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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act18贖罪を求める者

偽者の前に現れるもう一人の王女。

その力の前に偽ミハルの心が開かれる。

その聖なる光に心が洗われる・・・

リーンの怒りに、もう一人の王女が現れる。


「さあ、その姿をお止めなさい邪な術を操る者よ、この聖王女が許さない。ミコトを何処へやった!」


リーンの口から<双璧の魔女>リインの声が偽ミハルを脅す。


「なっ?聖王女・・・だと?まさか?本当に<双璧の魔女>なのか?」


偽ミハルが大きく眼を見開き、リーンを見詰める。

リーン、いやリインが拳銃を持った反対の手で立て掛けてあった剣の柄を握る。


「疑うなら見せてやろう、我が聖剣の力を!」


リインの手にある剣の柄と胸のネックレスが碧き輝きを放つ。


その眩い光に照らされた偽ミハルの姿が・・・


「なっ!その光は・・・この輝きは・・・聖なる光。清浄なる輝き・・・」


叫ぶ偽者が本来の姿を現す。


「解ったか邪なる者の下僕よ。私は聖王女リイン。千年の眠りより目覚し者なり!」


剣の柄を偽ミハルに突きつけてリインが言い放つ。


「う・・・そんな馬鹿な事が・・・あのお方が仰った事と違う。<双璧の魔女>は目覚めていないと・・・」


たじろぐ偽ミハルに、


「ルキフェルがどう言ったかは知らないが、私もミコトも既に目覚めた。闇の力を断ち切る為に!」


輝く碧き瞳でそう告げられた偽ミハルが膝を床に付く。


「そんな・・・僕は・・・騙されていたのか?

 闇の力で生き永らえさせてくれた筈なのに。どうして・・・」


呆然と床に屑折れた偽ミハル。


「お前はどうして奴に捕われたのだ。どうして抗わなかったのだ?」


リインが答えを求める。


「僕はもう少しで死ぬ所だった・・・いや、一度は死んだのかもしれない。

 でもその時あのお方が現れたんだ。

 僕の魂を求めて。

 そして僕を生き返らす代わりに命令を聴けと・・・

 力を授けるから命じられた事をしろと・・・それが僕なんだ。

 この邪顔の術を操る異能の者、新総統の下僕、闇の力を授かりし者・・・」


偽ミハルが叫んだ。


「お前は自分が生きたいが為に闇へ堕ちたのだな。

 この先、お前はずっと闇に覆われて生きていくつもりなんだな?」


リインの瞳が鋭い光を放って見据える。


「闇に覆われて・・・その先にあるのは・・地獄」


リインが剣の柄を握る。


「僕はこれまでにも、多くの悪い事を働いてきた。もう闇に尽くすのは嫌だ。本当の僕に戻りたい」


聖剣から迸り出る聖なる光で偽ミハルの心が清浄される。


「その言葉。誠の心か?闇より解き放たれたいと言うのだな?」


リインが偽ミハルに問う。


「はい、心の闇を取り払って元の自分に戻りたいです」


瞳に涙を浮かばせた偽ミハルが求める。

だが・・・


「残念だが・・・それは適わぬ。そなたは奴の力で生を永らえている。

 奴の力を失えば・・・それはそなたの死を意味する」


リインが首を振って助けられない事を告げた。


「そんな・・・僕はもう闇から抜け出せないのですか?

 このままずっと悪い事を続けなければならないのですか?」


偽ミハルが救済を求めるが。


「そう・・・それが魂を闇に売り渡した者の宿命。

 命果てるまで永劫に続く苦しみ。その苦しみから解き放つには・・・」


リインが偽ミハルに剣を突きつけ、


「己の死をもって粛清する事だけだ!」


そう言い放った。


「死ぬ・・・死ねばもうこんな事をしなくて済む。

 そうなんですね・・・僕は地獄に行って謝らなくてはいけない人達が大勢居る・・・」


俯いた偽ミハルが何かを求める様に手を差し出すと。


「お願いです、聖王女。僕を・・私を救ってください!」


贖罪を求める。


「あなた・・・解っているの?それがどんな意味を持つ事なのかを?」


リインがリーンと共に言った。


「はい。私はこの先に待っている事に気付いたのです。

 例えこのまま生を永らえても、いずれあのお方に喰われてしまうでしょう。

 そうなれば魂さえも救われない事に、闇に堕ちて永久に苦しむ事になるんだって」


立ち上がった偽ミハルが両手を広げて言った。


「ねえ、リーン。・・・私を殺して」


挿絵(By みてみん)


その姿はミハルのまま。

その瞳はミハルの眼・・・



リインとリーンの眼に写るのは、ミハルと同じ瞳となった偽者。

解っていても手を下しかねるリーンにその瞳が求める。

リーンは愛する者と同じ瞳をした偽者を贖罪させる事が出来るのか?

次回 求めざる弾

君は闇に堕ちた者を救えるのか?その魂を救えると言うのか?

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