える。


ー  もし、ミハルなら殺しはしない筈だし、そもそも隠れて撃つなんて事はしない。

  搭乗員の誰か?いや、それも違う。

  もしそうなら撃った後に部屋へ飛び込んでくる。だとしたら・・誰?


リーンは銃をポケットに仕舞い、剣の鞘を抜き放つ。


ー  リインさん、換わってくれないかな。

   リインさんの魔法力なら例え相手が邪な者だとしても太刀打ち出来るだろうし・・・


リーンがネックレスに頼んでみる。


ー  ねえリインさん。換わってくれないかしら?


すると宝玉のリインが、


ー  あ・・・うん。ちょっと困った事が。魔法力を使ったから・・・その・・・ね(赤)


リインが宝玉の中で顔を赤くする。


「あ・・・あああっ!リインさんっ肝心な時にっ!」


リーンも顔を赤くして困ってしまった。


ー  あああっ、何でこんな時に。聖王女の馬鹿ぁっ!


リーンは魔法力の消費と共に愛する者を抱締めたくなる衝動に駆られて顔を赤らめる。


「うううっ、ミハルぅ・・・。何処に居るのよぉっ?!」


リーンがミハルを求めて呟いた。




「リーン中尉!大丈夫ですかっ!」

ドアの外に居た者が突然声を掛けて入ってくる。


「えっ?キャミー?」


拳銃を構えたキャミーが、リーンに声を掛けてきた。


「何処もお怪我はありませんか・・・えっ?」


突入して来たキャミーがリーンの傍に倒れている知らない少年に気付き立ち止まる。


「その軍曹の少年は?中尉が撃たれたのですか?」


既に事切れている少年の軍服を見て、キャミーが訊ねる。


「いいえ、私が殺したのではなくて・・・キャミーが撃ったんじゃあないのね?」


リーンがキャミーの銃を見て訊く。


「え・・・はい。

 あたしは中尉の身に危害を加えないか見張っていたら偽ミハルが銃を構えた時、

 急に目眩がして・・・気が付いたら偽ミハルが見えなくなっていたんです」


キャミーは倒れている元偽ミハル、ザルバの銀髪を見ながら答えた。


「目眩?意識を失っていたって事?」


リーンがキャミーに問う。


「はい、ドアの隙間から偽者がリーン中尉に銃を構えるのが見えた瞬間に・・・

 気が付けば中尉の傍にこの少年が倒れていました」


キャミーが拳銃を後ろベルトに差し込み、少年の脈を取って死亡しているのを確かめ。


「一撃で急所を狙えるには余程の腕が・・・

 近い所から発砲するしか・・・でも私は撃っていません、本当です」


立ち上がったキャミーがベルトに差し込んだ拳銃をもう一度取り出しリーンに差し出す。

銃口に硝煙痕がないのを見せるキャミーに、


「解っているわキャミー。あなたが撃つとしたら相手の銃を持つ手でしょうからね」


リーンも自分の持つ銃を見せて、

「私達以外に発砲した者が居るのは間違いないわ。それが誰か・・・と言う事よね?」


リーンがキャミーと共にドアを見て考えた。


リーンとキャミーが犯人の事を考えている指揮官室より離れた整備場では、

ラミルとミリアがミハルを捜し求めていた。

ミハルは無事解放されるのか・・・。

次回 救出

君は仲間の事を信じて待つだろう。きっと来てくれると信じて・・・

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