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魔鋼騎戦記フェアリア  作者: さば・ノーブ
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魔鋼騎戦記フェアリア第3章双璧の魔女Ep1闇の魔鋼騎Act15失態

ミハルはザルバの前に姿を現し、対峙する事をを選んだ。

ザルバが独りだけ残っていた。


ー  どうしよう。ザルバ君を捕えてしまうべきなんだろうけど・・・


ミハルは物陰で考える。


ー  狙いが私だって言っていた。

   リーンに危害を加えないなら・・・彼は主から私をどうしろと命じられたのか。

   それを聞き出してから捕えればいいのかな?


ミハルはその時、ザルバの術がどんな物であるかを知りはしなかった。

その油断が、ミハルの身に襲い掛かろうとしていた。



「ザルバ君、此処に居たんだ?」


今来た所の様な顔で、ミハルがザルバに近付く。

ミハルの呼び掛けに答えないザルバは顔を背けたままだった。


「あ、さっきはごめんね。痛かったでしょ?」


ミハルは敢て制裁の件に話を持っていった。

だがそれでもザルバはミハルに答えなかった。


「あ・・・。その、ごめんなさい。怒っているの?」


努めて朗らかに話し掛けるがザルバは返答しない。

そのザルバに注意を払いながらも、ミハルは近付く。

顔を背けているザルバに手が届く所まで寄ったミハルが注意をしながら。


「ねえザルバ君、本当にあなたが砲に何かをしたの?」


ザルバがミハルの質問に答えるより早く振り返って、ミハルの手を握った。


「えっ?」


ミハルは手を掴まれた事より、振り返ったザルバの瞳の色に驚いた。


ー  その瞳・・・その色は闇に堕ちた者の証?!


赤黒く澱むその瞳にミハルは見覚えがあった。


ー  ザルバ君の瞳。確かにどこかで見た事がある。

   ・・・そうだ、あの検査官と同じだ。

   邪眼の使い手だった、あのギャガン検査官と同じ瞳だ!


ザルバの瞳を見て、ミハルが記憶を辿り思い出す。


「あ、あなたは一体?」


ミハルが掴まれた手を振り解こうと力を入れるが、ザルバの手は更に強く握ってくる。


「シマダ・ミハル。聞いていたな、あの娘との話を。知ってしまったんだろう僕の事を!」


澱んだ瞳でミハルを見詰めるその顔は既に弟マモルに良く似た顔とは別人の顔となっていた。


「あ、あなた?その顔は?」


驚くミハルに、


「くっくっくっ。そうさ、これが本当の僕。お前の弟の身体を写す前の僕さ。ミハル・シマダ!」


ザルバが口を歪めて笑う。

その澱んだ赤黒い瞳のまま・・・


「マモルの身体を写した・・・ですって?」


ミハルがザルバを睨んで訊き返す。


「そう。僕に与えられた力は身体を写す事が出来る能力。邪顔・・・我が主から授かった魔法の力さ!」


ザルバが醜く口を歪める。


「じゃあ、あなたはマモルと会った事があるのね?!」


ザルバに弟と出合った事を確かめるミハル。


「お前の弟・・・マモルと会った・・・いや違う正確には見ただけさ。

 連れ去られる前、眠っている姿を見ただけだ。

 そして、彼の一部を貰ったのさ、邪顔の術に必要なんでね」


ザルバの答えにミハルが叫ぶ。


「マモルに何をしたの!その術にマモルの何を使ったのよっ!」


ミハルの問いに答えるより早くザルバがミハルを引き寄せて。


「くっ!」


もがくミハルの腕を捻った。


ー  しまった!


ミハルは自分の軽はずみな行動を後悔する。


「お前の弟・・・マモルには何もしていないさ。使ったものとは・・・」


((プチン))


頭の先で髪を抜かれた痛みが・・・


「えっ?」


ミハルが驚いてザルバを見返すと、


「お前の身体の一部、例えばこの髪を・・・」


ザルバが引き抜いた髪を喰らう。


「なっ、何を?」


ミハルを締め付けていたザルバが嘲笑う。


「観ているがいい。これが我が主から授かった力。邪顔の術だ!」


ー  えっ?


ミハルの眼に映ったのは、髪を喰らったザルバの貌形が自分とそっくりに変っていく光景だった。


「う・・そ。そんな?!そんな事って?!」


邪顔の術。

それは喰らった者の姿に変えられる力。


ミハルを羽交い絞めにしているニセミハル。


「くくくっ、どうだ、シマダ・ミハル。我が主から授かった邪顔の術。お前の身体を貰ったぞ!」


ザルバ、いや偽ミハルがミハル本人を突き放し、拳銃を構える。


挿絵(By みてみん)


軽はずみな行動の付けが、ミハル自身に襲い掛かってくる。

そして気付いた時には既に・・・。

次回 捕えられた・・・者

君は仲間の元に戻れるのか。大切な人の元へ・・・

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